中性子・ミュオン協奏オペランド測定による全固体蓄電池内のイオン拡散挙動の解明
Project/Area Number |
23K26413
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Project/Area Number (Other) |
23H01720 (2023)
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Multi-year Fund (2024) Single-year Grants (2023) |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 26040:Structural materials and functional materials-related
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Research Institution | High Energy Accelerator Research Organization |
Principal Investigator |
森 一広 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 物質構造科学研究所, 教授 (40362412)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩瀬 謙二 茨城大学, 理工学研究科(工学野), 准教授 (00524159)
梅垣 いづみ 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 物質構造科学研究所, 助教 (20638522)
大場 洋次郎 豊橋技術科学大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (60566793)
本田 孝志 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 物質構造科学研究所, 助教 (70735745)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥19,240,000 (Direct Cost: ¥14,800,000、Indirect Cost: ¥4,440,000)
Fiscal Year 2026: ¥2,600,000 (Direct Cost: ¥2,000,000、Indirect Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2025: ¥2,210,000 (Direct Cost: ¥1,700,000、Indirect Cost: ¥510,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,820,000 (Direct Cost: ¥1,400,000、Indirect Cost: ¥420,000)
Fiscal Year 2023: ¥12,610,000 (Direct Cost: ¥9,700,000、Indirect Cost: ¥2,910,000)
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Keywords | 蓄電池 / 構造 / イオン拡散 / 中性子 / ミュオン |
Outline of Research at the Start |
本研究では、充放電下(オペランド)で全固体蓄電池の中性子散乱(回折)実験及びミュオンスピン回転緩和実験を行うことで、協奏的量子ビ ーム利用の切り口から電池性能をフルに引き出すための“伝導イオンが高速で移動できるバルク及び固-固界面構造”を突き止める。本研究の目的を達成するため、J-PARC MLF施設の最新鋭中性子散乱(回折)装置群及びミュオン分光器群を駆使すると共に、最新の構造・イオン伝導経路可視化技術と融合することで、充放電中のバルク構造(原子配列)と固-固界面構造、イオン伝導経路を可視化し、さらには伝導イオンの拡散挙動までも直接観察する。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、充放電下(オペランド)で全固体蓄電池の中性子散乱(回折)実験およびミュオンスピン回転緩和実験を行うことで、協奏的量子ビーム利用の切り口から電池性能をフルに引き出すための“伝導イオンが高速で移動できるバルクおよび固-固界面構造”を明らかにする。本研究の目的を達成するため、J-PARC MLF施設の最新鋭中性子散乱(回折)装置群およびミュオン分光器群を駆使すると共に、最新の構造・イオン伝導経路可視化技術と融合することで、充放電中のバルク構造(原子配列)と固ー固界面構造、イオン伝導経路を可視化し、さらには伝導イオンの拡散挙動も直接観察する。 2023年度は、主に全固体フッ化物イオン電池を対象とし、固体電解質の作製および特性評価を行なった。例えば、CeF3やLaF3に対しCaF2やSrF2、BaF2をドープした場合の電気伝導度(イオン伝導度)および活性化エネルギーについて詳細な評価を行なった。本研究成果の一部については、学会発表を通じて公開している。また、本固体電解質を用いて全固体フッ化物イオン電池を構築し、充放電特性評価試験を行うことで、全固体フッ化物イオン電池の固体電解質としての適正について検討を行なった。同時に、全固体フッ化物イオン電池を対象としたオペランド中性子回折実験用セルの開発・改良を行なった。本セルおよび全固体電池を用いて、J-PARC MLF施設の特殊環境中性子回折装置SPICA(BL09)においてオペランド中性子回折実験を開始した。一方、固体電解質中のイオン拡散をミュオンスピン回転緩和により評価するため、ミュオンスピン回転緩和実験の準備を開始した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在、全固体リチウムイオン電池およびフッ化物イオン電池に必要な固体電解質および正・負極活物質の作製を行うため、試料合成環境を整備し、安定して試料作製を行うことがことができるようになった。また、特性評価(充放電特性やサイクリックボルタンメトリー (CV)、交流インピーダンス測定など)についても随時実施できる状況となっている。蓄電池材料の特性評価に加えて、J-PARC MLF施設の特殊環境中性子回折装置SPICA(BL09)などを利用して詳細な構造情報を抽出することで、例えば固体電解質の特性(イオン伝導度や活性化エネルギー)と構造との関係を明らかにし、高い性能をもつ固体電解質の選定を進めている。これらの研究の一部は、適宜、学会発表を通じて公開している。また、オペランド中性子回折実験用セルの開発・改良も進んでおり、SPICAによる全固体フッ化物イオン電池のオペランド中性子回折実験を開始することができた。加えて、全固体リチウムイオン電池およびフッ化物イオン電池を対象としたミュオンスピン回転緩和実験の準備も進めている。 以上のような理由から、本研究課題はおおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
以下、2024年度以降の研究の推進方策について示す。 (1) 中性子/ミュオンオペランドセルの設計:J-PARC MLF施設の中性子回折装置SPICAおよびNOVA、ミュオン分光器Muon D1およびS1などで利用可能な中性子/ミュオンオペランドセルの設計・製作を引き続き行う。 (2) 全固体蓄電池の構築と電池特性の評価:KEKと茨城大の機器類を用いてオペランド実験用全固体リチウムイオン電池およびフッ化物イオン電池の構築を引き続き行う。全固体リチウムイオン電池では、正極活物質としてLi(Co,Ni,Mn)O2やLiFePO4など、固体電解質としてLi10GeP2S12やLi7P3S11など、負極活物質としてLi4Ti5O12やSn、Si、Li金属などを候補とする。一方、全固体フッ化物イオン電池では、正極活物質としてAgやCuなど、固体電解質としてCe0.95Sr0.05F2.95やLa0.95Sr0.05F2.95、Ba0.6La0.4F2.4など、負極活物質としてCeF3やMgF2などを候補とする。またオペランド実験を行う前に、充放電特性やサイクリックボルタンメトリー (CV)、交流インピーダンス測定等を行う。なお、新規電池材料が見つかった場合には、随時採用する。 (3) オペランド中性子回折実験:電極活物質・固体電解質中の中間相・非平衡相の存在を調べるため、中性子回折装置SPICA及びNOVAを用いてオペランド実験を行う。また必要に応じてオペランド実験用機器開発を行う。 (4) バルク構造及びイオン伝導経路の可視化:充放電中の固体電解質及び電極活物質の構造変化、イオン伝導経路を可視化するため、結晶系ではリートベルト法や最大エントロピー法(MEM)など、乱れた系では逆モンテカルロ(RMC)モデリングやBond Valenceイメージ ングなどを活用する。 (5) ミュオンスピン緩和実験:La0.95Sr0.05F2.95固体電解質などを対象にミュオンスピン緩和実験を行う。
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Report
(1 results)
Research Products
(6 results)