Project/Area Number |
23K26426
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Project/Area Number (Other) |
23H01733 (2023)
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Multi-year Fund (2024) Single-year Grants (2023) |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 26050:Material processing and microstructure control-related
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Research Institution | Toyohashi University of Technology |
Principal Investigator |
大場 洋次郎 豊橋技術科学大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (60566793)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柴山 由樹 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究部門 原子力科学研究所 物質科学研究センター, 博士研究員 (20964323)
戸高 義一 豊橋技術科学大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (50345956)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥18,980,000 (Direct Cost: ¥14,600,000、Indirect Cost: ¥4,380,000)
Fiscal Year 2025: ¥4,030,000 (Direct Cost: ¥3,100,000、Indirect Cost: ¥930,000)
Fiscal Year 2024: ¥4,810,000 (Direct Cost: ¥3,700,000、Indirect Cost: ¥1,110,000)
Fiscal Year 2023: ¥10,140,000 (Direct Cost: ¥7,800,000、Indirect Cost: ¥2,340,000)
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Keywords | 小角散乱 / 中性子 / 水素脆化 |
Outline of Research at the Start |
本研究では、鉄鋼材料における中性子小角散乱の磁化応答が、ナノスケールで分布する水素によって変化することを利用して、鉄鋼材料内部に局在する水素を高感度に検出する。そして、水素の挙動と脆化メカニズムを明らかにすることを目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
鉄鋼材料においては、水素の侵入による著しい力学特性の劣化(水素脆化)が深刻な課題となっており、近年提唱されている水素利用の拡大に 向けて、その解決が急務となっている。しかしながら、鉄鋼材料内部における水素の挙動を実験的に捉えることが困難であることが研究の進展を阻んでいた。そこで本研究では、中性子小角散乱の磁化応答を解析し、鉄鋼材料内部においてナノスケールで分布する水素を非破壊的に観測する。さらに、各トラップサイトに対応する水素の結合エネルギーや拡散挙動等を実験的に見積もる。この手法は、申請者らの研究グループが発見した、鉄鋼材料中の水素による中性子小角散乱の磁化応答の変化という現象を応用したものであり、高い独自性を持つ。本研究では、これらの実験データに基づいて、鉄鋼材料内部において局在した水素がどのように脆化と結びつくのかを明らかにすることを目的とする。 2023年度は研究開始の年であり、まず試料と実験の準備を行った。試料として、これまでに中性子小角散乱測定の実績があり、比較的単純な材料である、格子欠陥を導入したフェライト鋼と、水素脆化の影響が特に顕著となるマルテンサイト鋼を選択した。これらの試料を用いて、機械的特性試験や組織観察、陰極水素チャージ、昇温脱離分析を行い、水素チャージ条件を決定した。また、中性子小角散乱実験を行い、磁場等の測定条件を決定した。さらに、格子欠陥を導入したフェライト鋼の中性子小角散乱測定結果の解析を進め、昇温脱離分析や水素透過試験結果との比較検討を行った。 これに加えて、国際会議でのディスカッションにより、水素脆化した鉄鋼材料の変形時におけるボイドの形成挙動を小角散乱法により測定できる可能性があることがわかってきた。このボイドの形成挙動が明らかとなれば、水素脆化メカニズムの解明において有益であると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の研究実施計画通り、格子欠陥を導入したフェライト鋼とマルテンサイト鋼について試料準備と水素チャージ条件等の決定を実施することができた。また、中性子小角散乱実験を行い、磁場等の測定条件を決定するとともに、水素の挙動に関するデータを得ることができた。これらの実績により、当初の計画は達成したと考えられる。これらの成果の一部について学会発表を行った結果、同分野の研究者間でのディスカッションにより、さらなる発展的な研究の可能性を得ることができた。これは、当初の計画を超える部分であり、今後の展開が期待される。以上により、本研究は当初の計画以上に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度の研究において、格子欠陥を導入したフェライト鋼とマルテンサイト鋼を用いて中性子小角散乱測定を行い、水素の挙動に関する知見を得ることができた。この結果を踏まえ、今年度以降の研究では、まず、より単純な材料である格子欠陥を導入したフェライト鋼を対象として、さらに格子欠陥の違いの影響等の応用的な研究を遂行する。このため、熱処理と加工により、格子欠陥等の組織を変化させた種々の試料を作製する。組織観察によりこれらの試料の組織を特徴づけ、水素チャージ と中性子小角散乱測定を行うことにより、転位や粒界等の各組織因子の影響を分離する。 以上の研究を実施するため、組織観察と機械的特性試験により試料の作製条件を検討し、昇温脱離分析を用いて水素のチャージ条件を決定する。得られた条件により試料を作製し、中性子小角散乱測定を行う。これにより、水素脆化における各組織因子の役割を明らかにする。また、これまでに得られた中性子小角散乱測定の結果の解析を進め、各試料におけるナノスケールの水素分布や拡散定数等の水素の挙動を明らかにする。さらに、これに基づいて鉄鋼材料の水素脆化メカニズムを明らかにする。 これに加えて、発展的な研究として、小角散乱法を用いて水素脆化した鉄鋼材料の変形時におけるボイドの形成挙動の観測に取り組む。
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