金属ー金属酸化物接合界面の自在構築による超高触媒機能の創出
Project/Area Number |
23K26453
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Project/Area Number (Other) |
23H01760 (2023)
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Multi-year Fund (2024) Single-year Grants (2023) |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 27030:Catalyst and resource chemical process-related
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Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
細川 三郎 京都工芸繊維大学, 材料化学系, 教授 (90456806)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
和田 健司 香川大学, 医学部, 教授 (10243049)
田邉 豊和 防衛大学校(総合教育学群、人文社会科学群、応用科学群、電気情報学群及びシステム工学群), 電気情報学群, 准教授 (50509130)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥18,850,000 (Direct Cost: ¥14,500,000、Indirect Cost: ¥4,350,000)
Fiscal Year 2025: ¥4,550,000 (Direct Cost: ¥3,500,000、Indirect Cost: ¥1,050,000)
Fiscal Year 2024: ¥5,850,000 (Direct Cost: ¥4,500,000、Indirect Cost: ¥1,350,000)
Fiscal Year 2023: ¥8,450,000 (Direct Cost: ¥6,500,000、Indirect Cost: ¥1,950,000)
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Keywords | 固体触媒 / 金属ー金属酸化物接合 / エピタキシャル接合 / 金属―金属酸化物接合 / 環境触媒 / エピタキシャル |
Outline of Research at the Start |
固体触媒は,「環境・エネルギー」の広い分野で利活用されており,超高性能固体触媒の創製が強く求められている.このような触媒材料の創製に対して,表面活性点構造の精密制御の達成は必要不可欠である.そこで,本研究では,金属とセラミックス担体の接合界面制御により,排ガス浄化反応および有機ハイドライド脱水素・水素化反応に有効な表面構造の自在構築を促す.最終的には,耐熱性に優れたセラミックス担体を基軸とした超高活性触媒の一般的構築法を確立することを目指す.
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Outline of Annual Research Achievements |
固体触媒は,水素利活用等のエネルギー対応や,排ガス浄化等の環境改善,多様な化学品合成など,広く社会で活用されている.そこで,貴金属使用量削減といった元素戦略の観点からも,超高性能固体触媒の創製が強く求められている.そのアプローチとして,活性サイトである金属種の高分散化や合金化が期待されているが,耐熱性や化学的安定性等の課題が多い.触媒材料として高い耐熱性と化学的安定性を有するセラミックス材料の活用も検討されているが,最適な担持金属種の構造を自在構築する方法論が確立されていない.そこで,本研究では,セラミックス担体と担持金属の接合界面を精密設計し構築することにより超高触媒機能の創出を目指す. 金属―金属酸化物接合に対して,二種の現象が知られている.一つは,金属と酸化物担体間で強固な結合が生じるMetal Support Interaction (MSI)現象であり,もう一つがStrong Metal Support Interaction (SMSI)現象である.SMSI現象では,TiO2等の易還元性金属酸化物に貴金属を担持した触媒を高温還元処理することにより,貴金属ナノ粒子が金属酸化物の薄い層で被覆される現象として知られている.いずれも,触媒表面活性点の原子配列・電子状態の制御において非常に重要であるが,十分に原理解明されておらず,接合界面の制御法はいまだ確立されていない. 本研究では,MSIおよびSMSI現象を支配する因子を解明して貴金属粒子の微粒化を達成するに留まらず,エピタキシャル成長の概念を融合することで,高い触媒機能を有する特定の結晶面の選択的露出の誘発を図る.令和5年度は,Ma-Al系およびMg-Al-Mn系スピネル型酸化物を触媒担体とし,それらに貴金属を担持した触媒を適切な温度で水素還元などの熱処理を施すことで金属―金属酸化物接合界面の制御を検討した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
初年度である令和5年度では,Mg-Al系およびMg-Al-Mn系スピネル型酸化物を触媒担体としたPd触媒を合成し,還元処理を施した際の表面構造および排ガス浄化性能の評価を主に行った.担持Pd触媒を900℃の水素雰囲気下で還元処理を行ったところ, Mg-Al系複合酸化物担持Pd触媒ではPdOがPd金属に還元される以外に大きな構造変化は認められなかった.一方,Mg-Al-Mn系複合酸化物担持Pd触媒ではPdOの還元に加えて,MgO-MnO固溶体が生成していた.還元処理を施したMg-Al系複合酸化物担持Pd触媒のPd種の形態を観察したところ,5 nmの粒子サイズをもつPd金属が担体上に担持されていた.一方,Mg-Al-Mn系複合酸化物担持Pd触媒のPd種は5 nm程度の粒子サイズをもつPd金属周りにMgO層やMnO層が覆いかぶさっており,コアーシェル構造を形成していた.還元処理を施していない各触媒の自動車排ガス浄化性能を評価したところ,良好な活性は得られなかった.ところが,900℃還元処理を施すことで,いずれの触媒も優れた触媒活性を示した.特に,Mg-Al-Mn系複合酸化物担持Pd触媒ではNOからのN2O生成が抑制でき,N2選択性が非常に高いことを見出した.これらの結果から,高温還元処理を施したMg-Al-Mn系複合酸化物担持Pd触媒は始状態にてPd金属表面が露出していないにもかかわらず,優れた触媒活性を示すことを見出した.さらに,担体であるスピネル構造の金属種の選択により,Pd―担体間の相互作用およびPd金属周りの表面構造が制御可能であることも明らかにした.このように,初年度より金属―金属酸化物接合界面を意図的に制御できる成果を得ることができたことから,本研究課題は当初の計画以上に進展していると判断できる.
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Strategy for Future Research Activity |
金属―金属酸化物接合界面の自在制御法の確立を目指し,今後はスピネル型酸化物の金属種の組み合わせをさらに洗練させていくと共に,他の複合酸化物を触媒担体に用いた触媒材料の開発も進める.具体的には,元素の種類や組成の選択により結晶構造の対称性や遷移金属種の価数が系統的に制御できるペロブスカイト酸化物(ABO3)をセラミックス触媒担体とする予定である.Aサイトは希土類元素(Y, La, Gd, Yb)から選定し,BサイトはMn, Fe, Ni, Coから選ぶ.また,担持貴金属種としてはPd, Pt, Irを使用する.各種触媒に対して1000℃程度の高温で焼成することでMSI現象を誘発させる.SMSIを促す際は,300-900℃程度で水素還元する.触媒反応としては,排ガス浄化反応だけではなく,液相反応の一種であるアンモニアボランなどの脱水素反応についても検討する. スピネル型酸化物を利用したPd触媒においては,MSIおよびSMSI現象が上述したように制御可能である.そこで,スピネル型酸化物担持Pd触媒に対しては,焼成段階および還元処理段階の触媒構造の変化を,酸素ガスもしくは水素ガス存在下でのin situ XAFSやin situ XPSにより各金属種の電子状態ダイナミクスの可視化を図る.また,SMSI現象解明に対しては,還元ガス存在下での環境制御TEMによる「その場」観察を行う.特に,貴金属種と担体成分間の反応に伴う接合部の変化や,金属-金属酸化物接合界面の歪み等を捉える予定である.このような検討を基に,特異な金属―金属酸化物接合を司る学理を解明し,超高活性触媒の一般的構築法の確立を目指す.
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Report
(1 results)
Research Products
(8 results)