Project/Area Number |
23K26487
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Project/Area Number (Other) |
23H01794 (2023)
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Multi-year Fund (2024) Single-year Grants (2023) |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 28020:Nanostructural physics-related
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Research Institution | Osaka Metropolitan University |
Principal Investigator |
坪井 泰之 大阪公立大学, 大学院理学研究科, 教授 (00283698)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中田 芳樹 大阪大学, レーザー科学研究所, 准教授 (70291523)
上野 貢生 北海道大学, 理学研究院, 教授 (00431346)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥18,850,000 (Direct Cost: ¥14,500,000、Indirect Cost: ¥4,350,000)
Fiscal Year 2025: ¥4,550,000 (Direct Cost: ¥3,500,000、Indirect Cost: ¥1,050,000)
Fiscal Year 2024: ¥7,280,000 (Direct Cost: ¥5,600,000、Indirect Cost: ¥1,680,000)
Fiscal Year 2023: ¥7,020,000 (Direct Cost: ¥5,400,000、Indirect Cost: ¥1,620,000)
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Keywords | ミートロニクス / プラズモン / ミー共鳴 / ブラックシリコン / 半導体ナノ構造 / Mie共鳴 / 光のアンダーソン局在 / 光マニピュレーション / シリコン単結晶 / 多重散乱 / 勾配力 |
Outline of Research at the Start |
本研究では、Mie共鳴効果を最大限に発揮できるナノ構造を形成・駆使し、特に光ピンセットの性能の飛躍的な向上と光化学応用(分光シグナルの増強、多光子過程などの非線形光学への応用、光化学反応の高効率化など)に焦点を絞り、研究を推進する。 光波長に応じてナノ構造を最適化して設計・作製して光ピンセットに使用すれば、その捕捉力は格段に向上するし、光化学応用への道も拓ける。本研究では、(1) フェムト秒レーザー微細加工(特に、光干渉を駆使した微細周期構造の形成)と、(2) 電子線描画法により、半導体(主にシリコン)表面にデザインされたナノ構造を形成し、Mie共鳴効果を最大限に引き出し、上記目的を達成する。
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Outline of Annual Research Achievements |
光捕捉用のレーザー光や光化学反応を生起する光の波長は可視域~近赤外域にあるので、シリコンを材料とするなら、100 nm ~ 200 nm程度のナノ構造を付与すればMie共鳴を誘起できる。フェムト秒レーザー超加工によりシリコン結晶表面に100nmスケールの周期的ナノ構造を形成した。特に、多光束ビーム干渉によるLaser Induced Periodic Surface Structure(LIPSS)構造が作製できた。電子線描画法により、様々なナノサイズのシリコン微粒子を様々なサイズのギャップで集積配置した構造体を作製中である。作製されたナノ構造は、電子顕微鏡によりその形状を観察し、FDTD法による電磁場空間分布シミュレーションを行い、Mie共鳴の光波長とその波長における光電場増強度を明らかにしている。 これらを用いた光ピンセットの性能を詳細に検討している。このようなブラックシリコンの光学応答は,ナノニードルの長さと厚みの比(アスペクト比)に依存する。そして、アスペクト比はエッチング処理時間によりある程度制御できる。このような構造を有する表面近傍の電場増強度を電磁場解析により算出したところ、およそ4~5倍程度であった。これはプラズモンの電場増強度(~104)に比べ圧倒的に低い。一方で、ブラックシリコンへの非共鳴光への照射は、熱発生を伴わない大きな利点を有する。我々は、温度に応答して蛍光強度が変化する色素分子(2',7'-Bis(carboxyethyl)-4 or 5-carboxyfluorescein)を用いて、近赤外光(波長808 nm)照射に伴うブラックシリコンの温度上昇度を計測したところ、熱発生が無視できるほど小さいことを明らかにした。その結果、ナノ構造シリコン(ブラックシリコン)は強い捕捉能を持つことを理論・実験両面から実証した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度の計画通りの研究を行い、十分当初目的を達成できている。シリコンだけでなく、チタン(Ti)にナノ構造(ナノスパイク構造)を付与することにも成功している。今後のナノ構造の設計指針も得ている。これらナノ構造を利用した光ピンセットによるナノ粒子の捕捉挙動に関しては、系統的なデータを豊富に蓄積することができた。これらを鑑み、おおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
<シリコンナノ構造上のキラル粒子のエナンチオ選択的捕捉> シリコンナノ構造は、シリコン単結晶をプラズマドライエッチングで加工するブラックシリコンを既に用意できている。現在、光渦ビームは1064 nm で発生可能であるが、新たに空間光位相変調素子を購入し、効率的にMie共鳴を利用できる 波長808 nm~470 nmで光渦ビームを発生できるようにする。捕捉対象とするナノ粒子は、三重大学工学研究科の八尾浩史教授より、キラル金・銀クラスター並びに蛍光性キラル色素会合体を御提供頂き、使用する。光渦の巻き方向と、D体、L体のそれぞれキラルな構造で、捕捉効率(捕捉量)を顕微(二色性)ラマン分光法、顕微蛍光分光法で評価する。D体、L体の捕捉効率の差を利用して、ラセミ体からの選択的捕捉にチャレンジする。 <高分子ドロップレット内の渦流誘起とキラル色素会合体形成> ポリアルキルビニルエーテルやポリジエチルアクリルアミドを水中で光保捕捉すると、マイクロドロップレットを形成できる。興味深いことに、そのドロップレット内では、さらにまた水と高分子が相分離している。この二重に相分離したマイクロドロップレットは、応募者らが初めて発見したユニークな構造である(M. Matsumoto et al, & Y. Tsuboi, Langmuir, Vol. 37 (2021), 2874、後述)。つまり、このマイクロドロップレット内は屈折率の明確なコントラストがあるので、Mie共鳴で増強した光圧が働き、渦流が発生する。この、一方向に巻く渦流をホモキラリティーの起源とする。ドロップレットに抽出した色素分子は濃縮されるので、会合体を形成しやすい。さらに、渦流に加えて光渦の作用もあり、エナンチオ選択でキラルな色素 J 会合体が形成されると考える。
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