Project/Area Number |
23K26498
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Project/Area Number (Other) |
23H01805 (2023)
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Multi-year Fund (2024) Single-year Grants (2023) |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 28030:Nanomaterials-related
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
田畑 博史 大阪大学, 大学院工学研究科, 准教授 (00462705)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
市川 修平 大阪大学, 大学院工学研究科, 助教 (50803673)
片山 光浩 大阪大学, 大学院工学研究科, 教授 (70185817)
久保 理 岐阜大学, 工学部, 教授 (70370301)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥19,370,000 (Direct Cost: ¥14,900,000、Indirect Cost: ¥4,470,000)
Fiscal Year 2026: ¥2,210,000 (Direct Cost: ¥1,700,000、Indirect Cost: ¥510,000)
Fiscal Year 2025: ¥2,340,000 (Direct Cost: ¥1,800,000、Indirect Cost: ¥540,000)
Fiscal Year 2024: ¥2,210,000 (Direct Cost: ¥1,700,000、Indirect Cost: ¥510,000)
Fiscal Year 2023: ¥12,610,000 (Direct Cost: ¥9,700,000、Indirect Cost: ¥2,910,000)
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Keywords | 光活性化 / ガスセンサ / MoS2 / 揮発性化合物 / マイクロLED / 揮発性有機化合物 / 分子識別 |
Outline of Research at the Start |
二硫化モリブデン(MoS2)の単層膜を用いたガスセンサは、可視光照射下で高い活性化効果が得られることから、IoTデバイス用途の超低消費電力ガスセンサとして有望である。しかし、高い活性化効果はNO2などの酸化性ガスに限られている。そこで本研究では、このMoS2センサをマイクロLED素子上に搭載して、光源と一体化させることで高強度の光照射を可能にし、これにより、MoS2の光活性化効果を高め、検知可能な分子種の拡大、とりわけ揮発性有機化合物(VOC)分子をppbオーダーで高感度検知することを目指す。さらにマイクロLEDの集積性や高速光変調性を利用して、リアルタイムの分子識別センシングを目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、マイクロLED上にMoS2センサを搭載した一体型デバイスの作製に取り組み、作製プロセスの最適化、マイクロLEDおよびガスセンサの評価を行い、問題点の洗い出しに取り組んだ。 InGaN多層量子井戸の発光層を有するGaN系の青色LED基板を用い、これに発光領域を規定し、電流注入する透明性導電膜(ITO)をスパッタ製膜することで、プレーナ型のマイクロLEDを作製した。異なる発光面積のLED素子を検討し、最終的に、ガスセンサ搭載に必要最小限な発光領域を持つ30μm角サイズのLED素子構造を採用した。このLED素子上に、SiO2絶縁膜(膜厚350nm)をスパッタ製膜し、その上に位置制御転写法を用いてMoS2単層膜を堆積させた。これにBi/Au電極を蒸着形成することでMoS2センサを作製した。 作製したLEDの閾値電圧は約2.8Vで、最大印加電圧6.5Vまでの範囲で光強度を8mW/cm2~24W/cm2まで、およそ3桁変調することができた。電力変換効率(WPE)は最大0.45%であった。 この一体型デバイスを用いて、ガスセンサの低消費電力性能との光強度依存性を評価した。外部光照射による光活性化応答がよく調べられているNO2 (100ppb)とNH3(10ppm)を対象ガスとした。ガスセンサの光活性化性能を維持するのに必要なマイクロLEDの最低投入電力は約200uWと見積もられた。一方、照射光強度を増加させると、応答量は、NO2の場合は単調減少、NH3の場合はほぼ変化なしという異なる傾向が見られた。応答速度・回復速度はいずれのガスの場合も高速化した。しかし、光強度が上ると、センサのベース電流に入る光電流ノイズが顕著になり、検出限界濃度が悪化するという問題点が明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通り、マイクロLED上にMoS2センサを搭載した一体型デバイスの試作を行い、マイクロLEDの発光性能評価ならびに、このマイクロLEDの高強度光照射下における、ガスセンサのNO2およびNH3に対する応答特性評価をおこなうことができた。これらの評価により、(1)マイクロLEDの更なる低消費電力化の障害となるオフ状態におけるリーク電流の存在、(2)一体型デバイスの歩留まり低下を招くSiO2絶縁膜のリーク、(3)ガスセンサ性能の低下を招く光電流ノイズなどの、今後解決すべき課題を明らかにすることができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
まず、本年度の研究で明らかになった一体型ガスセンサの(1)~(3)の課題解決に取り組む。(1)のLEDのリークの原因としては、ITO膜製膜時のp-GaNへのダメージが考えられる。ITO成膜条件を再検討し、リーク電流の抑制に取り組む。(2)のSiO2絶縁膜のリーク、(3)の光電流ノイズ、の問題はいずれもSiO2膜に含まれる酸素欠陥の原因が疑われるため、成膜方法の見直し(MOCVDなど)やパッシベーション膜(ALD-Al2O3やSAM膜)の導入により、これらの問題の解決に取り組む。また、光電流ノイズに関しては、MoS2膜自体の欠陥の原因も考えられるため、CVD法成長させた欠陥の少ないMoS2膜の利用も検討する。 上記の問題、特に光電流の問題が解決したら、つぎに、ガス雰囲気の違いが、MoS2センサの光電流応答に及ぼす影響を調査する。具体的には特定のガス雰囲気(例えばNO2, NH3, VOCなど)に置かれたセンサに対して、マイクロLEDの光をパルス状に強度変調し、それに伴ってMoS2に流れる光電流の時間的変化を測定する。これにより、光電流応答が、雰囲気ガスの違いによって、どのように変化するかを明らかにし、分子識別のための特徴量の抽出に利用できるかどうかを調査する。
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