有機イオントロニクスで拓く神経-グリア回路の一細胞レベル生体模倣システム
Project/Area Number |
23K26519
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Project/Area Number (Other) |
23H01826 (2023)
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Multi-year Fund (2024) Single-year Grants (2023) |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 28050:Nano/micro-systems-related
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
吉田 昭太郎 中央大学, 理工学部, 助教 (20785349)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森本 雄矢 早稲田大学, 理工学術院, 准教授 (60739233)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2028-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥18,590,000 (Direct Cost: ¥14,300,000、Indirect Cost: ¥4,290,000)
Fiscal Year 2027: ¥3,640,000 (Direct Cost: ¥2,800,000、Indirect Cost: ¥840,000)
Fiscal Year 2026: ¥3,640,000 (Direct Cost: ¥2,800,000、Indirect Cost: ¥840,000)
Fiscal Year 2025: ¥3,640,000 (Direct Cost: ¥2,800,000、Indirect Cost: ¥840,000)
Fiscal Year 2024: ¥3,640,000 (Direct Cost: ¥2,800,000、Indirect Cost: ¥840,000)
Fiscal Year 2023: ¥4,030,000 (Direct Cost: ¥3,100,000、Indirect Cost: ¥930,000)
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Keywords | 神経回路 / MEMS / センサ / イオントロニクス / 生体模倣システム |
Outline of Research at the Start |
本研究では、培養環境で神経細胞とグリア細胞を一細胞ずつ形態制御・可動化し実験者が任意の構造の回路を構築可能にするマイクロデバイスを開発し、またその電気的活動および化学的活動を制御・計測可能にする有機イオントロニクスデバイスを統合することで、神経-グリア回路の知能情報処理を一細胞レベルの高解像度で解析するための生体模倣システムを実現することを目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、神経細胞とグリア細胞の知的情報処理を計測・解析可能なマイクロデバイスシステムを創出することである。具体的には、培養細胞の形態と位置を一細胞ずつコントロール可能にする独自技術である「神経ブロック」技術を拡張した「グリアブロック」技術を開発することで一細胞レベルで神経-グリア回路を人工的に構築可能にし、さらに神経細胞に対する電気刺激・計測用および化学刺激・計測用それぞれの有機イオントロニクスデバイスを開発・統合することを目指す。 初年度である2023年度は、開発する3つの技術:「一細胞レベル神経-グリア回路構築デバイス」「電気刺激・計測用有機イオントロニクスデバイス」「化学刺激・計測用有機イオントロニクスデバイス」それぞれについて材料の構成及びデバイスへの加工方法を検討し、製作したデバイスの電気的・化学的・生物学的な特性評価を繰り返し行った。これにより、まず神経科学において重要である神経-グリア細胞の回路を培養条件下で人工構築するために必要な、グリア細胞の単離培養と可動化を世界で初めて実証した。また、神経-グリア回路を構築した後に、生体を模倣した条件下でその働きを調べるためには、電気的・化学的なインプット・アウトプットのインターフェースを整備する必要がある。それを可能にする電気刺激・計測デバイスおよび化学刺激・計測デバイスの基礎検討を行って、特に電気刺激・計測デバイスについてはすでに世界初の有機物のみを用いた微細神経電極についてまとまった知見が貯まったため論文投稿を行った。これらの技術の検討結果について、研究を一緒に行った研究室の学生たちと共同研究者とともに国内最大級の微細加工に関する学会において発表・議論し、さらに研究を進めるための知見を得たほか、国際学会でも成果発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
初年度にあたる2023年度は、研究計画の通り、「一細胞レベル神経-グリア回路構築デバイス」「電気刺激・計測用有機イオントロニクスデバイス」「化学刺激・計測用有機イオントロニクスデバイス」それぞれの基礎検討を進め、デバイスの試作と評価を繰り返し行うことで開発を進めた。 「一細胞レベル神経-グリア回路構築デバイス」に関しては、一細胞の培養と操作を可能にする特定の複合材料の組合せおよび濃度、また微細加工法を検討のすえ見出した。それによって、グリア細胞の単離培養および可動化に成功した。さらに同様の材料を用いて神経細胞の培養も可能であることを見出した。いくつかさらなる検討は必要であるものの、本来は2年目以降に予定していた論文発表可能な知見がすでにたまり、計画以上に進行している。「電気刺激・計測用有機イオントロニクスデバイス」については、印刷法によって神経電位が計測可能なマイクロ有機電極を製作する材料およびプロセスを検討のすえ見出し、電気的特性評価及び細胞培養評価によって実用的な電極であることを確かめた。これは世界初の有機物のみで構成された微細神経電極を安価に構築する手法を見出したことを意味する。計画では3年目の論文投稿を予定していたところ、予定より検討が進行したためすでに現在の知見をまとめて論文投稿を行ったところである。「化学刺激・計測用有機イオントロニクスデバイス」に関しては、特定の神経伝達物質の濃度を計測可能な電極について、その材料及び印刷手法を見出し、電気化学的特性評価により神経伝達物質の濃度を計測可能であるという検討結果を得た。さらに薬剤送達用流路の検討を行い、電気的に薬液を送達可能であるという検討結果を得た。 上記の通り、研究は計画以上に進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
前述の3つの要素技術それぞれの今後の推進方策を個別に述べる。なお計画通り、これらは3~5年目に統合して一つのシステムとする予定である。 「一細胞レベル神経-グリア回路構築デバイス」:デバイスを構成する材料について、おおよその知見は溜めることができたが、依然として特に細胞を可動化するための脱着機構の一部に理解できていない現象及びそれによる脱着の困難性がある。さらに材料比率の検討と脱着手法の検討を進める予定である。また、計画時には予定していなかった、単離・可動化した細胞を回路状に組んだ後に、それを安定させる機構が必要であることにも途中で気がついたため、その機構の開発も進めている。 「電気刺激・計測用有機イオントロニクスデバイス」:神経細胞の電気的活動に介入するための微細電極を有機物のみで形成するという世界初の技術を見出したが、単一細胞からの微弱信号を拾うためには依然として取得可能な信号の品質改善が必要である。そこで、電極表面のナノ構造に着目し、有機高分子を使ったナノテクノロジーによって品質改善を図る予定である。さらに、計画には記載していなかったが、有機物に特有の金属よりも電気抵抗が高く信号品質が下がってしまう問題を改善するために、有機物のみで増幅回路を構成する研究、および神経細胞内電位を計測可能にする電極の形状改良に関しても具体的なアイデアが浮かんだため、取り組む予定である。 「化学刺激・計測用有機イオントロニクスデバイス」:特定の神経化学物質の濃度を計測可能な電極を印刷によって安価に製作する手段を見出したが、まだ微細化プロセスを検討中であるため、引き続き開発を進める。また、薬剤送達用の流路デバイスに関しても、送達時に水を吸入してしまい薬剤送達を目論見通り行えない問題があることが明らかになったため、材料の検討をさらに進めていく予定である。
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Report
(1 results)
Research Products
(6 results)