Project/Area Number |
23K26569
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Project/Area Number (Other) |
23H01876 (2023)
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Multi-year Fund (2024) Single-year Grants (2023) |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 30020:Optical engineering and photon science-related
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
川田 善正 静岡大学, その他部局等, 理事 (70221900)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
居波 渉 静岡大学, 電子工学研究所, 教授 (30542815)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥18,850,000 (Direct Cost: ¥14,500,000、Indirect Cost: ¥4,350,000)
Fiscal Year 2025: ¥4,550,000 (Direct Cost: ¥3,500,000、Indirect Cost: ¥1,050,000)
Fiscal Year 2024: ¥6,240,000 (Direct Cost: ¥4,800,000、Indirect Cost: ¥1,440,000)
Fiscal Year 2023: ¥8,060,000 (Direct Cost: ¥6,200,000、Indirect Cost: ¥1,860,000)
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Keywords | 光学顕微鏡 / イオンイメージング / 電子顕微鏡 / ラマン分光 / マルチモーダル計測 / イオンセンサー / 細胞 / イオンチャネル |
Outline of Research at the Start |
本研究では、イオン感応膜上の電荷検出に集束電子線を用いることにより、ナノスケールの分解能をもつイオンイメージングシステムを実現するとともに、レーザー走査顕微鏡と融合させることにより、ラマン分析画像や蛍光分析画像が同時取得可能なマルチモーダル顕微鏡システムを開発することを目的とする。ナノスケールの局所的なイオン分布を測定することができれば、神経信号の伝達、筋肉の収縮、酵素の活性化などの生命現象をイオンチャンネルレベルで解析することが可能となる。とくにラマン分析や蛍光分析を同時に行うことにより、イオンチャンネルに作用する物質の同定ができ、イオン変化と物質相互作用の詳細を解明することが期待できる。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、イオン感応膜上の電荷検出に集束電子線を用いることにより、ナノスケールの分解能をもつイオンイメージングシステムを実現するとともに、レーザー走査顕微鏡と融合させることにより、ラマン分析画像や蛍光分析画像が同時取得可能なマルチモーダル顕微鏡システムを開発することを目的とする。細胞は内部のイオン濃度を一定に保つとともに、イオンチャンネルからのイオン流入出や小胞などの内部器官からの放出などにより活動電位を誘起し、情報伝達を行なっている。したがって、ナノスケールの局所的なイオン分布を測定することができれば、神経信号の伝達、筋肉の収縮、酵素の活性化などの生命現象をイオンチャンネルレベルで解析することが可能となる。とくにラマン分析や蛍光分析を同時に行うことにより、イオンチャンネルに作用する物質の同定ができ、イオン変化と物質相互作用の詳細を解明することが期待できる。 令和5年度は、基礎システムと数値解析結果の比較検討からシステムの問題点を明らかにするとともに、その解決方法を検討し、高い空間分解能と感度を有するイオンセンサーを設計、試作。イオンチャンネルをモデル化した脂質二重層膜におけるイオン検出の感度、空間分解能を評価し、その結果をもとにHeLaなど、実際の生きた細胞の観察を行い、そのシステムの性能を評価を行った。電子線検出型のイオンセンサーの基礎実験システムを構築し、イオン感応膜の構成、電子線照射による電荷検出の原理検証、感度、イオン分布の検出の検証などを実施した。50nm程度の厚みのSi3N4基板をイオン感応膜として使用し、SiO2を絶縁膜、n型半導体の多層膜をベースとし、膜厚、半導体内の不純物濃度等による検出電流、空間分解能などを評価し、最適な膜構成を検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究で開発する電子線検出によるイオン分布のナノイメージングシステムは、 これまでのイオンセンサの空間分解能の限界を飛躍的に向上させることが可能な大きなブレークスルーとなりうる技術である。本シーズ技術の超解像光ナノイメージング法は、光の回折限界による制限を受けず、飛躍的に高い空間分解能を実現することが可能である。また励起電子ビームのための真空側と試料側を分離することができるため、試料側には真空や金属膜の蒸着による修飾などは全く必要なく、液中や大気中など通常の光学顕微鏡と同様の環境で使用することが可能である。イオン感応膜の面内には微細構造を形成せず画素構造を必要としないため、加工技術による制限もない。本システムが実現できれば、細胞表面のイオンチャネルのダイナミクスを直接可視化することができ、それらの機能、ネットワークを明らかにすることができる。 令和5年度は、基礎システムと数値解析結果の比較検討からシステムの問題点を明らかにするとともに、その解決方法を検討し、高い空間分解能と感度を有するイオンセンサーを設計、試作。イオンチャンネルをモデル化した脂質二重層膜におけるイオン検出の感度、空間分解能を評価し、その結果をもとにHeLaなど、実際の生きた細胞の観察を行い、そのシステムの性能を評価を行った。電子線検出型のイオンセンサーの基礎実験システムを構築し、イオン感応膜の構成、電子線照射による電荷検出の原理検証、感度、イオン分布の検出の検証などを実施した。50nm程度の厚みのSi3N4基板をイオン感応膜として使用し、SiO2を絶縁膜、n型半導体の多層膜をベースとし、膜厚、半導体内の不純物濃度等による検出電流、空間分解能などを評価し、最適な膜構成を検討した。
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Strategy for Future Research Activity |
令和5年度に試作した基礎システムによる標準試料の測定結果と数値解析結果を詳細に比較検討し、システムの問題点を明らかにするとともに、その解決方法を検討及びシステムの改良し、本システムで実現可能な空間分解能、感度などを評価する。これらの結果から膜構造の解析を行い、 最適な膜構造を検討する。システム全体の課題の洗い出しと改良を進めることにより、高い空間分解能と感度を有するイオンセンサーを実現する。 開発した超解像度イオンイメージングシステムに、ラマンおよび蛍光分析可能なレーザー走査顕微鏡を融合し、マルチモーダルデータを取得可能な顕微鏡システムを実現する。開発するイオンイメージングシステムは、倒立型の電子顕微鏡を用い、イオン感応膜に収束電子線を照射する。 感応膜より上部は、フリースペースとなっているため、正立型のレーザー走査顕微鏡を組み込むことが可能である。レーザー走査顕微鏡とイオンイメージングのための電子顕微鏡の軸合わせ調整機構、観察位置一致のための試料台駆動機構および制御ソフトウェアの開発などを実施する 。電子顕微鏡およびレーザー走査顕微鏡の軸合わせのための標準試料としては、電子線励起およびレーザー励起可能なナノダイヤモンドを使用する。人工的な資質二重層膜を作製し、それにイオンチャンネルを低濃度で分散させ、生物細胞の標準試料とする。人工的に分散したイオンチャンネル近傍のイオン分布を測定し、生物試料観察における本センサーシステムの分解能、感度などを評価する。その結果をもとにHeLaなど、実際の生きた細胞の観察を行い、そのシステムの性能を評価する。 さらに 、その機能を利用した全く新しい革新的な機能性材料の開発にもつながる。
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