Project/Area Number |
23K26598
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Project/Area Number (Other) |
23H01905 (2023)
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Multi-year Fund (2024) Single-year Grants (2023) |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 31020:Earth resource engineering, Energy sciences-related
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
柴山 敦 秋田大学, 国際資源学研究科, 教授 (30323132)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山田 学 秋田大学, 理工学研究科, 准教授 (90588477)
芳賀 一寿 秋田大学, 国際資源学研究科, 准教授 (10588461)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥19,240,000 (Direct Cost: ¥14,800,000、Indirect Cost: ¥4,440,000)
Fiscal Year 2025: ¥3,510,000 (Direct Cost: ¥2,700,000、Indirect Cost: ¥810,000)
Fiscal Year 2024: ¥3,640,000 (Direct Cost: ¥2,800,000、Indirect Cost: ¥840,000)
Fiscal Year 2023: ¥12,090,000 (Direct Cost: ¥9,300,000、Indirect Cost: ¥2,790,000)
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Keywords | リチア輝石 / リチウム / 浮選 / 捕収剤 / 表面処理 / 焙焼 |
Outline of Research at the Start |
リチウムイオン電池等に利用されるリチウムは、約半分が、リチア輝石(Spodumene: LiAlSi2O6)等の鉱石から生産されている。本研究では、低品位リチア輝石を対象に、リチウム回収プロセスの開発を目指す。研究の中心となる部分は、リチア輝石のような酸化鉱物に効果を発揮する浮選用捕収剤を探索・開発し、選鉱学的手法を併用することで、酸化物浮選の可能性を明らかにすることである。さらに、鉱石表面を加熱改質処理することで、リチウムを効率よく抽出できる条件を検証するなど、リチウム生産に貢献する回収プロセスの基礎開発を進める。
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Outline of Annual Research Achievements |
低品位リチア輝石を対象に、選鉱学的な手法を用いたリチウム濃縮とリチア輝石からのリチウム抽出に関する基礎試験を実施した。今回使用した低品位リチア輝石に関しては、1,000μm~500μmにおけるリチウム品位(Li2O換算)が0.5~0.6%、74μm~38μmでは同0.2~0.3%と極めて低い。 粗粒側の1,000μm~500μmに関しては重液選別(DMS)を用い、重質鉱物(沈鉱物)としてリチア輝石を濃縮回収する条件を調べた。一方、微粒側の74μm~38μmに関しては浮選による調査を行った。重液選別では、ポリタングステン酸ナトリウムを用い、重液比重を3.0~2.7まで0.1刻みで調製し、投入する鉱石粒径を1,000μm~850μm、850~500μmに分けて実施した。その結果、重液比重3.0~2.8の範囲では、二つの粒径区分でLi2O品位が5.0%以上に達するなど、高品位化とリチウム濃縮には優れた分離性があることを確認した。さらに重液比重2.8であれば、Li2O回収率が80%以上に達した。一方、浮選については、オレイン酸ナトリウム、ドデシルアミン酢酸塩などの捕収剤を単独あるいは混合利用し、抑制剤やpH等の浮選条件を付与することで、低品位リチア輝石の正浮選、逆浮選の可能性を調べた。主な結果として、逆浮選によって回収されたTail側回収物のLi2O品位が1.0~1.2%、回収率で40~60%が得られるなど、一定の分離性を有することを確認した。 これら一定のリチウム品位を有するリチア輝石を対象に、大気焙焼、NaOHを加えたアルカリ焙焼、硫酸化焙焼などを行い、鉱物相の変化と水浸出の可能性を予察的に調べた。現状ではα-リチア輝石相がβ-リチア輝石相に転換することが一部条件で確認され、水浸出でリチウム分の50%~60%が浸出可能なことがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究初年度にあたる2023年度は、低品位リチア輝石を対象に、選鉱学的手法を用いたリチア輝石精鉱(濃縮物)の回収に重点を置き研究を進めた。試料として用いたリチア輝石は、粒度によりリチウム品位(Li2O換算)に差があり、1,000μm~500μmの粗粒群はやや高く0.5~0.6%、微粒群の74μm~38μmでは0.2~0.3%と非常に低いことを確認した。 粗粒群には、ポリタングステン酸ナトリウムを用いた重液選別(DMS)を利用し、リチア輝石を重質鉱物(沈鉱産物)として濃縮回収することを試みた。このとき投入する鉱石粒径を1,000μm~850μm、850~500μmに分けて両粒群の分離性を評価した。重液比重が3.0~2.8であれば、二つの粒径区分でLi2O品位が5.0%以上に達するなど、リチウムの高品位化が可能であった。最も品位の高いリチウム精鉱は、重液比重が3.0の場合にLi2O換算で7.0%に達したほか、重液比重が2.8であれば、Li2O回収率が80%以上に達するなど、リチウム濃縮を考えると優れた分離性があることを確認した。 一方、微粒側への浮選試験に関しては、ケイ酸塩鉱物に対する効果が知られているオレイン酸ナトリウム、ドデシルアミン酢酸塩などの既存捕収剤を単独あるいは混合利用し、抑制剤やpH等の浮選条件が与える影響を調べた。その結果、逆浮選で回収されたTail側回収物のLi2O品位が1.0~1.2%となり、リチウム回収率で40~60%になるなど、一定の分離性を有することがわかった。 これら一定品位のリチア輝石を対象に、大気焙焼、アルカリ焙焼、硫酸化焙焼等を行い、鉱物相の組成変化と水浸出の可能性を予察的に調べた。基礎試験の結果ではあるが、リチア輝石のα相がβ相に転換することを一部条件で明らかにし、水浸出によりリチウム浸出率が60%程度になることを先行調査で確認した。
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Strategy for Future Research Activity |
低品位リチア輝石の微粒群を対象に、浮選による分離制を継続調査する。特に本研究の主要課題の一つであるアミン系化合物を中心に、メラミン類、エーテルアミン類などの化合物を選定し、これら薬剤を直接投入した分離性を調べる。また、一部薬剤については塩酸塩化処理や混合投入あるいは抑制剤などの補助薬剤を用い、浮選による濃縮効果を追跡調査する。これら浮選試験については、Li2O品位で0.2~0.3%と極めて低いリチア輝石を対象とすることから、精鉱品位で1.5%以上を目標とするなど、高品位化の可能性と回収率に与える影響を条件面から検討する。 一方、Li2O品位で3.0~4.0%のリチア輝石を対象に、大気焙焼やアルカリ焙焼、硫酸化焙焼あるいはマイクロ波加熱による影響を調べる。この点は本研究の二つ目の課題になるが、鉱石加熱と表面の改質処理により、リチウムの抽出性がどのように影響を受けるか、加熱温度や焙焼時間、薬剤の添加濃度などを主要な調査項目とし研究を進める。特に、焙焼条件と鉱物相の関係を明らかにする必要があることから、XRDにより鉱物組成を調べつつ、基本的には水浸出によるリチウム回収(抽出)の可能性を調べる。これらの研究を行うことで、低品位リチア輝石からのリチウム濃縮と抽出に関するプロセス開発を進める。
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