Project/Area Number |
23K26606
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Project/Area Number (Other) |
23H01913 (2023)
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Multi-year Fund (2024) Single-year Grants (2023) |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 31020:Earth resource engineering, Energy sciences-related
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
朝比奈 健太 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 地質調査総合センター, 研究員 (40728276)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中嶋 健 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 地質調査総合センター, 研究グループ長 (20357627)
吉岡 秀佳 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 地質調査総合センター, 研究グループ長 (30415765)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥18,720,000 (Direct Cost: ¥14,400,000、Indirect Cost: ¥4,320,000)
Fiscal Year 2025: ¥4,940,000 (Direct Cost: ¥3,800,000、Indirect Cost: ¥1,140,000)
Fiscal Year 2024: ¥6,500,000 (Direct Cost: ¥5,000,000、Indirect Cost: ¥1,500,000)
Fiscal Year 2023: ¥7,280,000 (Direct Cost: ¥5,600,000、Indirect Cost: ¥1,680,000)
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Keywords | メカノケミカル反応 / 石炭 / 低分子化 / ケロジェン / ルテニウム酸化 / メカノケミカル / ガス化 / 液化 |
Outline of Research at the Start |
石炭の液化法やガス化法は、埋蔵量が多く安価な石炭を、エネルギーや工業原料として利用しやすいオイルやガスに変換させる技術である。従来、石炭の液化法やガス化法は、主に熱分解法が採用されてきた。しかし、高温・高圧条件で石炭を分解する熱分解法は、エネルギー投入量や生産コストが高く、環境負荷も大きい。そのため、外部からの加熱や圧力を必要とせずに石炭を低分子化する方法の開発が望まれる。そこで本研究は、物質の粉砕に使用されるボールミルを用い、その機会的エネルギーを化学反応に利用することで、石炭を低分子化する技術の開発を目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
2023年度は、メカノケミカル法による石炭の低分子化に関する基礎データの取得と、低分子化反応を促進する粉砕助剤の検討、粉砕前後の石炭の分子構造を評価するための分析法を確立した。まず本研究は、遊星ボールミルを用いた石炭の低分子化を行い、メタンからプロパンまでの飽和炭化水素ガス、エチレンからプロピレンまでの不飽和炭化水素ガスに加えて、水素や二酸化炭素、一酸化炭素が生成することが明らかとなった。石炭中の高分子から液体やガスへ変換するためには、水素付加が必須である。我々は、水素源として、シリカゲルを粉砕助剤として加えた石炭の低分子化を試みた。その結果、メタンなどの飽和炭化水素ガスの生成量の増加が認められ、シリカゲルが粉砕助剤として有効であることを明らかにした。またシリカゲルのみをボールミルで粉砕した結果、水素ガスの生成が認められたことから、シリカゲルが水素源として機能していることも示唆された。一方、エチレンやプロピレンなどの不飽和炭化水素ガスの生成量は減少したことから、気相反応で水素付加反応も進行していると考えられた。このことを検証するために、エチレンガスと水素ガスをボールミルで攪拌を行った結果、エチレンからエタンに変換されることが観測された。この結果から、水素存在下において、不飽和炭化水素の水素添加も進行することも明らかとなった。次に我々は、粉砕前後の石炭の分子構造を評価する分析法の確立を行った。石炭の分子中に含まれるアルカン部位を定量するために、ルテニウム酸化法による分解を試みた。反応時間を検討した結果、同一サンプルで再現性よくアルカンを検出することができ、分析条件を確立することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2023年度、我々はメカノケミカル反応による石炭の低分子化に必要な条件を特定することができた。具体的には、メカノケミカル法による石炭の低分子化に、水素が重要であること、またその水素源として、シリカゲルが有効であることを明らかにできた。さらに、不飽和炭化水素ガスと水素ガスの反応により、気相反応で水素添加が進行することも明らかにできた。粉砕前後における石炭の分子構造変化を評価するために、石炭分子中のアルカン部位の分析技術を確立した。これらの研究成果から、メカノケミカル法による石炭の低分子化反応のメカニズムの解明や最適化に向けた基礎的知見を得ることができた。以上の理由により、おおむね順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度、遊星ボールミルによる石炭の低分子化に関する検討と石炭の分子構造の分析方法の確立を行った。2024年度からは、メカノケミカル法で進行する反応を明らかにするために、実験後の石炭試料を分析する。これにより、メカノケミカル法による石炭の分子構造の変化を明らかにすることが可能となる。またこれまでは、生成するガス成分を中心に実験を行ってきたが、石炭の抽出成分への影響についても検証する。遊星ボールミルは、摩擦力が主なエネルギーであるのに対し、ミキサーミルは、衝撃力が主なエネルギーである。この違いが低分子化反応に与える影響を評価するために、ミキサーミルを2023年度末に購入した。今後、ミキサーミルによる石炭の低分子化も試み、最適条件を探索する。
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