Project/Area Number |
23K26648
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Project/Area Number (Other) |
23H01955 (2023)
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Multi-year Fund (2024) Single-year Grants (2023) |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 33020:Synthetic organic chemistry-related
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
岩崎 孝紀 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 准教授 (50550125)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥18,850,000 (Direct Cost: ¥14,500,000、Indirect Cost: ¥4,350,000)
Fiscal Year 2025: ¥2,860,000 (Direct Cost: ¥2,200,000、Indirect Cost: ¥660,000)
Fiscal Year 2024: ¥7,280,000 (Direct Cost: ¥5,600,000、Indirect Cost: ¥1,680,000)
Fiscal Year 2023: ¥8,710,000 (Direct Cost: ¥6,700,000、Indirect Cost: ¥2,010,000)
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Keywords | 遷移金属触媒 / 静電相互作用 / アニオン性分子 / 触媒 / アニオン |
Outline of Research at the Start |
近年、単一の触媒では達成が困難な分子変換反応を、複数の触媒を協働的に作用させることで達成する触媒設計が注目を集めている。しかし、単純に二つの触媒を混合する手法ではお互いが低濃度である。よって触媒どうし、もしくは触媒により生じた反応活性種との反応は、速度論的に不利であり、これを解決する合理的な触媒設計指針の確立が望まれている。 本研究では、ルイス酸触媒もしくは光レドックス触媒としての機能を有するアニオン性分子の開発、それらをカチオン性遷移金属触媒と組み合わせることで、静電的相互作用により形成される反応場内で二つの触媒を協働的に作用させる新手法の開拓に取り組む。
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Outline of Annual Research Achievements |
触媒機能をアニオン性分子に導入し、カチオン性遷移金属触媒と組み合わせることで両者が静電相互作用により近接しそれぞれの触媒活性中心が協働的に機能する多機能触媒の開発を目指し、アニオン性分子の合成に取り組んだ。ルイス塩基性の基質と相互作用する官能基として電子不足アレーンにヨウ素を導入したハロゲン結合型アニオンを設計し、p-ヨードテトラフルオロフェニル基を4つ有するボラートを合成した。また2点配位型のターフェニレン骨格に2つのヨウ素とボラートを導入したアニオンも合成した。別のアプローチとしてボラートに三配位ホウ素を導入したアニオンの合成にも成功した。 異なるアプローチとして光レドックス機能を有するアニオンの合成に取り組んだ。ビフェニルジリチウムとイリジウム(III)錯体を反応させることで、光レドックス機能を有する中性のIr(ppy)3の窒素原子を炭素アニオンで置換した[Ir(bp)3]3-が得られることを明らかにした。その構造は単結晶X線結晶構造解析により明らかにした。また、対カチオンであるリチウムを非配位性カチオンによって交換可能であることも見出した。[Ir(bp)3]3-は可視光を吸収し、Ir(ppy)3と同程度の発光を示した。同族のロジウム(III)錯体も弱いながら可視光領域に発光を示した。吸収および発光波長の制御を目的にπ拡張したビナフチル錯体の合成を検討したところ、ラセミ体のビナフチルジリチウムとイリジウム(III)の反応により、3つのビナフチルの軸不斉がホモキラルな錯体が立体選択的に得られた。 静電相互作用による連結効果を明らかにするため、対照となる遷移金属錯体と光レドックス機能を有する錯体を四座配位子で連結したヘテロ二核錯体の合成に取り組み、光レドックス機能を有するルテニウム錯体とパラジウムをテトラピラゾリルエテンで架橋した錯体の合成経路を確立した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画したルイス酸性および光レドックス機能を有するアニオン分子の合成は計画通り進行している。いくつかのアニオン性分子は安定性が十分ではないなど改善が必要であるが、これまでの知見をもとに設計を見直すことで克服できると考えている。ルイス酸性アニオンがルイス酸として基質と相互作用することをホスフィンオキサイドをルイス塩基として用いるGutmann-Becket法により確認した。興味深いことに一般的なホウ素ルイス酸であるトリス(ペンタフルオロフェニル)ボランと比較したところ、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボランでは31P NMRのタイムスケールではホスフィンオキサイドの解離平衡は観測されないのに対し、新たに開発したボラートに三配位ホウ素を導入したアニオンでは解離平衡が確認できた。これはアニオンの三配位ホウ素をルイス酸触媒として利用する上で有利な挙動である。 予備的な検討として、ボラートに三配位ホウ素を導入したアニオンをカチオン性イリジウム触媒と組み合わせてC-H結合の官能基化反応に着手し、一般的な非配位性アニオンとは異なる位置選択性を示す結果が得られつつある。 以上のことから当初の予定通り研究は着実に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
トリアニオン性Ir錯体[Ir(bp)3]3-が発光特性を示すことを見出した。そこで、このIr錯体を基本構造とし、DFT計算を指標にビフェニルへの置換基導入によるHOMO-LUMO準位の調整および、1つないし2つのビフェニルをフェニルピリジンに置換したジ、モノアニオン性Ir錯体[Ir(bp)3(ppy)n](3-n)-を合成する。 光レドックス触媒とNiを組み合わせた触媒系によるクロスカップリング型の反応が数多く報告されているが、多くの場合Ni(0)に対するC-Br結合の酸化的付加を含むためアルキル―アリールカップリングに限定的である。本研究では新たに開発した光レドックス機能を有するアニオン性錯体を用い、より挑戦的な2級および3級アルキル基間のカップリングに取り組む。 基質中の極性官能基(配向基DG)とルイス酸性アニオンとの相互作用を利用し、官能基近傍のC-H結合を立体的に保護し、遠隔位選択的なC-H結合の官能基化が可能か検討する。具体的には、カチオン性Rh(III)もしくはIr(III)触媒と合成したルイス酸性アニオンを組み合わせて、酸化的カップリング反応を検討する。 近年、飽和炭化水素のC(sp3)-H結合の官能基化が精力的に研究されている。例えばIr触媒を用いたホウ素化反応は有用な反応と期待できる。先行研究によると基質の配位性官能基の金属への配位が結合切断に不可欠である。この配位をアニオンとの相互作用に置き換えることで、従来法では難しい配位性官能基の遠隔位での官能基化を実現する。
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