Project/Area Number |
23K26672
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Project/Area Number (Other) |
23H01979 (2023)
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Multi-year Fund (2024) Single-year Grants (2023) |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 34010:Inorganic/coordination chemistry-related
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
田所 誠 東京理科大学, 理学部第一部化学科, 教授 (60249951)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松井 広志 東北大学, 理学研究科, 准教授 (30275292)
菅谷 知明 千葉工業大学, 工学部, 教授 (30633367)
亀渕 萌 日本大学, 文理学部, 助手 (60758564)
小林 文也 東京理科大学, 理学部第一部化学科, 講師 (90884205)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥19,240,000 (Direct Cost: ¥14,800,000、Indirect Cost: ¥4,440,000)
Fiscal Year 2025: ¥4,030,000 (Direct Cost: ¥3,100,000、Indirect Cost: ¥930,000)
Fiscal Year 2024: ¥4,030,000 (Direct Cost: ¥3,100,000、Indirect Cost: ¥930,000)
Fiscal Year 2023: ¥11,180,000 (Direct Cost: ¥8,600,000、Indirect Cost: ¥2,580,000)
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Keywords | hydrogen bond / electron transfer / mixed-valence complex / quamtum tunneling / neutron crystal analysis / 水素結合 / PCET / 混合原子価 / 金属錯体 / 量子効果 / 陽子雲 / 半導体 / 相転移 / 混合原子価状態 / トンネル効果 / 量子ビット |
Outline of Research at the Start |
水素結合型混合原子価錯体は、H+移動 (PT) や e-移動 (ET) の同期で、移動障壁(ΔEa) を越えて揺動でき、電場などで PT や ET を制御できる。極低温で同期した PT と ET は共に量子トンネルに従う素子である。陽子雲の局在化で電子雲の確率密度を制御できるかもしれない。「生体接合」という点から、この分子システムは、生体と同じメカニズムで駆動するインターフェイスになる。
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Outline of Annual Research Achievements |
水素結合したプロトンの移動(PT)と金属錯体の混合原子価状態の電子の移動(ET)を同時に行う系は、クーロン反発に伴う逆反応や電荷分離状態を取ることなく、PTとETを基底状態で起こすことができ、原子核の陽子を用いた新しい機能性材料を目指すことができる。特に電子も陽子も素粒子に属し、共にトンネル効果を伴って量子性を発現できる素粒子である。PT と ET を同時に動かす S-PCET 反応は、励起状態の再結合による逆反応が起きにくくし、クーロン相互作用をもたない中性子のように物質中を動きやすくなるのである。PT を電子-格子系に組み込んだ物質は、フォノンや双極子振動に頼らない新たな室温超伝導体モデルや ET と PT の同期トンネル移動を利用したダブル量子トンネルビットによるスイッチングなど、新しい物質開発をめざすことができる。一方、私たちが合成した錯体では、10 K 付近でH+ の陽子雲が局在化し、電子雲が非対称になることがわかってきた。もし、このメカニズムが解明できれば、生物の電子伝達系に使われる電子/イオン同期移動や、PTと ET が同期した高速でスイッチングできる新しい量子システムの開発に役立つだろう。また HBCF 結晶は、必ずしも多孔質でなくても混合原子価状態であれば 電子を伝えることができるはずである。自己組織化した”水素結合型分子電線”の開発にもつながる。そのため、低温で H+ の陽子雲に摂動された非対称な電子トンネル効果の存在を実験・理論的にでも証明できればと考えている。現在、水素結合で連結されたヘテロメタル金属錯体の混合原子価状態を利用したS-PCET現象について研究中である。もし、混合原子価でヘテロメタル金属錯体をもったもでは、陽子雲や電子雲がより高温でスイッチングできる可能性が有り、合成を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
緑色結晶 {[RuIII(bim)(Hbim)2][RuII(H2bim)(Hbim)2] [K(MeOBn)6]}n (MeOBn: methylbenzoate) (1)を得た。カチオンである K+ がナノ細孔の中心に位置することから、RuII 錯体とRuIII 錯体は、交互に配列した結晶となる。さらに、単結晶 2 は電気を通す半導体である(交流インピーダンス法:σAC = 5.12×10(-6) S/cm, 直流伝導度法:σDC = 8.01×10(-6) S/cm)。水素結合のみで連結された金属錯体のHBCF結晶が半導体になることを証明し、PT が混合原子価錯体間の ET を誘導して水素結合が電子伝導媒体となりうること明らかにした。まず、ヘテロメタルなRuIIOsIII錯体 {[OsIII(bim)(Hbim)2][RuII(H2bim)(Hbim)2] [K(MeOBn)6]}n (2)を合成することに成功した。この結晶2も結晶1と同様に、水素結合だけで連結しており、半導体の電子伝導を示すことが分かった。結晶構造は、RuとOsは区別することができないで、電子伝導が揺動しているような結晶になっていた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究奉仕であるが、 [ReIIICl2(PnPr3)2(Hbim)][ReIVCl2(PnPr3)2(bim)](でPTが停止する温度が10K前後であるので、非常に低温のため様々な化学実験をすることが困難である。そのため、より転移温度を上昇させるように、ヘテロメタル金蔵錯体の導入を行うことを目標に挙げた。ヘテロメタルではPTとETの移動障壁が高くなり、より高温による転移温度の上昇がミラ得るものと考えている。一方、ReやOsは重金属なので、スピン軌道相互作用が大きく、非常に緩和が速く、スピンの物性が見にくいのが難点である。このような大きなスピン軌道相互作用が、PTとETの同期移動の原因なのかどうか調べることを目標に挙げた。さらに、異なった配位子をもつ水素結合型ヘテロメタル金属錯体の合成もできるかどうか試みている際 中である。
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