Project/Area Number |
23K26700
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Project/Area Number (Other) |
23H02007 (2023)
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Multi-year Fund (2024) Single-year Grants (2023) |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 35010:Polymer chemistry-related
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
森 秀晴 山形大学, 大学院有機材料システム研究科, 教授 (00262600)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥18,720,000 (Direct Cost: ¥14,400,000、Indirect Cost: ¥4,320,000)
Fiscal Year 2026: ¥3,380,000 (Direct Cost: ¥2,600,000、Indirect Cost: ¥780,000)
Fiscal Year 2025: ¥3,380,000 (Direct Cost: ¥2,600,000、Indirect Cost: ¥780,000)
Fiscal Year 2024: ¥4,290,000 (Direct Cost: ¥3,300,000、Indirect Cost: ¥990,000)
Fiscal Year 2023: ¥7,670,000 (Direct Cost: ¥5,900,000、Indirect Cost: ¥1,770,000)
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Keywords | グリーンラジカル重合 / ディ―プ共融混合体 / イオン伝導性高分子 / 自己修復材料 / 高アトムエコノミー / ラジカル重合 / グリーンケミストリー / イオン伝導性材料 / 自己修復性材料 / 精密重合 / 光重合 / 重合誘起自己組織化 / イオン伝導材料 / 分解性高分子 |
Outline of Research at the Start |
本研究では、新しいグリーン溶媒・イオン性物質群として期待されているディ―プ共融混合体 (Deep Eutectics)を活用し、有機溶媒を全く使用せず高アトムエコノミー(排出物ゼロ)なグリーンラジカル重合によりサステナブル高分子材料(イオン伝導性/自己修復性/分解性高分子)を合成する手法を開拓する。最終的には、天然由来のディ―プ共融混合体からサステナビリティーに貢献し得る材料群を創出する手法を開拓し、製造時(モノマー合成・重合プロセス)だけでなく、使用時、廃棄時を含めた循環システム全体を考慮したサステナブルラジカル重合システムを確立し、その基盤技術の体系化を目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、新しいグリーン溶媒・イオン性物質群として期待されているディ―プ共融混合体を活用し、有機溶媒を全く使用せず高アトムエコノミー(排出物ゼロ)なグリーンラジカル重合によりサステナブル高分子材料(イオン伝導性/自己修復性/分解性高分子)を合成する手法の開拓を目的とした。 ディ―プ共融モノマー(Deep Eutectic Monomer:DEM)の設計・合成として、N-イソプロピルアクリルアミド (NIPAM)/アミド系柔粘性結晶/リチウム塩からなる3元系DEM類を各種合成し、その光重合挙動を検討した。その結果、3つの固体原料からなるDEM類の無溶媒、高原子効率、大気下、極短時間といったグリーンモノマー合成・重合プロセスを確立した。また、柔粘性結晶の導入量により柔軟性とイオン伝導性を兼ね備えた高分子固体電解質を構築する事ができた。さらに金属塩や対イオンの構造により自己修復性を付与できる事も見出した。 次に、天然由来のディ―プ共融溶媒/モノマー(Natural DES・DEM)を活用した次世代ラジカル重合システムを開拓した。NIPAMを基幹モノマーに選択し、チモール、メントール、クマリンなどの天然由来の化合物から非イオン性NADEM類を調製し、その熱・光ラジカル重合を検討した。その結果、天然由来成分の構造と組成の選択により無溶媒での高速重合性と酸素耐性が付与できる事を明らかにした。また、NADESがNIPAMの高速ラジカル重合・RAFT重合のグリーン溶媒として有用であることを明らかにした。 さらにN-ビニルカプロラクタム、N-ビニルアセトアミド、メタクリルアミドを基幹モノマーに用いた新規DEM類を開拓した。また、高屈折率高分子の合成や重合誘起自己組織化のグリーン溶媒としてDES及びNADES類が有用であることを見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題では4項目を実施し、おおむね順調に進展している。各項目の進歩状況を以下に示す。 (I) ディ―プ共融モノマー(DEM)の設計・合成に関しては、「アミドモノマー/アミド/金属塩」からなる3元系に加え、天然由来の化合物から得られるNADEM群、N-ビニルカプロラクタムやN-ビニルアセトアミドのような非共役モノマー類やラジカル単独重合性が低いメタクリルアミドを基幹モノマーとして用いたDEM類を開拓した。新たなイオン性/非イオン性物質群にDEMの適応範囲を大きく広げる事が出来た。 (II) グリーンラジカル重合に関しては、揮発性有機溶媒を全く使用せず、排出物ゼロなグリーンラジカル重合可能な系を複数開拓した。その高速重合性・酸素耐性を与える要因やモノマーの化学構造との相関が明らかになりつつある。天然由来のNatural DESを活用した次世代ラジカル重合システムの開拓として、高屈折率高分子の合成におけるNADESの有用性(重合特性の向上)や重合誘起自己組織化への適応性も見出した。 (III) イオン伝導性/自己修復性材料の創出に関しても両特性を与える材料群を複数見出している。特に、リチウム塩からなるディ―プ共融混合体部位の分子設計により自己修復機能やイオン伝導性の向上が可能である事を見出している。さらにリチウム塩系以外の可逆的相互作用を活用したDEMからなる材料群でイオン伝導性や自己修復性を与えるものを見出した。 (IV) 分解性を付与する基盤技術の開拓に関しては、分解特性を付与する新たな系を見出しつつある。
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Strategy for Future Research Activity |
(I) ディ―プ共融モノマー(DEM)の設計・合成に関しては予定通りに検討を進める。特に新しい組み合わせからなる金属塩、アンモニウム塩、天然由来DEM類を設計・合成し、その汎用性と用途拡大を目指す。また、その化学構造と重合特性及び生成ポリマーの機能や諸物性との相関を明らかにする。 (II) グリーンラジカル重合の確立と体系化に関しても予定通りに検討を進める。新たに開発するDEM群のグリーンラジカル重合系への適応を検討し、その汎用性・有用性の拡大を目指す。特に、高速重合性・酸素耐性を与える要因やモノマーの化学構造との相関を明らかにすることでグリーンラジカル重合の基礎的概念の確立とその体系化を目指す。さらに、天然由来のNADES・NADEM類に関しても重合誘起自己組織化へ適応できる系の拡大やDESにより重合が促進される重合系の発掘などを試みる。 (III) イオン伝導性/自己修復性材料の創出と機能評価に関しては、新たにリチウム塩系以外の可逆的相互作用を活用する。様々な組み合わせからなるDEM類を構築しイオン伝導性と自己修復性の向上を目指す。 (IV) 分解性を付与する基盤技術の開拓に関しては、ディ―プ共融混合体(DES・DEM)を活用し分解性部位・分解機能を付与する基盤技術を開拓する。主鎖に分解性官能基を付与するモノマー類および解重合性のあるモノマー類に着目し、ディ―プ共融混合体の特異な機能と結合様式を利用したグリーンプロセスにより分解性を付与する基盤技術を確立する。さらにはモノマー合成・重合・分解・回収に全く有機溶媒を用いないグリーンな重合・分解プロセスの構築も目指す。
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