Project/Area Number |
23K26728
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Project/Area Number (Other) |
23H02035 (2023)
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Multi-year Fund (2024) Single-year Grants (2023) |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 35030:Organic functional materials-related
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Research Institution | Institute of Science Tokyo |
Principal Investigator |
相良 剛光 東京工業大学, 物質理工学院, 准教授 (60767292)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥18,850,000 (Direct Cost: ¥14,500,000、Indirect Cost: ¥4,350,000)
Fiscal Year 2025: ¥5,850,000 (Direct Cost: ¥4,500,000、Indirect Cost: ¥1,350,000)
Fiscal Year 2024: ¥5,070,000 (Direct Cost: ¥3,900,000、Indirect Cost: ¥1,170,000)
Fiscal Year 2023: ¥7,930,000 (Direct Cost: ¥6,100,000、Indirect Cost: ¥1,830,000)
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Keywords | メカノフォア / ロタキサン / 超分子 / エラストマー / 機械的刺激応答性発光材料 |
Outline of Research at the Start |
近年、機械的刺激を受けて、色の変化、小分子の放出、触媒作用の誘起などの多様なアウトプットを示すメカノフォアと呼ばれる分子骨格が盛んに研究されている。我々は共有結合を切断する必要がないロタキサン型超分子メカノフォアを開発し、これらのメカノフォアを導入したポリマーフィルムが伸縮に応じて蛍光のOn/Offスイッチすることを明らかとしてきた。本研究では、新規動作機構を導入することにより、不可逆変化しか示さないロタキサン、そして蛍光団の選択の幅を大きく拡張し、ロタキサン型超分子メカノフォアの機能設計自由度を飛躍的に高めることを目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
近年、機械的刺激を受けて、色の変化、小分子の放出、触媒作用の誘起などの多様なアウトプットを示す「メカノフォア」と呼ばれる分子骨格が盛んに研究されている。我々は共有結合を切断する必要がないロタキサン型超分子メカノフォアを開発し、これらのメカノフォアを導入したポリマーフィルムが伸縮に応じて蛍光をOn/Offスイッチすることを明らかとしてきた。しかし現状、力の印加履歴記録に適したロタキサン型超分子メカノフォアは未開拓であり、導入する蛍光団の選択肢の幅が狭いなどの課題に直面している。そこで本研究では、ロタキサン型超分子メカノフォアに新しい動作機構を導入することでこれらの課題を克服し、当該メカノフォアが高い汎用性・実用性を兼ね備えたメカノフォアであることを実証する。具体的には、①蛍光強度の不可逆変化のみを示すメカノフォア、及び、②回転抑制発光機構を組み込んだメカノフォアの二種類を開発し、機能設計自由度を格段に拡張することを目指している。 研究初年度の本年は、研究項目①に関して、軸分子の長さを短くしたロタキサンの合成を行った。このロタキサンには先行研究で力で環状構造がすり抜けることが分かっているストッパー構造を導入した。得られたロタキサンを従来と同じ重付加反応を用いてポリウレタンエラストマーに導入したところ、伸縮による蛍光強度の大きな変化はほぼ観察されず、伸縮を繰り返すと除荷時の蛍光強度が徐々に上昇することが分かった。これは目的の機能が達成できている結果となったが、今後、従来の共有結合切断型のメカノフォアとのactivation挙動の比較が必要である。研究項目②に関しても合成スキームの確立ができ、ロタキサンの合成に成功した。評価方法を次年度より模索する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究項目①に関しては、環状構造のすり抜けを利用したロタキサンのプロトタイプができたと考えている。軸の長さをどこまで短縮すると、引っ張られても消光され続けるのかに関する知見も得られた。さらに、消光団からリンカーを一切導入せずにストッパーを導入したロタキサンでは、コンフォメーションが異なるロタキサンの混合物が得られていることを示唆するデータも得られた。これらの混合物の分離は困難で、ある程度、消光団とストッパーの距離を話すことも、解析を容易にするには必要であるという結論に至りつつある。そのため、①に関しては、予定よりも順調に研究が進展しているといえる。一方研究項目②に関しては、テトラフェニルエタン骨格をストッパーとして導入したロタキサンが合成できた。しかし、いまだ機能評価には至っていない。機能評価の方法として、これまでに当研究室で行ってきたポリウレタンエラストマーへの導入ができないため、今後評価法を模索する必要がある。以上の二つの研究項目の進展具合を総合的に判断し、おおむね順調に進展している、とした。
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Strategy for Future Research Activity |
研究項目①に関しては、プロトタイプのロタキサンが示した、力による環状構造のストッパーのすり抜け効率がそこまで良好ではないことが明らかになった。そこで、さらに構造を変更したロタキサンを複数合成する。ストッパーと消光団の間のリンカーの長さ、ストッパーの構造をそれぞれ改変したロタキサンを幅広く合成する。さらに、共有結合切断型のメカノフォアとの比較を行うため、メカノフォアの分野で良く研究されてきた、スピロピランなどのメカノフォアを合成し、ロタキサンと同時にポリウレタンに導入し、どちらのメカノフォアがよりactivationされるのかを定量評価する実験を行う。共有結合切断型のメカノフォアよりもactivationに必要な力が大きい場合には、本研究はあまり意味をなさない。そのため、本評価により、確実に従来の共有結合切断型のメカノフォアでは見れない領域の力を検出・永続的に記録できるロタキサン型超分子メカノフォアを探索する。 研究項目②に関しては、ポリウレタンではその刺激応答能を評価することが困難であるため、DNオルガノゲルなどの、周りに溶媒分子があり、ある程度テトラフェニルエタン骨格が自由に運動できる材料を様々に試す予定。バルクの材料で評価が難しい場合には、光ピンセットなどを用いて、1分子レベルで評価を行うことも検討する。
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