Project/Area Number |
23K26731
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Project/Area Number (Other) |
23H02038 (2023)
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Multi-year Fund (2024) Single-year Grants (2023) |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 35030:Organic functional materials-related
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
尾崎 雅則 大阪大学, 大学院工学研究科, 教授 (50204186)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤井 彰彦 大阪工業大学, 工学部, 教授 (80304020)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥18,850,000 (Direct Cost: ¥14,500,000、Indirect Cost: ¥4,350,000)
Fiscal Year 2025: ¥5,460,000 (Direct Cost: ¥4,200,000、Indirect Cost: ¥1,260,000)
Fiscal Year 2024: ¥5,720,000 (Direct Cost: ¥4,400,000、Indirect Cost: ¥1,320,000)
Fiscal Year 2023: ¥7,670,000 (Direct Cost: ¥5,900,000、Indirect Cost: ¥1,770,000)
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Keywords | 液晶 / フラストレーション / 光配向 |
Outline of Research at the Start |
本研究では、フラストレート液晶の自己組織化構造形成と、二次元・三次元トポロジカル・フラストレーション・デザインとを融合させることによりシステム機能発現に必要な秩序構造の創成を目指す。具体的には、(1)キラル導入により階層的三次元高次構造を形成するコレステリックブルー相、(2)巨視的な分極を有する強誘電性液晶などを局所パターン光配向させることにより生成される三次元トポロジカル誘電ネットワークとフラストレーション・デザインとを融合させる。
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Outline of Annual Research Achievements |
液晶は自己組織性により多様な分子配列構造を形成する。特に、キラリティなどに誘起されるフラストレーションにより、二次元/三次元の特異なナノ構造や階層構造(自己組織フラストレート秩序)を形成する場合があり、基礎科学、デバイス応用の両面から近年注目されている。しかし、構造形成を駆動するフラストレーションとそれにより誘起される秩序構造形成は偶発的(結果的)なものであり制御されていない。真に実用的に使い物になるシステム機能を得るためには、求める機能の実現に向けて精緻に設計されたフラストレーションの付与が不可欠である。そこで本研究では、フラストレート液晶(ブルー相)の自己組織化フラストレート秩序形成と、システム機能からバックキャストによりデザインされた二次元・三次元トポロジカル・(トップダウン)フラストレーションを融合させることにより、システム機能発現に必要な秩序構造創成を実現することを目的として研究を行った。本年度は、一次元らせん構造を有するコレステリック相(Ch)液晶および三次元螺旋構造を有するコレステリックブルー相(BP)液晶に着目して、基板面上の配向容易軸方向を連続かつ周期的に変化させたパターン配向を施すことによってフラストレーションを付与し、そこで発現する現象の詳細を調べた。Ch液晶では、一般に楔形セルにおいて観察されるグランジャン組織が確認でき、その状態から昇温することにより、歪の集中する欠陥線からのBPの選択的相転移が観測された。また、BP液晶を等方相から徐冷することにより、BP格子が傾いたスラント構造を形成していることも確認した。さらに、基板間に電界を印加する事により、格子歪を誘起し反射波長の長波長シフトが確認され、高電界の印加により、スラント構造から通常の格子配列構造に転移する現象も見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、二つの項目からなる。すなわち、(1)トポロジカル欠陥制御技術の高度化と、(2)未踏フラストレート秩序の創成とシステム機能実現のためのフラストレーション・デザインである。前者は、高度な欠陥制御に不可欠な、高空間分解能でかつ任意のパターンを実現できる光配向システムの構築であり、後者は、パターン配向により高次構造液晶材料において新たに発現する構造を探索することである。項目(1)に関しては、本年度は、二光子励起過程に基づく偏光レーザー直接描画装置の構築を行った。具体的には、400nmに吸収波長を有するアゾベンゼン系の光配向剤に、波長800nmのフェムト秒レーザー光を照射して液晶の配向挙動を観察して光配向条件の検討を行った。その結果、1ミクロン程度の空間分解能での液晶光配向に成功した。項目(2)に関しては、液晶配向のパターンの一例として、配向容易軸が一次元状に連続的に変化する周期的配向パターンを取り上げ、それが元々自己組織的に高次構造を有する液晶材料の配向挙動に及ぼす影響を調べた。具体的には、2つの円偏光レーザー光を干渉させて一次元パターン配向を実現し、そのパターン配向基板から構成される平板セルに、ブルー相(BP)を発現する液晶材料封入して、フラストレート効果の観察を行った。その結果、BPの低温領域で発現するコレステリック相(Ch)において、グランジャン欠陥構造が実現できることを明らかにした。このグランジャン欠陥において弾性ひずみが集中するが、その状態から昇温してBP相に転移させた場合、欠陥領域において選択的に相転移が起こることを見出した。一方、等方相からBPに徐冷した場合、BP三次元格子構造が傾いて配列したスラント構造が実現でき、これが体積グレーティングとして機能することを確認した。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き当初計画に沿って研究を推進することは勿論のこと、フェムト秒レーザーを用いた微細領域への配向パターン書き込み実験に先立って、特に、BP液晶の格子の配列メカニズムのさらなる理解を図るために、外部電界の印加方向の違いによる格子配列挙動の検討を進める。また、微細配向パターン上における液晶の配向状態の直接観測手法の検討を行う。特に、光重合性液晶の表面のSEM観察などの手法を検討する。また、(2)電場での波面の自在制御に必要な高分子液晶の導入を検討する。さらに、電界印加時のBP液晶の格子歪み、分子再配列を効率的に実現するために、分極の大きな液晶材料の導入を検討する。中でも自発分極を有する強誘電性ネマチック液晶をもちいた強誘電性ブルー相の実現を目指す。
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