Project/Area Number |
23K26747
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Project/Area Number (Other) |
23H02054 (2023)
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Multi-year Fund (2024) Single-year Grants (2023) |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 36020:Energy-related chemistry
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
高石 慎也 東北大学, 理学研究科, 准教授 (10396418)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥19,370,000 (Direct Cost: ¥14,900,000、Indirect Cost: ¥4,470,000)
Fiscal Year 2026: ¥2,470,000 (Direct Cost: ¥1,900,000、Indirect Cost: ¥570,000)
Fiscal Year 2025: ¥2,210,000 (Direct Cost: ¥1,700,000、Indirect Cost: ¥510,000)
Fiscal Year 2024: ¥2,470,000 (Direct Cost: ¥1,900,000、Indirect Cost: ¥570,000)
Fiscal Year 2023: ¥12,220,000 (Direct Cost: ¥9,400,000、Indirect Cost: ¥2,820,000)
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Keywords | 二水素錯体 / 水素同位体 / 量子ふるい / 水素分子錯体 / 同位体分離 / オペランド測定 |
Outline of Research at the Start |
重水素(D)は化学交換法や蒸留を用いた分離濃縮によって生産されているが、これらの生産法はエネルギー効率などの問題を抱えており、新しい分離法が望まれている。最近、化学親和性量子ふるい(CAQS)と呼ばれる手法が注目されているが、対象化合物がわずかであることが研究におけるボトルネックであった。申請者らは最近、固相の二水素錯体がCAQSとして優れた分離能を示すことを見出したが、分離能を決定する要因は明らかになっていない。本研究課題では、錯体合成・理論計算・オペランド計測を三本柱とし、これらを相補的に利用することで分離能を決定する要因を明らかにし、それを基にさらに高い分離能を持つ物質を開発する。
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Outline of Annual Research Achievements |
申請者は水素分子錯体において、吸着エンタルピーがH2に比べてD2のほうが有意に高いことを明らかにした。その理由を明らかにするために量子化学計算およびオペランドXAFS測定を行った。ケンブリッジ結晶構造データベース記載の構造データを中心とした44化合物について量子化学計算を行った。その結果、吸着平衡定数の比(KD2/KH2)と吸着エンタルピー差(ΔΔH)の間に明確な相関があることを明らかにした。これは、本水素同位体分離がエンタルピー駆動であることを示しており、ゼロ点振動エネルギーの違いに起因するという機構の妥当性をサポートする結果であった。また、KD2/KH2とM-H距離の間にわずかな相関が見られた。これについてはさらなる解析が必要である。 一方、Mn錯体におけるオペランドXAFS測定の結果、プリエッジ領域に明確な違いを観測した。これは水素分子が金属イオンに配位することで分子の対称性が変化したことを示している。また、わずかではあるが吸収端のシフトを観測した。これは同測定を用いて金属イオンの実酸化数を鋭敏にとらえることが出来たことを示している。また、オペランドFT-IR測定の環境を整えるとともに、中性子非弾性散乱(INS)を専門とするオークリッジ国立研究所(米国)のProf. Anibal J Ramirez Cuestaとの共同研究を進める旨で合意し、2024年度に同研究所においてオペランドINSを行うための準備を整えた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ケンブリッジ結晶構造データベース記載の構造データを中心とした44化合物について量子化学計算を行った結果、量子化学計算を用いて実測の分離能をある程度再現できることが明らかとなった。これは、同位体機構を明らかにするうえで非常に重要な知見であった。また、Mn錯体におけるオペランドXAFS測定の結果、プリエッジ領域に明確な違いを観測した。これは水素分子が金属イオンに配位することで分子の対称性が変化したことを示している。また、わずかではあるが吸収端のシフトを観測した。これは同測定を用いて金属イオンの実酸化数を鋭敏にとらえることが出来たことを示している。本課題の予算においてFT-IR用クライオスタットを購入し、オペランドFT-IR測定を行える環境を整えることが出来た。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、量子化学計算の対象化合物を拡大し、100種類以上の錯体について計算を行い、水素分離能のデータベース作成を進める。また、これらのデータについて機械学習の手法を用いることで分離能と相関する物質パラメータを見つけ出す。 また、実験についてはオペランドFT-IR、オペランドXAFS(再測定)、オペランド中性子非弾性散乱の測定を進めることで、本物質系における水素同位体分離メカニズムを解明する。
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