Project/Area Number |
23K26757
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Project/Area Number (Other) |
23H02064 (2023)
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Multi-year Fund (2024) Single-year Grants (2023) |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 36020:Energy-related chemistry
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
陣内 青萌 大阪大学, 産業科学研究所, 助教 (40861042)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐々木 勇和 大阪大学, 大学院情報科学研究科, 助教 (40745147)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥18,590,000 (Direct Cost: ¥14,300,000、Indirect Cost: ¥4,290,000)
Fiscal Year 2026: ¥6,760,000 (Direct Cost: ¥5,200,000、Indirect Cost: ¥1,560,000)
Fiscal Year 2025: ¥2,990,000 (Direct Cost: ¥2,300,000、Indirect Cost: ¥690,000)
Fiscal Year 2024: ¥3,380,000 (Direct Cost: ¥2,600,000、Indirect Cost: ¥780,000)
Fiscal Year 2023: ¥5,460,000 (Direct Cost: ¥4,200,000、Indirect Cost: ¥1,260,000)
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Keywords | 有機半導体 / 有機太陽電池 / 有機光触媒 / π電子 / 機械学習 / 有機トランジスタ / グラフ機械学習 / π共役化合物 |
Outline of Research at the Start |
有機太陽電池(OSC)と有機トランジスタ(OFET)の二つの研究領域に焦点をあてたデータ駆動型材料開発を実施する.有機半導体材料の分子構造を切り口に,OSCとOFETの両分野でデバイス性能に影響を及ぼす分子構造の特徴をグラフ機械学習により解析を試みる.グラフ機械学習を通じて両研究領域における半導体分子構造-物性-デバイス性能の相関性を明確化し,OSCとOFETで良好な特性を得る鍵となる分子構造や物性を分析するとともに,両分野の分子設計指針の違いを定量化する.さらに,有望な新規候補材料を実験的に合成し,デバイス評価まで実施することで,学習モデルの実験科学的検証と有望材料の実発見を試みる.
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究では有機太陽電池や有機トランジスタの2つの研究領域に焦点をあてたデータ駆動型材料開発を目指す。本年度はP3HTをドナー材料とする有機太陽電池材料に焦点をあて、機械学習用データの収集・整理を行った。また、分子構造式を特徴量とする有機太陽電池特性予測モデルの構築を推進し、有機半導体の広範な分子構造式を統一的な方法で表現する手法を見出した。さらに本年度は収集した有機太陽電池データに基づき、P3HTとの組み合わせに適する分子構造因子を推定し、良好な特性を示す新規構造のアクセプター材料 (TT-FT-ID) を開発することができた。TT-FT-ID の有機太陽電池素子の試作においては、ベイズ最適化を利用した素子作製条件探索を実施し、迅速かつ精密な素子作製条件の最適化手法を開発することができた。このベイズ最適化は入力変数を適切に設計することによって、素子作製条件の最適化のみならず有機半導体の分子構造探索や最適化にも適用可能であることが明らかとなった。 本事業の開始時には想定されなかった研究結果として、有機半導体材料の分子設計を通じて分子間相互作用や分子軌道分布を適切に制御することで、有機半導体の最重要物性の一つである励起子束縛エネルギーを低下させることが可能であることを見出した。小さい励起子束縛エネルギーを有していた有機半導体は、従来のバルクヘテロジャンクション型有機太陽電池のみならず、単一成分型の有機太陽電池でも起電力が観測された。本成果は励起子束縛エネルギーを低減させることによって、新駆動原理の有機半導体デバイスを実現可能であることを示唆するものと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2023年度までに、P3HTをドナー材料とする有機太陽電池材料に焦点をあて、機械学習用データの収集・整理を概ね終了した。また、有機半導体の分子構造式を特徴量とする半導体デバイス特性予測モデルの構築を進め、本年度までに有機半導体の広範な分子構造式を統一的な方法で表現する手法を見出した。さらに、収集した有機太陽電池データに基づき、P3HTとの組み合わせに適する分子構造因子を推定することで、良好な特性を示す新規構造のアクセプター材料 (TT-FT-ID) を開発することができた。本材料の有機太陽電池素子の試作においては、ベイズ最適化を利用した素子作製条件探索を実施し、迅速かつ精密な素子作製条件の最適化手法を開発することができた。このベイズ最適化は極めて柔軟な機械学習モデルであるため、入力変数を適切に設計することによって素子作製条件の最適化のみならず、有機半導体の分子構造探索や最適化にも適用可能であることを見出した。 上記の機械学習モデルの構築に加えて、新規有機半導体材料の探索研究も実施した。本事業の開始時には想定していなかった発見として、有機半導体材料の分子設計を通じて分子間相互作用(分子配列)や分子軌道分布を適切に制御することで、有機半導体の最重要物性の一つである励起子束縛エネルギーを低下させることが可能であることを見出した。励起子束縛エネルギーは光照射によって有機半導体中に生成する励起しが自由電荷に分離するために必要なエネルギーである。本研究で見出した小さい励起子束縛エネルギーを示す有機半導体は、従来のバルクヘテロジャンクション型有機太陽電池のみならず、単一成分型の有機太陽電池でも起電力が観測された。本成果は励起子束縛エネルギーを低減させることによって、新駆動原理の有機半導体デバイスを実現可能であることを示唆するものと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度までに有機太陽電池材料分野の機械学習用データの収集・整理を概ね終了した。本年度は主として、有機半導体の分子構造式を特徴量とする半導体デバイス特性予測モデルの構築に取り組む。具体的には、分子構造式を重み付きグラフ行列やフィンガープリント等に変換し、特徴量として使用する。また、前年度に見出した分子構造式のグラフ探索アルゴリズムを利用した独自の特徴量についても検討を実施する。目的変数は有機太陽電池のデバイス特性値(すなわち短絡電流密度、開放端電圧、曲線因子)を想定する。また昨年度に新たに見出した重要物性である励起子束縛エネルギーを焦点とした分子構造-物性相関の解明も実施する。学習アルゴリズムはグラフニューラルネットワークの適用を検討する。これに加えて、構造式からの知識抽出に有効なグラフパターンマイニングや、その他の汎用的な機械学習法も同時に検討する。さらに、分子の部分構造,および全体構造を入力とする量子化学計算の結果を取り入れた機械学習手法についても検討を推進する。以上の機械学習手法の構築と並行して、有機トランジスタや有機電界発光素子の研究データの収集も推進する。今後の研究により、有機太陽電池と有機トランジスタの研究分野の材料について整理し、グラフ機械学習を通じて両研究領域における半導体分子構造-物性-デバイス性能の相関性を明確化することで,有機太陽電池と有機トランジスタで良好な特性を得る鍵となる分子構造や物理的特性を明確化する。さらに本年度は、良好な特性の発現が期待される分子構造の有機半導体材料を実際に有機合成し、半導体デバイスを実際に試作評価することによって、高性能材料の開発を試みる。
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