Project/Area Number |
23K26813
|
Project/Area Number (Other) |
23H02120 (2023)
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
|
Allocation Type | Multi-year Fund (2024) Single-year Grants (2023) |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 38020:Applied microbiology-related
|
Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
天知 誠吾 千葉大学, 大学院園芸学研究院, 教授 (80323393)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
黒田 真史 常葉大学, 社会環境学部, 准教授 (20511786)
山村 茂樹 国立研究開発法人国立環境研究所, 地域環境保全領域, 室長 (90414391)
|
Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
|
Budget Amount *help |
¥18,460,000 (Direct Cost: ¥14,200,000、Indirect Cost: ¥4,260,000)
Fiscal Year 2025: ¥5,070,000 (Direct Cost: ¥3,900,000、Indirect Cost: ¥1,170,000)
Fiscal Year 2024: ¥5,850,000 (Direct Cost: ¥4,500,000、Indirect Cost: ¥1,350,000)
Fiscal Year 2023: ¥7,540,000 (Direct Cost: ¥5,800,000、Indirect Cost: ¥1,740,000)
|
Keywords | ヒ素 / 還元 / 発酵細菌 / Pelosinus sp. IPA-1 / ヒ酸還元 / Pelosinus / プロピオン酸発酵 |
Outline of Research at the Start |
微生物のヒ酸還元システムには、解毒的なArsと呼吸的なArrが存在し、Arrはしばしば大規模な地下水ヒ素汚染を引き起こす。ヒ素汚染土壌より分離した発酵細菌Pelosinus sp. IPA-1は、ArsともArrとも異なる発酵的ヒ酸還元(Far:Fermentative arsenate reduction)を行うが、その分子メカニズムや、地下水ヒ素汚染に与える影響は明らかではない。本研究では、Farシステムの鍵酵素をタンパク質レベルで同定し、IPA-1がヒ酸存在下で代謝経路をどのように変化させ、生育に必要なエネルギーを得ているのか明らかにする。
|
Outline of Annual Research Achievements |
乳酸をプロピオン酸に発酵代謝する嫌気性細菌Pelosinus sp. IPA-1株は、培地中のヒ酸[As(V)]の量に依存して生育が上昇し、この時As(V)はすべて亜ヒ酸[As(III)]に還元される。また、メチルビオロゲン(MV)を電子供与体としたヒ酸還元酵素(FarA)活性測定において、ヒ酸存在下では本活性が約50倍上昇する。本年度はまず、FarAの局在性について検討を行った。リゾチーム処理によりスフェロプラストとペリプラズム画分を調製し、スフェロプラストを破砕後、超遠心分離により膜画分と細胞質画分に分画した。これら3つの画分におけるFarA活性を比較したところ、約90%が細胞質画分に検出された。そこで、IPA-1株の無細胞抽出液をNative-PAGEに供し、嫌気的に活性染色を行った。切り出した活性バンドをSDS-PAGEに供し、バンドを再度切り出してトリプシン処理しLC-MS/MS解析に供した。その結果、活性バンドにはDMSO reductase familyタンパクの一種であるテトラチオン酸還元酵素(Tetrathionate reductase: TtrA)が高いカバレージ(39%)で含まれることがわかった。転写解析の結果、TtrAをコードする遺伝子(ttrA)はヒ酸存在下で発現量が約96倍上昇することも明らかとなった。さらに、活性中心にモリブデンを有するTtrAを阻害するため、モリブデンのアナログであるタングステンを添加して培養実験を行った。その結果、IPA-1株の生育はヒ酸非存在下ではタングステンに影響を受けなかったが、ヒ酸存在下ではヒ酸非存在下での生育と同等レベルにまで低下した。またタングステン存在下では、IPA-1株のヒ酸還元が50%程度阻害された。以上の結果より、IPA-1株のヒ酸還元酵素の本体はTtrAであることが強く示唆された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
FarAの活性バンドの可視化に成功し、LC-MS/MS解析によりDMSO reductase familyタンパクの一種TtrAの同定に成功した。また、ttrA遺伝子がヒ酸存在下で顕著に発現上昇することが明らかとなり、モリブデンのアナログであるタングステンによってIPA-1株の生育とヒ酸還元が顕著に阻害されることもわかった。一方、当該タンパクはペリプラズムに局在すると予想していたが、案に相違して細胞質に局在した。以上の結果より、おおむね順調に進展していると判断した。
|
Strategy for Future Research Activity |
次年度はIPA-1株をヒ素存在下と非存在下で生育させ、タンパク質を抽出した後、網羅的な比較プロテオーム解析に供する。本解析はすでに一部遂行済であるが、より詳細な統計的解析を行う。TtrAやヒ素耐性タンパク以外に、乳酸の発酵代謝経路やプロピオン酸発酵経路(メチルマロニルCoA経路)など中枢代謝経路のタンパク質群の発現上昇/減少を解析する。また、NADH脱水素酵素複合体やフェレドキシン-NAD+酸化還元酵素複合体(Rnf)など、エネルギー代謝に関わる酵素群の発現も解析する。さらに、プロトノフォアやイオノフォアを用いた生育実験等により、IPA-1株のヒ酸存在下での生育が発酵と呼吸のいずれかを明らかにする。
|