Project/Area Number |
23K26818
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Project/Area Number (Other) |
23H02125 (2023)
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Multi-year Fund (2024) Single-year Grants (2023) |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 38020:Applied microbiology-related
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
饗場 浩文 名古屋大学, 創薬科学研究科, 教授 (60211687)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井原 邦夫 名古屋大学, 遺伝子実験施設, 准教授 (90223297)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥18,720,000 (Direct Cost: ¥14,400,000、Indirect Cost: ¥4,320,000)
Fiscal Year 2025: ¥5,460,000 (Direct Cost: ¥4,200,000、Indirect Cost: ¥1,260,000)
Fiscal Year 2024: ¥7,280,000 (Direct Cost: ¥5,600,000、Indirect Cost: ¥1,680,000)
Fiscal Year 2023: ¥5,980,000 (Direct Cost: ¥4,600,000、Indirect Cost: ¥1,380,000)
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Keywords | 寿命 / 酵母 / 分子細胞生物学 / 老化 / 分裂酵母 |
Outline of Research at the Start |
高等生物の寿命を理解するためには、まず細胞レベルでの寿命を理解することが重要である。そこで、微生物研究者の利点を生かして高等動物の寿命因子との共通性が指摘されている分裂酵母をモデルに用いて細胞寿命の理解に取り組む。特に未知の寿命因子と寿命延長シグナルを分裂酵母で探索し、それらの作用機構を理解することで、寿命創薬ターゲットの開発に繋がる成果を得たい。これらの知見をもとに、将来ヒトの寿命制御にまで展開可能な寿命制御の基盤・理論を構築したい。
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Outline of Annual Research Achievements |
分裂酵母の長寿命因子Eclファミリーの内、解析の遅れていたEcl3について以下の成果を得た。(1)Ecl3は培地のリン酸枯渇で転写誘導される。誘導は転写因子Pho7が行う。(2)リン酸枯渇は細胞周期をG1期で停止させ、性分化(接合)を誘導する。(3)Eclファミリー欠失株では、リン酸枯渇時に性分化が起こらない。その理由はCDKインヒビターRum1がEclファミリー欠失株では蓄積せず、正常なG1期停止が起こらないからである。 以上の解析結果により、Ecl1, Ecl2, Ecl3のそれぞれに関して、発現誘導シグナルの同定が進んだ。その結果、Eclファミリーは栄養枯渇を始めとする異なるストレス刺激に応答して誘導され、細胞がストレス条件下(飢餓状態)で生存率を維持するために、役割分担をしつつ機能する因子であることが明らかとなった。 Eclファミリーの生物種を超えた保存性と機能について理解を深めるため、昆虫病原性真菌Metarhizium robertsiiのEcl1ホモログCOH1について解析を行い、COH1が分裂酵母内でEcl1の機能を相補できることを明らかにし、真菌類に保存されたEclファミリーの存在意義について議論をした。 長寿命変異株の解析では、これまでに取得した独立変異株について遺伝学的解析を得て、全ゲノムシークエンス解析を行い原因遺伝子の同定を進めている。原因遺伝子候補が同定できたものから順次機能解析を進める予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
長寿命因子Eclファミリーは、高発現すると細胞寿命を延ばすが、その具体的機構について不明な点が多かった。解析が遅れていたEcl3について、染色体の近傍遺伝子の配置ならびにPho7転写因子の網羅的結合サイトの解析データを基に、培地中のリン酸の枯渇がEcl3の発現シグナルであることを発見した。さらに、リン酸枯渇は細胞周期をG1期に停止させ接合を開始させるが、Eclファミリーが欠失した株では、G1期停止が正常に起こらず接合も充分に起こらないことが明らかになった。さらにこれは、CDKインヒビターであるRum1が野生株ではリン酸枯渇によって蓄積するものの、Eclファミリー欠失株では蓄積しないことが原因であることを示唆することができた。 以上、Ecl3について、誘導シグナル並びに関与する細胞機能が明らかになったことにより、各種栄養枯渇に遭遇した際に、細胞がその生存率を維持する機構としてEclファミリーが機能する可能性を提唱できた。今後、3つあるEcl因子群の役割分担と機能の差異を詳細に検討すること、並びに細胞内で各Eclファミリーが何と相互作用しつつ機能を発揮するのかを解析することで、長寿命因子Eclファミリーの総合的理解に繋げ、細胞寿命の制御機構に関する知見を得たいと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
Eclファミリーの機能解析に関しては、3つの因子の役割分担と機能の差異を解析する。具体的にはEclファミリーの3重欠失株、2重欠失株、1重欠失株を揃え、各種ストレスシグナルへの応答を詳細に解析することで、3つの因子の役割分担、機能の差異を明らかにする。細胞内での相互作用因子については、網羅的相互作用因子の解析と並行して、Eclファミリーが関与する細胞機能(経時寿命延長、オートファジー、性分化、翻訳活性低下)などに焦点を当て、相互作用因子候補を選び出し、相互作用の有無を検討する。これら成果を元に、Eclファミリーの具体的作用機構を明らかにする。 長寿命変異株の解析では、これまでに取得した独立変異株について遺伝学的解析を得て、1遺伝子変異によることが明らかになったものについては、全ゲノムシークエンス解析を行い原因遺伝子を同定する。原因遺伝子候補が同定でき次第、当該遺伝子変異による長寿命化の理由を解析する。特に、焦点を当てる遺伝子候補として、ヒトを含む高等動物にまで保存されている因子、これまでに解析がされておらず機能不明の因子、分裂酵母の生存に必須の因子を想定している。
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Report
(1 results)
Research Products
(7 results)