Project/Area Number |
23K26829
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Project/Area Number (Other) |
23H02136 (2023)
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Multi-year Fund (2024) Single-year Grants (2023) |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 38030:Applied biochemistry-related
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
人見 清隆 名古屋大学, 創薬科学研究科, 教授 (00202276)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
ダムナニョヴィッチ ヤスミナ 名古屋大学, 生命農学研究科, 講師 (00754673)
松山 秀一 名古屋大学, 生命農学研究科, 准教授 (50455317)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥18,720,000 (Direct Cost: ¥14,400,000、Indirect Cost: ¥4,320,000)
Fiscal Year 2026: ¥3,640,000 (Direct Cost: ¥2,800,000、Indirect Cost: ¥840,000)
Fiscal Year 2025: ¥4,550,000 (Direct Cost: ¥3,500,000、Indirect Cost: ¥1,050,000)
Fiscal Year 2024: ¥4,550,000 (Direct Cost: ¥3,500,000、Indirect Cost: ¥1,050,000)
Fiscal Year 2023: ¥5,980,000 (Direct Cost: ¥4,600,000、Indirect Cost: ¥1,380,000)
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Keywords | 表皮細胞 / 立体培養 / 羊水 / 低酸素誘導因子 / トランスグルタミナーゼ / 表皮 / ケラチノサイト / メダカ / 気相培養 |
Outline of Research at the Start |
立体培養系での表皮形成の再現を調べる過程で見出した、低酸素誘導因子(HIF)が表皮形成を制御する仕組みを解明したい。そのため、より有効な表皮形成効率や新たな転写制御機構を提唱し、同定をめざしている。候補因子から当該因子の作用機構、またHIF遺伝子変異導入細胞株の確立を行って解析する。また、空気暴露が無くとも表皮形成の行われる子宮に着目し、羊水中に表皮形成を促進する因子が含まれていることを想定し、その存在を示し精製を進めている。ヤギ・マウス・トリなどの羊水からの有効な分化促進因子を同定してその性状を明らかにして、表皮も含めた上皮形成機構解明に貢献する知見を得る。
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Outline of Annual Research Achievements |
未分化な表皮細胞は未分化な細胞から立体培養を行うことにより、角化層まで分化する表皮層を再現することが可能である。その際には増殖した未分化な層からの培地除去による空気暴露という刺激が必要になる。この分化開始を促す操作において、低酸素誘導因子(HIF)が分化に関与すること、およびこれが従来とは異なる作用様式であることをこれまでに見出している。すなわちHIFが低酸素応答遺伝子群ではなく、別の遺伝子群へ作用することが考えられる。表皮細胞でのHIFの分化調節機構を明らかにするべく、当該年度では分化に伴うHIFの挙動をより詳細に解析した。まず、転写因子として作用する際に機能調節をする新たな相互作用因子の存在を想定して解析することとした。そのためHIF遺伝子欠損表皮株の作製を進めるとともに、相互作用因子の探索として、クロマチン免疫沈降法、および免疫沈降質量分析の2つの方策を実施した。その結果、後者の方法で候補と考えられる因子を複数同定した。さらにまた、振とう操作によって培地の酸素濃度を上昇させれば、空気暴露がない状態であっても細胞分化と表皮層形成が生じることを見出しているが、これが振とうによる低酸素状態の解除に起因することを、低酸素環境で実験実施することで証明した。 これらの一連の研究と並行して、胎児が生育する羊水中に表皮細胞分化を調節する因子の存在を追跡している。これまで実施してきたヤギ及びマウスの大量の羊水から生物活性のある画分について精製を進めてきた。該当年度では最終精製を行って、有効な画分から質量分析で候補分子を多数得た。また上皮組織での機能タンパク質の解析を見据えての、上皮細胞特異的な遺伝子欠損を生ずる系の確立も進めており、該当年度はモデル生物としてのメダカを用いて、Cre recombinase-loX Pによるモデル系を完了させた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
低酸素誘導因子HIFのタンパク質としての存在量と従来の低酸素関連遺伝子への転写活性が逆相関する理由についてさらに解析を加えるべく、HIF遺伝子を欠損した表皮細胞株(Ker-CT不死化表皮細胞株)を樹立した。この細胞株は正常な表皮層形成が行えなかったことから、HIFの存在が必ず必要であることを示すことができた。従来の機能とは異なる形でHIFが有意に増加する仕組みは依然として明らかにできていないが、転写機能を調節する相互作用因子の存在を推定して免疫沈降―質量分析法によって、表皮分化の有無において比較検討を加え、いくつかの分化時に差異のある因子を見出し、今後の展開への道筋をつけることができた。また、振とう培養によって空気暴露と同様な表皮分化が、液相培養(非空気暴露)で可能であることが、酸素濃度の影響が最大要因であることを示せた。さらにモデル生物として有用なメダカを用いて、上皮特異的な欠損誘導が行える個体を樹立した。計画した項目について実施ができ、一連の成果について論文および学会発表で行った。
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Strategy for Future Research Activity |
表皮の立体培養系における低酸素誘導因子HIFの作用メカニズムに関しては、存在量と低酸素関連遺伝子への転写活性の逆相関を主に調べる。まずHIF遺伝子の欠損細胞株を活用し、HIFの様々な機能変異体を再導入して分化や低酸素応答の状態を解析して作用機構を推測したい。逆相関が生じることが、新たな相互作用因子との結合によることを想定し免疫沈降法によって候補分子を同定したので、組換えタンパク質の作製や細胞への遺伝子導入などで検討する。具体的にはこれらタンパク質間の結合様式の確認と、結合により分化に影響がでるのか、相互作用の結果としてHIF機能変換が生じるかを進めたい。また、振とう培養によって空気暴露と同様な表皮分化が、液相培養(非空気暴露)で可能であることについて酸素濃度の影響が最大要因であることを示せたので、細胞レベルで解析するとともに、分化因子を共存させるなど、液相での分化可能な培養系としての活用を試みたい。 羊水中の表皮分化制御因子については、ヤギおよびマウスの羊水から、これまでに表皮分化調節を行えるタンパク質性の画分を精製してきた。質量分析によって成分を同定したので、今後はこれらを動物細胞において組換えタンパク質として発現させることを進める。またそれらが表皮分化に影響を及ぼす生物活性があるかどうかを検討する。 並行して、マウスやメダカなどモデル生物において上皮・表皮の形成が異常になる系を確立したので、低酸素応答にも関連する血液凝固因子やタンパク質架橋化酵素(トランスグルタミナーゼ)の上皮形成への必要性を調べる。
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