Project/Area Number |
23K26860
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Project/Area Number (Other) |
23H02167 (2023)
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Multi-year Fund (2024) Single-year Grants (2023) |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 38050:Food sciences-related
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
西山 千春 東京理科大学, 先進工学部生命システム工学科, 教授 (20327836)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長田 和樹 東京理科大学, 先進工学部生命システム工学科, 助教 (10979537)
八須 匡和 鶴岡工業高等専門学校, その他部局等, 講師 (60587442)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥18,850,000 (Direct Cost: ¥14,500,000、Indirect Cost: ¥4,350,000)
Fiscal Year 2025: ¥5,590,000 (Direct Cost: ¥4,300,000、Indirect Cost: ¥1,290,000)
Fiscal Year 2024: ¥5,980,000 (Direct Cost: ¥4,600,000、Indirect Cost: ¥1,380,000)
Fiscal Year 2023: ¥7,280,000 (Direct Cost: ¥5,600,000、Indirect Cost: ¥1,680,000)
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Keywords | 短鎖脂肪酸 / マスト細胞 / アレルギー / GPR109A / 短鎖脂肪酸(SCFA) / GPR109A/HCAR2 / 樹状細胞 / Gタンパク質共役型受容体 |
Outline of Research at the Start |
腸内細菌が難消化性食物繊維を代謝して産物される短鎖脂肪酸が、宿主生体にとって有益な作用をもたらすことがよく知られる。本課題では、短鎖脂肪酸の摂取がアナフィラキシーや乾癬といった免疫関連疾患を緩和することを見出した私達の先行研究を元に、短鎖脂肪酸の主要な受容体の一つであるGタンパク質共役型受容体GPR109Aが病態改善に果たす役割を解析する。近年、アレルギー疾患や炎症性疾患は罹患率が増加の一途を辿っているが、本研究では、その一因として考えられる食生活の影響を科学的に検証し、食品由来成分によるアレルギー・炎症疾患の緩和・予防の可能性を明らかにすることを目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
短鎖脂肪酸(SCFA)は、難消化性食物繊維が腸内細菌によって分解される際に生じる二次代謝産物であり、腸管内はもとより、全身にわたって免疫調節作用を発揮する。私達は、受動的アナフィラキシーモデルを用いた実験により、SCFAの経口摂取がアナフィラキシーの症状を緩和することを見出すと共に、in vitro実験系においてSCFAがIgE依存的なマスト細胞の活性化を抑制することなどを明らかにしてきた。更に、SCFAがもつヒストン脱アセチル化酵素阻害活性によりマスト細胞上のIgE受容体発現が抑制されることや、SCFA受容体であるGタンパク質共役型受容体GPR109Aがヒトやマウスのマスト細胞に発現していることを見出し、IgE依存的なマスト細胞活性化におけるGPR109Aの役割をsiRNAや阻害剤を用いた実験から明らかにしてきた。SCFAがGPR109Aを介してマスト細胞のエイコサノイド分泌を促進させ、これが抗アレルギー効果に貢献していることや、シクロオキシゲナーゼ活性を阻害する非ステロイド性抗炎症薬がIgE依存的なマスト細胞活性化やアナフィラキシー症状を増幅することなども示唆されている。 本課題では、GPR109A欠損マウスを用いて、IgE依存的マスト細胞活性化におけるGPR109Aの役割を、in vivo、in vitro実験系で詳細に解析していく。また、血球系細胞ではマクロファージや樹状細胞が、非血球系細胞では腸管上皮細胞や脂肪細胞がGPR109Aをよく発現していることから、これらの細胞が関わる免疫反応についても、SCFAの作用並びにGPR109Aの寄与を検証する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、マスト細胞活性化や生体アレルギー反応におけるGPR109Aの役割を明らかにすることを目的として、GPR109A完全欠損マウスを共同研究体制下で作製した。本マウス系統を充分匹数確保するために交配・維持しつつ、受動的アナフィラキシーモデルによるin vivo解析、骨髄由来培養マスト細胞を用いたin vitro解析のための予備実験を行った。更に、私達の予備実験においてSCFA経口投与で抑制効果が見られている乾癬についても解析対象疾患とし、サイトカイン発現、リンパ球や樹状細胞の局在、活性化や表面分子発現などについて、SCFA投与による影響を解析した。
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Strategy for Future Research Activity |
GPR109A完全欠損マウスに受動的アナフィラキシーモデルを展開し、SCFAやニコチン酸の投与による症状緩和の程度を対照群と比較する。また、酪酸の経口投与による乾癬モデルマウスの病態緩和についても、GPR109Aの寄与を明らかにするため欠損マウスを用いた解析を行う。これらの実験によりGPR109Aの関与が示唆された場合、マスト細胞や樹状細胞などの細胞特異的GPR109A欠損での解析を進めていくことが望まれるため、floxマウスの作出を目指していく。また、GPR109A欠損マウスより調製したマスト細胞や樹状細胞、マクロファージを、SCFA存在下で、それぞれIgEやPAMPs等で刺激し、活性化に伴う各種反応指標を測定することにより、各細胞においてGPR109AがSCFA受容体として果たす役割を明らかにする。 リピドミクス解析により、マスト細胞から分泌されるエイコサノイド類の一部について、酪酸存在下において産生量が増加することが示唆されている。そこで、PGE2以外にも、これらのエイコサノイドのいずれかがマスト細胞活性調節作用を有する可能性を追究していく。各エイコサノイド存在下でのマスト細胞活性化レベルを測定し、影響が見られた分子については、その合成酵素や受容体のノックダウンや阻害剤を利用して、作用機構の解明を進める。
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