オオムギ縞萎縮病の新規抵抗性遺伝子の単離と機能解明
Project/Area Number |
23K26877
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Project/Area Number (Other) |
23H02184 (2023)
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Multi-year Fund (2024) Single-year Grants (2023) |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 39010:Science in plant genetics and breeding-related
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
武田 真 岡山大学, 資源植物科学研究所, 教授 (40216891)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥16,770,000 (Direct Cost: ¥12,900,000、Indirect Cost: ¥3,870,000)
Fiscal Year 2026: ¥3,510,000 (Direct Cost: ¥2,700,000、Indirect Cost: ¥810,000)
Fiscal Year 2025: ¥3,250,000 (Direct Cost: ¥2,500,000、Indirect Cost: ¥750,000)
Fiscal Year 2024: ¥3,250,000 (Direct Cost: ¥2,500,000、Indirect Cost: ¥750,000)
Fiscal Year 2023: ¥6,760,000 (Direct Cost: ¥5,200,000、Indirect Cost: ¥1,560,000)
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Keywords | 病害抵抗性遺伝子 / 遺伝育種科学 / オオムギ / ウイルス病 / 抵抗性遺伝子 / 土壌伝染性ウイルス病 / 縞萎縮病 / 抵抗性機構 |
Outline of Research at the Start |
オオムギはビール醸造原料や食物繊維を豊富に含む肥満防止食用として、我が国の重要な作物である。オオムギの深刻な病害にウイルスで起こる縞萎縮病がある。このウイルスは土壌中にいて拡がり、根から感染して地上部に移行する。本病に感染したオオムギは収量と品質が大きく低下する。縞萎縮病ウイルスは変異しやすく、オオムギ側のウイルス抵抗性遺伝子を多種類揃えて、ウイルスの変異に対抗することが大切である。本ウイルス病を持続的に防除するために有望な抵抗性遺伝子rym3の実体解明を目指している。
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Outline of Annual Research Achievements |
オオムギ縞萎縮病は土壌伝染するウイルスが引き起こす深刻な病害である。本病に感染すると葉が黄色く枯れ上がり生育不良となり、収量と品質が大きく低下する。本病ウイルスは農薬による防除が現実的でない。実際的な防除法は本病に対するオオムギの持つ抵抗性遺伝子を活用することである。これまでrym5抵抗性遺伝子を多用し続けたため、ウイルスの変異株(Ⅲ型)が出現した。新規の縞萎縮病抵抗性遺伝子rym3はⅢ型変異株に抵抗性である。その分子実体を特定し、抵抗性機構を解明し、持続的なウイルス病抵抗性育種の道筋を付けることが本研究の目的である。 これまでの研究で新規の抵抗性遺伝子rym3は5H染色体の0.4 cMの範囲に位置することがわかっている。今年度は抵抗性品種イシュクシラズと罹病性品種ニューサチホゴールデンの交配F2世代2,310個体を播種し、各個体からDNAを抽出し、rym3を挟み込むDNAマーカーを検定し、この区間で組換を起こした60個体(2.6%)を選抜した。組換個体は植木鉢に定植を終え、網室で栽培しており、2024年度春期に種子を収穫する予定である。その後、脱穀し、一部の種子はrym3縞萎縮病検定用のⅢ型ウイルス汚染圃場のある栃木県農業試験場に送付し、共同研究者に秋期に播種と、翌2025年3月上旬のrym3抵抗性検定を実施頂き、データを共有する予定である。 さらに、抵抗性品種サチホゴールデンと罹病性品種ミホゴールデンの交配から育成した、rym3遺伝子近傍だけが異なり、それ以外は遺伝的にほぼ等しい系統を交配とマーカー選抜で養成した。それら系統対のゲノム配列を次世代シーケンサーで解読した。現在、データ解析の専門家との共同研究により、rym3の候補遺伝子を探索している
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
オオムギの重要ウイルス病害である縞萎縮病の抵抗性遺伝子rym3は遺伝マッピングにより0.4 cMの範囲に絞りこむことができた。今年度もrym3保有抵抗性品種イシュクシラズと罹病性品種ニューゴールデンの交雑F2_2310個体を調査し、隣接マーカーで60個体の組換個体を選抜することができた。これにより、rym3の候補領域がさらに狭められた。 (1)rym3領域を罹病性のミホゴールデンに連続戻し交雑で導入した系統および、(2)サチホゴールデンにミホゴールデンのRym3領域を連続戻し交雑で導入した系統のペアをマーカー選抜2より養成した。rym3-ミホゴールデンとRym3-サチホゴールデンおよび両親系統 、さらにrym3領域で組換を起こした系統の準同質遺伝子系統対の計6系統のゲノムDNAをそれぞれ抽出し、外注でゲノムシーケンスを依頼した。年度内にはゲノムシーケンス結果が返送される予定である。この6系統のデータを縞萎縮病抵抗性遺伝子rym3の有無によってグループ分けし、データ解析を行う予定である。 ゲノムシーケンスを外注した6系統はrym3保有の有無によって3系統ずつに分類できる。それぞれの系統で標準品種Morex等と塩基配列多型がある遺伝子を探し、その中からタンパク質配列に変化をもたらす一塩基多型を持つ遺伝子に注目することで、rym3の有無と連動する一塩基多型を持つ遺伝子が特定できると期待される。それらの候補遺伝子群の中から、rym3の候補遺伝子の絞り込みに発展すると期待している。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)オオムギ縞萎縮病の抵抗性遺伝子rym3のマップベースクローニング rym3抵抗性系統と罹病性系統の交雑F2およびF3系統を栃木県農業試験場栃木分場のⅢ型ウイルス検定圃場に栽植するとともにこれらの系統のDNAを葉から抽出し、順遺伝学的手法によりrym3抵抗性遺伝子が座乗する染色体領域を遺伝学的にファインマップする。 (2)ゲノムシーケンス解読によるrym3候補遺伝子の絞り込み rym3のファインマッピングに用いている我が国の実用ビール大麦品種サチホゴールデン(rym3保有)およびミホゴールデン(罹病性品種)のゲノムシーケンスを外注で行う。オオムギゲノムは51億塩基対と巨大で、80%以上が反復配列で解読が困難とされてきた。しかし、次世代シーケンエンス技術の発展は著しく、約8万円台の低コストでゲノムサイズの40xの解読データを得られる。これに加えて、両親の交雑に由来するrym3の有無に関する準同質遺伝子系統をサチホゴールデンとミホゴールデンの両方の遺伝的背景で養成した。さらに、rym3候補領域内で組換を起こしたとみられる2系統も選抜した。これらのrym3単離に好適な遺伝学的実験材料を4系統加えて、ゲノムシーケンスを外注済みである。2023年度中にデータは戻ってくる予定である。このようにrym3遺伝子の候補をゲノム科学的解析によっても特定する準備はできている。 ゲノムシーケンス解析によって、rym3候補と判明した遺伝子は、遺伝子突然変異のタンパク質配列や機能に及ぼす影響を各種データベースで解析し、突然変異の遺伝子機能に及ぼす影響を構造予測モデル等により解析する。また、rym3保有系統と罹病性系統で候補遺伝子の発現を根やシュートからRNAを抽出して、RT-PCRを行い発現パターンを解析する。
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Report
(1 results)
Research Products
(5 results)