局所養分に対するイネ根系の誘導的伸長メカニズムの解明
Project/Area Number |
23K26884
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Project/Area Number (Other) |
23H02191 (2023)
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Multi-year Fund (2024) Single-year Grants (2023) |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 39020:Crop production science-related
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
松波 麻耶 岩手大学, 農学部, 准教授 (40740270)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
橋田 庸一 高崎健康福祉大学, 農学部, 助教 (00802886)
RAHMAN ABIDUR 岩手大学, 農学部, 教授 (30447114)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥19,110,000 (Direct Cost: ¥14,700,000、Indirect Cost: ¥4,410,000)
Fiscal Year 2025: ¥3,770,000 (Direct Cost: ¥2,900,000、Indirect Cost: ¥870,000)
Fiscal Year 2024: ¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2023: ¥11,180,000 (Direct Cost: ¥8,600,000、Indirect Cost: ¥2,580,000)
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Keywords | イネ / 根系 / 局所養分 / トランスクリプトーム / 植物ホルモン / 根 / 局所施肥 |
Outline of Research at the Start |
局所的な養分に向かう根系の伸長応答は、養分の効率的な獲得に寄与すると考えられる。本研究では局所養分への誘導的根伸長に関与する分子メカニズムを、網羅的な遺伝子発現解析と植物ホルモン調節機構から明らかにする。また誘導的根伸長を示す遺伝資源の選抜とその遺伝解析により、誘導的根伸長を支配する遺伝領域を特定する。本研究により、養分への誘導的根伸長のメカニズムとそれを支配する遺伝子が明らかになれば、根系改良による実用的な品種育成が進展し、局所施肥などの施肥法との組み合わせにより施肥利用効率の飛躍的向上が期待できる。
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Outline of Annual Research Achievements |
局所的な養分に向かう根系の伸長応答は、養分の効率的な獲得に寄与すると考えられる。イネ根系の局所養分へ誘導的伸長は品種間差異が存在する。本研究では局所養分への誘導的根伸長に関与する分子メカニズムを、網羅的な遺伝子発現解析と植物ホルモン調節機構から解明することを目的としている。 2023年度は実験系の確立と多品種の検定による有望品種の絞り込みを実施した。まず、多検体を効率的に調査でき、局所養分への根の応答性を精度よく定量化できる手法について検討した。角形シャーレを根箱として用い、異なる土、異なる施肥位置、さらに異なる移植方法で栽培し、根の発育を比較した。その結果、根の発育は土壌や施肥位置によって異なることや、シャーレに直接移植する場合では、最初の根の伸長角度が実験精度に影響することを確認した。上記の検討から、根の最初の伸長角度による影響をできるだけ小さくすることを目的としたプラスチックチューブを用いた手法を導入し、実験系を確立した。また、対象とする形質については、局所施肥側と反対側の根の一部を同面積から採取し、根長や主根に対する側根長の比率を出すことで、施肥側への応答性の高低を評価することとした。 上記の手法により、遺伝的に異なる20品種を栽培し、局所施肥への根の応答性を比較した。その結果、施肥側と反対側の根長比は1~2倍の変異を示し、応答性の高い品種と低い品種を選抜することができた。また、主根に対する側根長の長さにも遺伝的変異があり、品種によって局所施肥への根系発達の様式が異なることが示唆された。すなわち、主根も増加させるタイプと、1主根あたりの側根長を増加させるタイプがあった。 また、実際の野外フィールドで局所施肥栽培を実施し、長期間野外で栽培した場合においても根は肥料周辺に集積することも見出し、イネの養分獲得戦略として局所養分への根の伸長が機能していることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していた局所養分に対する根系誘導の遺伝的変異について知見を得ることができた。選抜品種の確定のためには、更なる反復数を重ね、検討する必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度の品種比較試験の結果から、応答性が高い3品種と低い2品種、および対照品種としてひとめぼれの計6品種を選抜した。2023年度は10反復の試験を繰り返したが、根の応答性は個体間差が極めて大きいこともあり、現在選抜した6品種について更なる反復試験を行っている。この結果から、応答性に確かな違いが認められる2品種程度を選抜し、以下の試験を実施する。 課題①施肥側と反対側の根を採取し、それぞれの品種について植物ホルモンの定量解析を行い、各種ホルモン濃度の品種間差異の有無を調査する。 課題②RNAseq解析により施肥側と反対側の遺伝子発現解析を実施し、根系の施肥応答に関与する遺伝子の探索を行う。 課題③:選抜品種を親品種とした組換え近交系(RILs)の栽培を開始し、染色体領域の絞り込みに着手する。
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Report
(1 results)
Research Products
(3 results)