Project/Area Number |
23K26903
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Project/Area Number (Other) |
23H02210 (2023)
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Multi-year Fund (2024) Single-year Grants (2023) |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 39040:Plant protection science-related
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
晝間 敬 東京大学, 大学院総合文化研究科, 准教授 (20714504)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥18,720,000 (Direct Cost: ¥14,400,000、Indirect Cost: ¥4,320,000)
Fiscal Year 2025: ¥5,720,000 (Direct Cost: ¥4,400,000、Indirect Cost: ¥1,320,000)
Fiscal Year 2024: ¥6,110,000 (Direct Cost: ¥4,700,000、Indirect Cost: ¥1,410,000)
Fiscal Year 2023: ¥6,890,000 (Direct Cost: ¥5,300,000、Indirect Cost: ¥1,590,000)
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Keywords | 病原菌 / 共生菌 / 感染戦略 / 連続性 / Colletotrichum / 内生糸状菌 / シロイヌナズナ / 貧栄養 / 感染戦略の連続性 / 病原 / 共生 |
Outline of Research at the Start |
植物と相互作用する糸状菌は宿主環境に応じて連続的な感染戦略を示し、植物成長に悪い影響が出る場合は病原、良い影響が出る場合は共生と理解されている。これらは一見対照的な感染戦略であるが、一つの糸状菌が環境条件や宿主遺伝背景に応じ連続的にこれらの感染戦略を行き来することが示唆されている。しかしながら、病原と共生を分かつ機構や感染戦略の連続性を支える機構の理解は乏しい。本研究では、申請者が貧栄養環境で生育するアブラナ科植物から単離した多様なColletotrichum属糸状菌をその植物感染戦略の違いに着目して様々な観点での比較解析することで、本属菌が示す可塑的な感染戦略を支える分子機構を明らかにする。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、貧栄養環境で健康なアブラナ科植物と広く共棲しているColletotrichum属菌の隠された感染様式や植物の環境適応における役割を探索するとともにその関係性を支える分子機構を明らかにすることを目的としている。
本年度は、貧栄養環境で自生するモデル植物シロイヌナズナ、ヤマハタザオ、ミヤマハタザオなどの葉・根の組織を表面殺菌後網羅的に糸状菌を単離し、その結果様々なクレードに属するColletotrichum属の内生糸状菌の候補菌株の単離に成功した。そのうちのdestructivumクレードに属するある種(ITSの配列から推察)(Cd)は東京や長野のそれぞれ複数地点で自生するいずれの植物種の葉および根からも単離されており、Cdは貧栄養環境で生息するこれらアブラナ科植物にとって重要な存在であることが推察された。Cd菌株の中にはITSの配列からは同種もしくは極めて近縁種と考えられるにも関わらずシロイヌナズナに対して共生性を示すものから病原性を示すものまで多彩であった。興味深いことに、同種菌株の中には貧栄養環境では植物根に感染した際に植物の成長に害を与えずむしろ成長を促す傾向を示したのに対して、栄養十分条件においては激しく植物根に感染し植物成長を阻害するなど、栄養環境に応じて鋭敏にその感染戦略を変化させる菌株も存在した。次年度以降の比較ゲノム解析・トランスクリプトーム解析を見据えて、これらの栄養環境依存的に共生から病原と幅広い感染戦略を示す4菌株を中心にPacbioを用いた全ゲノム情報を取得した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
野外で生息するアブラナ科植物から当初期待していたよりも多様なColletotrichum属菌の単離に成功した。また、今回発見したdestructivumクレードに属する種の菌株の栄養環境依存的な感染戦略は研究代表者等がこれまで発見し報告していた内生糸状菌Colletotrichum tofieldiaeの共生から病原の連続性を規定する二次代謝物遺伝子クラスターABA-BOTとは異なることが取得したゲノム解析から示唆されたことから、今後これらの菌株の解析を行うことで確実に新規なメカニズムを発見できる見込みが立ったため。
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Strategy for Future Research Activity |
第一に、今回同定したdestructivumクレードに属する菌株(Cd)の栄養環境に応じた宿主感染様式をイメージング解析等を駆使して明らかにする。特にリン栄養の多い少ないでどのように宿主感染様式が質的・量的に変化するかについて蛍光イメージングにより明らかにする。第二に、多彩な感染様式を持つ同種・近縁種菌株との間の比較ゲノム解析を行い共生・病原株間の共通性・相違性を浮かび上がらせる。第三に、Cdが異なる栄養環境で宿主根に感染中の時系列トランスクリプトーム解析を行い、共生や病原それぞれに特異的な宿主・菌応答を明らかにする。第四に、上記の解析を基に、遺伝学的解析を駆使して該当菌株の感染様式決定因子を植物・菌の双方向の解析から明らかにする。第五に、Cd以外のアブラナ科植物と密接に相互作用しているColletotrichum属菌の解析を進める。
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