Project/Area Number |
23K26907
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Project/Area Number (Other) |
23H02214 (2023)
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Multi-year Fund (2024) Single-year Grants (2023) |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 39040:Plant protection science-related
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
近藤 秀樹 岡山大学, 資源植物科学研究所, 准教授 (40263628)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
久野 裕 岡山大学, 資源植物科学研究所, 准教授 (70415454)
兵頭 究 岡山大学, 資源植物科学研究所, 准教授 (80757881)
鈴木 信弘 岡山大学, 資源植物科学研究所, 教授 (70206514)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥18,590,000 (Direct Cost: ¥14,300,000、Indirect Cost: ¥4,290,000)
Fiscal Year 2026: ¥2,730,000 (Direct Cost: ¥2,100,000、Indirect Cost: ¥630,000)
Fiscal Year 2025: ¥4,940,000 (Direct Cost: ¥3,800,000、Indirect Cost: ¥1,140,000)
Fiscal Year 2024: ¥4,940,000 (Direct Cost: ¥3,800,000、Indirect Cost: ¥1,140,000)
Fiscal Year 2023: ¥5,980,000 (Direct Cost: ¥4,600,000、Indirect Cost: ¥1,380,000)
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Keywords | ウイルス / 作物 / 根圏 / リザーバー / 超個体 / 根 |
Outline of Research at the Start |
ウイルスは病原体としての側面だけでなく、生態系構成因子としての役割が注目されてきている。特に、多様な環境でのメタゲノム解析により、土壌圏に膨大なRNAウイルス叢の存在が示唆されつつあり、それらのリザーバー宿主や生態学的な存在意義の解明が求められている。そこで本課題では、作物の農業生態系、特にムギ類作物の根圏超個体(根系組織と微生物叢)から見出した根圏特異的RNAウイルス叢(植物・菌類ウイルスと想定)に焦点をあて、その実体解明を目指す。さらに、根圏ウイルス叢の作物や根圏微小生態系への直接及び間接的な影響を多面的に評価することで、それらの生態学的役割を紐解く端緒となる成果を目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
本課題では岡山大植物研圃場を主なモデル圃場とし、ムギ類作物に見出される根圏RNAウイルス叢を高解像度で解析するとともに、作物圃場におけるウイルス感染ダイナミクスの理解を目指している。 柱①根圏RNAウイルス叢の高解像度解析を可能にするNGS手法の検討:RNA-seqに供試する核酸試料の抽出法を再検討した。その結果、核酸自動精製システムの導入により環境サンプル(圃場育成個体の根)であっても比較的状態の良いRNAサンプルの調整が可能となった。そこで、植物研圃場のムギ類根系組織から、この手法でサンプルを調整しRNA-seqを行った。取得データの一部で先行解析を行ったところ、標的である根圏のRNAウイルスは、いずれも問題なく検出が可能であることが確認された。この結果を受け、取得リードの増量についても検討を進めている。 柱②根圏微生物群集の解析とウイルスリザーバー能評価:植物研圃場で育成したオオムギ個体を用い、その根系に内生する真菌や卵菌類の分離を試みた。現在までに150株以上(葉分離株を含む)の真菌類の分離に成功し、2本鎖RNAスクリーニングにより一部分離株(Fusariumなど)では菌類ウイルスの感染が示唆された。2本鎖RNA陽性株(一部は先行課題成果)に加え、2本鎖RNAが検出できない複数の菌株もRNA-seqを行い、生データを取得した。 柱③根特異的植物ウイルスの機能・動態解析:植物研圃場で育成したオオムギ個体のRNA-seq解析で、根特異的な植物RNAウイルスの探索を進めた。一部の候補ウイルスについては、RT-PCRによるゲノム配列の確認を進めており、RLM-RACEによる末端解析についても現在検討中である。さらに、柱①RNA-seq解析で、新たな根特異的な植物RNAウイルス候補が、植物研圃場のオオムギサンプルから見出されてきており、その配列確認作業を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度は、根圏RNAウイルス叢の高解像度解析に向けたサンプル調整法の検討、根圏微生物群集のウイルスリザーバー能を評価に向けた内生真菌類のウイルス叢解析、根特異的植物RNAウイルス候補のさらなる発掘など、おおむね当初計画に沿って順調に研究が進んでいる。根特異的な植物RNAウイルス候補の分離株化については難航していることから、次年度以降も検討する予定である。なお、中国の研究グループとの国際共同研究により、他の作物で根特異的と考えられる植物RNAウイルスの検出、作物における新奇のウイルス動態(植物ウイルスと菌類ウイルスの両者の性状を併せ持つ)の発見を行い、さらに一連のウイルス動態に関する知見に基づいた総説論文を発表した。以上より、本課題は当初計画通り順調に進んでいると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究実施計画は以下の通りである。 柱①の根特異的RNAウイルス群については、カタログ化を進めるためのデータの蓄積を継続して行う。さらに、他のムギ類育成圃場(北海道、長野、筑波などを想定) 根系サンプルのRNA-seqあるいはデータ解析を行い、ウイルス群集の地域性・普遍性の理解に向けた解析を予定している。 柱②根圏微生物群集を理解するため、オオムギ根系組織のアンプリコン解析進める。さらに、根より分離されている真菌類のRNAseqデータを解析し、根特異的見出されたウイルス(菌類ウイルス候補が多数含まれている)の宿主同定を進める。あわせて、見出された菌類RNAウイルスの性状解析を行う。 柱③根特異的植物ウイルス候補のゲノム全貌を明らかにするともに、実験植物への機械接種によりウイルスの離株化を引き続き試みる。また、圃場由来の土壌サンプルを用いた室内実験を進め、これらの植物RNAウイルス(土壌伝染性と想定)のオオムギへの再感染実験を行う。
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