Project/Area Number |
23K26969
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Project/Area Number (Other) |
23H02276 (2023)
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Multi-year Fund (2024) Single-year Grants (2023) |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 40020:Wood science-related
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
和田 昌久 京都大学, 農学研究科, 教授 (40270897)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木村 聡 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 技術専門職員 (00420224)
小林 加代子 京都大学, 農学研究科, 助教 (00806416)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥18,980,000 (Direct Cost: ¥14,600,000、Indirect Cost: ¥4,380,000)
Fiscal Year 2026: ¥1,950,000 (Direct Cost: ¥1,500,000、Indirect Cost: ¥450,000)
Fiscal Year 2025: ¥2,600,000 (Direct Cost: ¥2,000,000、Indirect Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2024: ¥5,590,000 (Direct Cost: ¥4,300,000、Indirect Cost: ¥1,290,000)
Fiscal Year 2023: ¥8,840,000 (Direct Cost: ¥6,800,000、Indirect Cost: ¥2,040,000)
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Keywords | 磁場配向 / セルロース / ヘミセルロース / X線回折 |
Outline of Research at the Start |
セルロース微結晶は磁気異方性を有するので磁場配向することが知られているが、磁場強度と配向度との関係など分かっていないことも多い。一方、セルロース以外の多糖の磁場配向は試みられてこなかった。そこで本研究では、セルロース、キチン、ヘミセルロースなどの多糖の微結晶を調製し、それらの磁場配向挙動を明らかにする。そして、微結晶の磁場配向とX線回折を組み合わせることにより、精度の高い結晶構造解析手法を確立することを目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究はセルロース、ヘミセルロースなどの多糖微結晶の磁場配向挙動を明らかにするとともに、磁場配向した多糖微結晶の構造解析を目的としている。 本年度はまず、セルロースI型結晶の磁場配向挙動を解析した。起源の異なる種々のセルロース試料から硫酸加水分解により、表面にスルホン基が導入されたセルロースI型微結晶の懸濁液を調製した。懸濁液を超伝導磁石で発生させた水平磁場中でキャストすることにより微結晶配向フィルムを作製した。X線回折によってセルロース微結晶の配向挙動を評価した結果、セルロース微結晶の長軸が磁場に対して垂直に配向し、磁場強度とともに配向度が増大することが明らかになった。また、セルロース微結晶の結晶サイズが大きいと配向度が高いことが明らかとなった。この磁場配向技術を応用することで、ポリマーマトリックス中でセルロース微結晶が配向した面内に異方性を有するナノコンポジットを創製することができた。 セルロース以外の多糖として、キチンとマンナンの微結晶調製を試みた。ハオリムシの棲管からβキチン微結晶、象牙ヤシの種子の胚乳からβ-1,4-マンナン微結晶の調製法を確立した。そして、磁場配向を達成するには微結晶の懸濁液中での分散性が重要であることを明らかにした。 磁場配向した多糖微結晶の構造解析を実施するため、本年度は一軸配向した繊維試料のX線回折図(繊維図)を解析するプログラムの開発に取り組んだ。平板状の検出器に記録された繊維図において、層線は双曲線状となる。そこで、繊維図を逆格子空間にリマッピングするプログラムを作成した。双曲線状に記録された回折点が直線状に配列され、容易に強度プロファイルの取得が可能となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の目標はセルロースI、βキチン、β-1,4-マンナン微結晶の磁場配向挙動を解析することであった。所有の超伝導磁石の電源が突然故障したため、一定期間、超伝導磁石を使用できない時期があったが、他機関の超伝導磁石を使用させていただいて対応した。キチンとマンナン微結晶の磁場配向挙動を解析するには至らなかったが、微結晶の分散性が重要であることが判明した。セルロースI型微結晶については水平磁場における磁場配向挙動を明らかにすることができた。さらに、磁場配向技術を用いて異方性ナノコンポジットの創製へと進展させることができた。 磁場配向した多糖微結晶の構造解析を実施するためのプログラミングは、試料傾斜の補正から逆格子空間リマッピングまで進行しており、おおむね予定通りといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
多糖微結晶を磁場配向させるにはサイズの大きな微結晶が良分散している懸濁液を調製する必要がある。そこで、微結晶表面に電荷を導入し、その表面電荷の反発により分散した微結晶懸濁液の調製を目指す。また、他の研究機関が所有する超伝導磁石の利用申請を行い、磁石の利用機会を増やす努力をしたい。 磁場配向した多糖微結晶の構造解析法に関しては、次に、バックグラウンドを除去するプログラムを開発したい。これまでに提案されているアルゴリズムからX線回折用にふさわしいものを選択して試していく予定である。
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