Project/Area Number |
23K26972
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Project/Area Number (Other) |
23H02279 (2023)
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Multi-year Fund (2024) Single-year Grants (2023) |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 40020:Wood science-related
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Research Institution | Chiba Institute of Technology |
Principal Investigator |
渡邊 宇外 千葉工業大学, 先進工学部, 教授 (70337707)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安江 恒 信州大学, 学術研究院農学系, 准教授 (00324236)
内海 泰弘 九州大学, 農学研究院, 准教授 (50346839)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥18,200,000 (Direct Cost: ¥14,000,000、Indirect Cost: ¥4,200,000)
Fiscal Year 2026: ¥4,030,000 (Direct Cost: ¥3,100,000、Indirect Cost: ¥930,000)
Fiscal Year 2025: ¥4,030,000 (Direct Cost: ¥3,100,000、Indirect Cost: ¥930,000)
Fiscal Year 2024: ¥4,810,000 (Direct Cost: ¥3,700,000、Indirect Cost: ¥1,110,000)
Fiscal Year 2023: ¥5,330,000 (Direct Cost: ¥4,100,000、Indirect Cost: ¥1,230,000)
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Keywords | 樹木ミトコンドリア / 二次木部形成 |
Outline of Research at the Start |
樹木の二次木部の組織構造は、木材の材質特性を決める重要な形質である。樹木細胞のミトコンドリアは二次木部形成に深く関わっていると考えられるが、その詳細なしくみについては未解明である。 本研究では、樹木形成層細胞のミトコンドリアの構造、機能、挙動が二次木部形成を制御するしくみを明らかにする。樹木ミトコンドリアに着目した研究アプローチは、細胞や分子、生体エネルギーの観点から広く二次木部形成の現象を明らかにでき、新たな林木育種技術の創造につながる。本研究では、樹木ミトコンドリアの各種顕微鏡観察、ゲノム解析、ATP産生シミュレーションなどを行い、樹木の二次木部形成機能を多面的かつ統合的に明らかにする。
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Outline of Annual Research Achievements |
樹木の二次木部は主要な木質バイオマス資源である木材となり、その組織構造は木材の材質特性を決める最も重要な形質である。植物ミトコンドリアは木部細胞形成と密接に関係することから、樹木形成層細胞のミトコンドリアの活性レベルは、形成層活動の制御を通じて樹木の成長と木材の材質特性の発現に大きく影響すると考えられる。本研究では、形成層細胞のミトコンドリアの構造、機能、挙動が樹木の二次木部形成を制御するしくみを明らかにすることを目的とする。 令和5年度は、2カ所の産地に由来するカラマツ個体、および同一林分内に生育するアカエゾマツ2個体について、ミトコンドリアゲノムの解析を行った。選定した個体から新葉を採取し、ホモジナイズした後、遠心操作によりミトコンドリアを分画・精製した。続いてDNAの抽出・精製および増幅を行った後、次世代シークエンス解析(NGS解析)により塩基配列のリードデータを得た。得られたリードデータからGetOrganelleによりミトコンドリア由来のリードデータを抽出し、さらにProkkaによりリードデータ内の遺伝子領域を推定した。得られたリードデータについて、全体的にcontig長が短く、その全長も短かった。データベース上にあるゲノムデータと比較すると、今回得られた配列長さは、それらの約1/10程度であった。推定遺伝子領域の解析結果から、リボソームRNAや転移RNAについてはおおよそアノテーションができたと考えられた。一方でタンパク質遺伝子については想定される遺伝子数の約1/4程度しか同定できず、ほとんどが断片配列であった。推定遺伝子配列の大半については、それの配列長さが短く、hypothetical proteinとして分類された。これらから、DNA抽出・精製までの過程、もしくはその後のDNA増幅において、ミトコンドリアゲノムDNAが大きく断片化したことが考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の計画では、展葉が活発な当年の新葉から樹木ミトコンドリアを分画し、そのゲノムDNAの解析を行う予定であった。しかしながら、想定以上にミトコンドリアおよびそのゲノムDNAの収量が低く、十分なリードデータを得ることができなかった。また、細菌類のDNAが混入した葉試料があり、ミトコンドリア分画の前処理が必要であることが分かった。NGS解析の結果から、リボソームRNAや転移RNAの配列データについてはおおよそ良好な結果が得られたと考えられる。しかし、ミトコンドリアの機能を司る重要なタンパク質・酵素群については、現時点で十分な配列データは得られていない。以上より、目的とするミトコンドリアゲノムDNAの解析が困難で十分に解析できておらず、進捗は遅れていると判断される。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題ではミトコンドリアゲノムDNAのNGS解析が最も重要であることから、ゲノムDNAの抽出・精製ならびに解析の方法を改善し、樹木ミトコンドリアの完全長DNA配列データの取得に注力する。これまでの解析結果より、十分量のミトコンドリアゲノムDNAが回収できておらず、またDNAが断片化していると判断され、分画・精製の過程で損失・破壊されたミトコンドリアが多かったものと推測される。この後の実験では、これまでよりも緩やかな条件で細胞分画を行い、ミトコンドリアとプラスチドの両方のゲノムDNAを抽出・精製する。これらをNGS解析し、ミトコンドリア由来のリードデータとプラスチド由来のそれを分離し、ミトコンドリアゲノムDNAの完全長配列を取得する。この方法により分画・精製過程におけるミトコンドリアの損失・破壊を抑え、ミトコンドリアゲノムDNAの回収とNGS解析が効率的に行えると考える。また、アノテーションにより部分的にでも特定された遺伝子配列を用いて、樹木形成層細胞のミトコンドリア遺伝子の発現解析を進める。
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