Project/Area Number |
23K26988
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Project/Area Number (Other) |
23H02295 (2023)
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Multi-year Fund (2024) Single-year Grants (2023) |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 40030:Aquatic bioproduction science-related
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
阪倉 良孝 長崎大学, 総合生産科学研究科(水産学系), 教授 (20325682)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小山 喬 長崎大学, 水産・環境科学総合研究科(水産), 准教授 (40749701)
河邊 玲 長崎大学, 海洋未来イノベーション機構, 教授 (80380830)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥18,850,000 (Direct Cost: ¥14,500,000、Indirect Cost: ¥4,350,000)
Fiscal Year 2025: ¥5,850,000 (Direct Cost: ¥4,500,000、Indirect Cost: ¥1,350,000)
Fiscal Year 2024: ¥5,850,000 (Direct Cost: ¥4,500,000、Indirect Cost: ¥1,350,000)
Fiscal Year 2023: ¥7,150,000 (Direct Cost: ¥5,500,000、Indirect Cost: ¥1,650,000)
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Keywords | 繁殖生態 / バイオロギング / ゲノム / 自然交雑 / ヒラマサ / 産卵場 / ゲノム解析 / 産卵生態 |
Outline of Research at the Start |
我が国の重要水産資源種ヒラマサの繁殖生態を解明する。水産庁の統計上は「ブリ類」とされているブリ,カンパチおよびヒラマサのブリ属3種のうち,高級魚のヒラマサの産卵場や繁殖に関する基礎知見がほとんどなかった。さらに最近ブリとヒラマサの自然交雑の起こっていることが報告され,東シナ海水域でブリ属の産卵場および産卵期に一部重複の見られることが分かった。そこで、ヒラマサの仔魚採集を実施して耳石解析により産卵日と移動履歴を推定し,同時に産卵期の成魚の行動をバイオロギングによって追跡して産卵場および繁殖生態の特定を行うとともに,全ゲノム情報を用いた分子系統解析によりブリ属内の交雑の現状を探る。
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Outline of Annual Research Achievements |
東シナ海におけるヒラマサの繁殖生態と天然交雑の状況を探るために、産卵後間もない仔魚と、産卵を迎える親魚の生態調査と、これらのゲノム解析を実施した。2023年5-7月に対馬海峡において3回の調査航海を実施し、ブリ属仔稚魚64個体を採集した。外部形態およびmtDNAのCytb領域のPCR-RFLP解析により33個体がブリ、31個体がヒラマサと判別された。さらに、核DNAのITS領域に対するPCR-RFLP解析によって、ヒラマサ1個体からブリの遺伝子が検出され、ヒラマサとブリの交雑個体であることが判明した。この交雑個体の採集された測点では、ヒラマサとブリの仔魚が同所的に出現した。産卵回遊に関するデータを蓄積するために、本種のこの海域における産卵期前の2月7日に5個体の親魚に深度・水温・水平位置(緯経度)情報を経時記録できる切り離し浮上式データロガーを取り付けて、平戸市生月町の生月大橋の付近から放流した。さらに、過年度に再捕獲された個体の行動時系列データを産卵回遊に焦点をあてて解析した。対馬海峡にいた2個体は4月下旬から西方へ移動を始め、5月1日に1個体は北緯35°、東経124°付近の黄海南端に達し、もう1個体は朝鮮半島南西端付近に達した。その後、2か月ほど朝鮮半島西方海域に滞在した後、6月30日までに両個体とも九州北部海域に回帰した。種間交雑を全ゲノムレベルで判定するため、reduced representation library作製法の一つであるdpMIG-seq(Nishimura et al., 2024)の立ち上げと有効性の検証を行った。6個体のブリおよびカンパチと、3個体のヒラマサのゲノムDNAを材料にdpMIG-seqライブラリ作製と次世代シーケンスを行い、既存の2つの手法で集団構造を推定したところ、3種間の明確な集団構造が観察された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ヒラマサの繁殖生態と天然交雑について研究開始時に立てた「ヒラマサとブリの産卵場と産卵期に重複が起こり、交雑が進行している」という作業仮説に対して、2023年度に産卵されたヒラマサとブリの仔魚が同所的に出現し、その中に交雑個体も確認されたことから、作業仮説が支持された。また、ヒラマサの産卵親魚の標識放流およびゲノム解析の基盤整備も実施できたため、概ね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
ヒラマサの産卵期が5月中旬で、済州島から対馬西方海域が産卵場と予想されたため、次年度はこれまで計画した5-7月の対馬海峡での仔魚採集に加えて、5月に対馬西方海域での仔魚採集を実施する。採集したヒラマサおよびブリ属仔稚魚の耳石輪紋解析によって産卵日を特定し,さらに仔魚を浮遊粒子と仮定して海況データより採集日より海流を遡って産卵日の卵の位置を推定する。ヒラマサの産卵期直前の2-3月に長崎県内の定置網で採れたヒラマサ成魚のうち状態の良い個体に深度・水温・水平位置(緯経度)情報を経時記録できる切り離し浮上式データロガー,または水温・水深・位置情報記録型データロガー(以下,ロガー)を取り付け,直ちに放流する。ロガーから行動記録を得るためには浮上したロガーから衛星経由で通信して取得するか,浮上したロガーあるいは漁獲個体から物理的に回収する必要がある。産卵期中の,位置情報(緯度経度),滞在深度,経験水温,産卵行動(河邊業績;Tone et al 2021 Fish Oceanogr)を抽出し,産卵場を特定する。昨年度、放流した個体から切り離されたロガーが浮上したのち、ロガーの物理的な回収作業を実施する。ゲノム解析については、これまでに採集されたブリ属仔稚魚を材料に、2023年度と同様の方法で解析し、交雑個体を探索する。
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