多孔質媒体の間隙構造モデリングと人工知能が連携する地下ダムの非破壊機能診断
Project/Area Number |
23K27020
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Project/Area Number (Other) |
23H02327 (2023)
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Multi-year Fund (2024) Single-year Grants (2023) |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 41030:Rural environmental engineering and planning-related
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
井上 一哉 神戸大学, 農学研究科, 教授 (00362765)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 麻里子 神戸大学, 農学研究科, 助教 (50756658)
倉澤 智樹 愛媛大学, 農学研究科, 助教 (90961201)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥18,720,000 (Direct Cost: ¥14,400,000、Indirect Cost: ¥4,320,000)
Fiscal Year 2025: ¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2024: ¥5,980,000 (Direct Cost: ¥4,600,000、Indirect Cost: ¥1,380,000)
Fiscal Year 2023: ¥8,580,000 (Direct Cost: ¥6,600,000、Indirect Cost: ¥1,980,000)
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Keywords | 地下ダム / 非破壊試験 / 原位置・模型実験 / 数値解析 / 人工知能 / 移流分散現象 / 機械学習 / 管理技術 / 非破壊診断 |
Outline of Research at the Start |
地下ダムは,地下水脈を堰き止めて貯水する水利施設であり,農業用水の安定確保に貢献している一方で,1) 劣化する地下ダム堤体(止水壁)の機能診断と損傷部の早期発見,2) 農業活動の活性化,地下水の循環利用による,ダム湖の硝酸態窒素による汚染予防が重要な学術課題である.本研究は,1) トレーサ試験などの非破壊手法による健全性診断手法の開発,2) 石灰岩帯水層の透水係数モデリングと物質移動現象の定量化,3) 水文水質データ群の機械/深層学習による水質の健全性を診断する人工知能の開発であり,「地下ダムの非破壊機能診断」の構築を目指す融合研究である.
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Outline of Annual Research Achievements |
地下ダムは島しょ部や離島の重要な農業用水源である.長期的に健全な供用を達成するには,劣化する地下ダム堤体(止水壁)の機能診断と損傷部の早期発見,農業活動の活性化によるダム湖の硝酸態窒素汚染の予防は重要な学術課題である.本研究は止水壁の損傷部同定を目的として,地下水音の計測やトレーサ試験を観測孔にて実施することで,止水壁の健全度を図る流れを構築する.また,様々な空隙から成る石灰岩(多孔質媒体)の間隙構造の透水係数モデリング,その中で生じる物質移動現象の定量化を目的とする.そのため,透水係数のモデル化を模型実験に反映して,物質移動挙動を定量化するとともに数値解析によるモデリングを達成する.さらに,複数の水質項目や貯水位の実測データにより,汚染状況を診断するシステムを構築する.水文水質など多様なデータ群の学習を通じて,水質履歴や季節変動を考慮した汚染現況の診断,将来動向の予測システムを開発する.当該年度は,ディープラーニングを用いて,石灰岩の間隙率推定システムを開発し,石灰岩の画像のみならず,フラクタル次元の算定ならびに入力情報としての有効性を明らかにした.また,地下ダムサイトにて単孔式希釈試験をサイト内の観測孔を対象に繰り返し実施することで,石灰岩帯水層の透水係数,分散長,透水係数の空間分布を迅速にかつ低コストで同定できる手段を構築した.同時に,各パラメータの空間分布を評価する手法についても検討した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該年度は,2つの研究テーマを軸として,研究を遂行してきた.まず,ディープラーニング(DL)による石灰岩の間隙率推定システムを開発した.DLには畳み込みニューラルネットワーク(CNN)を採用し,石灰岩コアの画像を入力変数の基本情報として,フラクタル次元や乾燥密度を入力情報に加えた推定システムを構築した.CNNの画像検知の特徴をつかむとともに,入力情報同士の相性を踏まえた情報選別の有効性を示した.次に,喜界島の地下ダムサイトにて単孔式希釈試験を繰り返し実施した.NaClトレーサを活用することにより石灰岩帯水層の透水係数,分散長,透水係数の空間分布を同定した.同定には群知能を採用し,対象サイトの分散長は2 オーダー以上の幅を有する点,透水係数は孔ごとに変動幅は異なり,帯水層全体としては対数正規性を示す点を明らかにした.単孔式希釈試験を繰り返すことで分散長と透水係数の空間分布を同定しつつ,可視化できる点を本手法の利点として見い出した.喜界島の島内において,定期的な水質計測を進行しているところであり,総合的に判断すると,おおむね順調に進展していると評価した.
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Strategy for Future Research Activity |
本研究では,鹿児島県喜界島にて供用中の喜界地下ダム止水壁を対象とした原位置実験を実施する.ダム湖内に存在する観測孔群を利用して,単項式希釈トレーサ試験を実施する.空間的に広く設置された観測孔にて孔内のNaCl 濃度変化を多深度に設置したECロガーで計測するとともに,観測結果を群知能による逆解析を施すことで,透水係数,分散特性についての空間分布を獲得する.また,ダム軸に沿って設置されているペアの観測孔にて,NaClトレーサ試験を行う.上流孔にNaCl を投入し,上下流孔にて孔内のNaCl 濃度変化を多深度に設置したECロガーで計測する.濃度観測に基づき,群知能による逆解析にて,対象空間の透水係数を同定し,複数のペア孔にて繰り返し実施する.また,観測ペア孔内の地下水音を水中マイクで計測し,マイク深度に応じた,サウンドスペクトログラムを描くことで,止水壁の音の概観を捉える.夏冬の計測にて,音の空間分布の相違を実測する.石灰岩の多孔質性の高さは他の岩石と一線を画す性質であり,透水係数の不均質度の高さにつながる.そこで,地下ダムの地質調査にて採取される石灰岩のボーリングコア群を収集して,20 cm 程度に細断する.実験室に持ち帰ることで,変形係数の計測に加えて,空隙率,フラクタル次元を実計測する.また,コアの画像を基にして,石灰岩の多孔質特性をX線CTスキャンや機械学習により抽出し,RQDも含めて定量的に解釈する.
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Report
(1 results)
Research Products
(11 results)