Project/Area Number |
23K27029
|
Project/Area Number (Other) |
23H02336 (2023)
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
|
Allocation Type | Multi-year Fund (2024) Single-year Grants (2023) |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 41040:Agricultural environmental engineering and agricultural information engineering-related
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
伊藤 寿浩 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 教授 (80262111)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宗田 吉広 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 動物衛生研究部門, 上級研究員 (20391451)
|
Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
|
Budget Amount *help |
¥18,720,000 (Direct Cost: ¥14,400,000、Indirect Cost: ¥4,320,000)
Fiscal Year 2025: ¥5,460,000 (Direct Cost: ¥4,200,000、Indirect Cost: ¥1,260,000)
Fiscal Year 2024: ¥5,980,000 (Direct Cost: ¥4,600,000、Indirect Cost: ¥1,380,000)
Fiscal Year 2023: ¥7,280,000 (Direct Cost: ¥5,600,000、Indirect Cost: ¥1,680,000)
|
Keywords | ルーメンセンサ / 細菌発電デバイス |
Outline of Research at the Start |
本研究は、牛の第一胃(ルーメン)の環境をモニタリングするためのルーメンセンサ用の自立電源デバイスとして、ルーメン内の細菌を利用した発電デバイスを開発することを目的としている。具体的には、ルーメン中で継続的に発電ができ、その平均発電電力が、少なくとも1時間に1回程度の無線送信と連続的なセンシングを可能とする1 mW以上となるデバイスを開発する。そのために発電細菌の同定と動態解明を行うとともに、発電細菌の発電量能力を最大限に引き出すことのできる電極構造の開発を行う。
|
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、畜産動物のルーメン内環境をモニタリングするためのルーメンセンサ用の自立電源デバイスとして、ルーメン内の細菌による発電デバイスを開発することを目的としている。具体的には、ルーメン中で継続的に発電ができ、その平均発電電力が、少なくとも1時間に1回程度の無線送信と連続的なセンシングを可能とする1 mW以上となるデバイスの開発を目指す。そのために発電細菌の同定と動態解明を行うとともに、発電細菌の特性を最大限に引き出すことのできる電極構造の開発を行う。 本年度は、上記目的のため、1)発電細菌候補の絞り込み、2) 電極寿命改善のためのCNT電極の開発、3)ルーメン環境下での発電のための細菌の分離・固定化手法の検討 を行った。 1)については、長期間にわたり良好な発電を継続しているルーメン細菌叢発電の電極として使用している竹炭電極(陽極及び陰極)について、シングルセルゲノム解析を行い、細菌属のゲノム、および細胞外への電子伝達経路に関与する遺伝子群等を保有していることも確認した。 2)については、これまで良好な発電が行えていたCuペーパー電極に代えて、CNTペーパー電極を検討し、Cuペーパー電極と同等の発電量を維持しながら、電極寿命を2週間程度から半年以上に改善することに成功した。 実際のルーメン環境下で発電を持続させるためには、陽極・陰極それぞれに異なる細菌を分離・定着させる必要がある。そこで3)については、電極表面にPEDOT:PSSによって細菌を固定化する方法、および、陽極・陰極のチャンバーを分けることで細菌を分離する方法の検討を行った。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、ルーメン発電デバイスの開発を目指し、1)牛のルーメン内容物による細菌叢発電(微生物燃料電池;MFCs)における発電細菌候補の絞り込み、2)電極寿命改善のためのCNT電極の開発、3)ルーメン環境下での発電のための細菌の分離・固定化手法の検討 の3点を進めた。 発電細菌候補の絞り込みについては、長期間にわたり良好な発電を継続している竹炭電極(陽極及び陰極)を用いたルーメンMFCsの電極部分について、シングルセルゲノム解析を行い、得られた各192個のシングルセルゲノムについて解析を行った。陽極及び陰極にはそれぞれ特徴の異なる細菌が定着していることが確認され、その中には、以前の解析で発電能力の高いルーメンMFCsに多く含まれていた細菌属のゲノムが多数確認された。また、細胞外への電子伝達経路に関与する遺伝子群等を保有していることも確認できた。 電極寿命の改善については、竹炭電極に代えてCuペーパー電極を用いることで起電力・発電量が改善する一方、腐食によって電極寿命が短くなることが分かっていた。そこで今回、耐腐食性に優れた低抵抗電極としてCNTに着目し、Cuペーパー電極と同等の発電量を維持しながら、電極寿命を2週間程度から半年以上に改善することに成功した。 また、実際のルーメン環境下で発電を持続させるためには、陽極・陰極それぞれに異なる細菌を分離・定着させる必要がある。そこで今回、電極表面にPEDOT:PSSによって細菌を固定化する方法、および、陽極・陰極のチャンバーを分けることで細菌を分離する方法の検討を行い、特に陽極・陰極のチャンバーを分離することで、効果的に細菌を分けられることを確認した。 以上のように、ルーメン発電デバイス用の電源の開発としてはおおむね順調に進展していると考える。
|
Strategy for Future Research Activity |
本研究では、動物への経口投入に無理がないφ20 mm x 70 mmサイズのルーメンセンサに搭載することができ、継続的に平均1 mW以上発電することが可能な電極/発電デバイスの開発を目指している。継続的に大きな発電能力を保持するためには、電極面積辺りの発電細菌数を最大化するとともに、電極の比抵抗を低下させ、かつ電極の腐食を抑制する必要がある。そこで2023年度は、ルーメン細菌発電の原理解明に向けた細菌の解析を進めると共に、継続的な発電を目指して電極部分の材料・構造の検討・開発を行った。 2024年度は、2023年度に開発したカーボンナノチューブを利用した耐腐食性ペーパー電極と、嫌気環境でも発電が維持できる電極構造とを用いて、発電デバイスを試作し、ルーメン運動を模した動作が可能な容器に、牛から取り出したルーメン内容物を入れ、発電デバイスの性能評価を行う。また、ルーメン内での性能試験評価及び電極構造等の最適化を行うことを目指す。最終年度(2025年度)は、発電デバイスが搭載されたルーメンセンサの試作を行い、3ヶ月以上の連続pHモニタリングを実施する。 また分担機関では、引き続きルーメン内発電細菌の同定と特性解析を進める。特に、2024年度は、2023年度に同定した発電細菌候補について、各種培養方法を用いて、単離・菌種同定を試みる。なお、牛のルーメン細菌叢解析では、従来の発電細菌であるSchwanella属菌やGeobacter属菌はほとんど検出されておらず、新規の発電細菌を分離・同定できる可能性がある。最終年度(2025年度)は、発電細菌の動態解明として、揮発性脂肪酸(VFA)濃度を変化させた場合の発電性能の変化、あるいは低メタン餌あるいは添加物を混ぜた状態での発電性能の変化などを解析するとともに、電極における発電細菌密度を最大化させるための方法について検討を行う。
|