Breakthrough of the restriction on Anaerobic soil disinfestations by developing innovative methods based on scientific evidence
Project/Area Number |
23K27046
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Project/Area Number (Other) |
23H02353 (2023)
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Multi-year Fund (2024) Single-year Grants (2023) |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 41050:Environmental agriculture-related
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Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
小原 裕三 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 農業環境研究部門, 上級研究員 (20354045)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宍戸 雅宏 千葉大学, 大学院園芸学研究院, 教授 (80302537)
門馬 法明 公益財団法人園芸植物育種研究所, その他部局等, 科長 (80469626)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥14,040,000 (Direct Cost: ¥10,800,000、Indirect Cost: ¥3,240,000)
Fiscal Year 2025: ¥4,550,000 (Direct Cost: ¥3,500,000、Indirect Cost: ¥1,050,000)
Fiscal Year 2024: ¥4,550,000 (Direct Cost: ¥3,500,000、Indirect Cost: ¥1,050,000)
Fiscal Year 2023: ¥4,940,000 (Direct Cost: ¥3,800,000、Indirect Cost: ¥1,140,000)
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Keywords | 土壌還元消毒 / 作用機構 / 作用基物質 / 液体マルチ / 限界打破 / Paenibacillus属菌 / 低温条件での土壌還元処理法の開発 / トマト青枯病菌 / 露地 / 限外打破 / 被覆資材 / 作用物質 / 作用機作 |
Outline of Research at the Start |
「低濃度エタノール等を用いた土壌還元消毒法」の作用機作については、ごく一部でしか解明できていないため、土壌還元消毒処理で生成する幅広い抗菌性を持つ未知物質を特定すること、抗菌スペクトルとともに、温度や水分などの環境条件の推移にともなう土壌中における消長を明らかにする。さらに、土壌還元消毒において水分蒸発の抑制ならびに土壌の嫌気性の維持を可能とするため、現行の農業用ポリエチレンフィルムに代わる液体マルチの検討を進め、酸素ガス低透過性ならびに耐久性と、使用後の迅速な生分解性の面から種々の水溶性高分子を検討し、最適な土壌還元状態を創成することを目的とする。
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Outline of Annual Research Achievements |
土壌還元消毒に用いる農業用ポリエチレンフィルム(農ポリ)の代替技術としての液体マルチについて、先ずは、土壌改良資材のうち土壌の団粒形成剤や農薬の展着剤等として実績のあるポリビニルアルコール(PVA又はPVOH)を中心にガスバリアー性能の評価を行った。農ポリ (0.03mm厚)とPVOH等の素材により作成したフィルムのクロルピクリン透過速度をカップ法により比較した。ガスバリアー性資材塗工紙以外は、本測定法の検出限界以下であった。また、いずれの資材もフィルム化したものは脆性が大きかった。 水溶性有機物土による還元消毒では,投入された資材が土壌の深層部まで到達するために深い層においても病原菌抑制作用が得られると考えられてきた。しかし、土壌の深層部は温度が低いこと、資材の濃度が土壌水により大幅に希釈されることが予想される。これらの条件では還元消毒の効果が得られるとは考えにくい。また、糖含有珪藻土による還元消毒では、資材を混和した深さから下方10cm程度までしか糖が検出されない。このことから、有機物が到達していない部位においても還元消毒の効果が得られる可能性が考えられる。このことは、土壌還元消毒の限界を打破するヒントとなる。 革新的な土壌還元消毒法のためのエビデンスを得るために、低温の土壌還元処理でも高いトマト青枯病菌抑制効果が認められる土壌を探索した。その結果、土壌還元処理として比較的低温である25℃でも安定した効果が認められた土壌から、トマト青枯病菌に対する殺菌効果を向上させる土壌細菌3菌株を選抜できた。これらの菌株はPaenibacillus polymyxaが2菌株、Paenibacillus sp.が1菌株であると同定された。現在、低温条件での土壌還元消毒法の限界を打破すべく、これらPaenibacillus菌株を利用した新たな土壌還元処理法を検討中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
土壌還元消毒に用いる農業用ポリエチレンフィルム(農ポリ)の代替技術としての液体マルチについては、用いる素材の大まかな選択は終了した。今後は処理方法を考慮して、土壌還元状態への移行性、創成について検討を行う。土壌還元消毒の寒冷地域での適用性については、北海道のメロン栽培での適用について優先して検討した結果、従来の防除技術よりも優れた効果が得られ、計画通りの進捗状況である。 室内実験において、米ぬかによる土壌還元消毒の効果を評価した。米ぬかを土壌全体に均一に混和した区、試験容器の下層部にのみ混和した区、試験容器の片側にのみ混和した区を設けた。25℃で2週間処理した後、トマト萎凋病菌の密度を測定したところ、米ぬかが混和していない箇所においても病原菌抑制作用が認められた。これには土壌水を介して還元消毒の効果に関連する物質が拡散し病原菌まで到達したこと、米ぬかを混和した部位における酸化還元電位低下の影響が非混和部位にも影響した可能性が考えられる。 トマト青枯病菌を供試し、土壌還元処理としては比較的低温(25℃)でも青枯病菌抑制効果が認められる土壌を探索した。その結果、千葉県旭市から採種した土壌では25℃でも安定した土壌還元消毒効果が認められ、さらに、その効果は殺菌土壌では低下したことから、生物的要因が関わっていることが推察された。この仮説に基づいて土壌細菌を分離・培養後、土壌接種実験を繰り返した結果、低温条件での土壌還元処理でも青枯病菌に対して有意(p<0.05)に殺菌効果を示す土壌細菌3菌株を最終的に選抜することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
土壌還元消毒に用いる農業用ポリエチレンフィルム(農ポリ)の代替技術としての液体マルチについて、現在検討しているポリビニルアルコール(PVA又はPVOH)を用いて今後は処理方法を考慮して、土壌還元状態への移行性、創成について室内実験系で引き続き検討を行う。土壌還元消毒の寒冷地域での適用性については、北海道のメロン栽培での適用性について優先して検討を行い、処理条件の温度条件やエタノール資材量や灌水量の低減化のための至適化について検討を行い、従来の防除技術よりも優れた効果を得ることを目標とする。 土壌表層部は還元化しにくいため、特に日射の弱い季節や地域では抑制作用が低下することが考えられる。処理後の再汚染のリスクを低減する工夫として、畝たてをした状態で還元消毒行うことがあり、そういった場合にも畝の表層部では水分の維持が難しいため、同様の問題が発生する可能性がある。土壌の表層部における還元消毒の効果を評価した事例は極めて少ないため、改めてそれを評価し、土壌還元消毒の限界を打破するための情報とする。 土壌還元処理として比較的低温(25℃)でも、トマト青枯病菌に対する土壌消毒促進効果が認められたPaenibacillus属3菌株を供試し、これらの細菌の添加による土壌還元消毒促進効果を圃場レベルで確認する。また、この試験では鉛直(深さ)方向にも数段階で分布特性、バラツキの程度を評価し、革新的な土壌還元消毒法の開発に向けて、技術的な検討も行う。さらに、Paenibacillus属3菌株のトマト青枯病菌に対する生育抑制効果に関し、作用物質および作用機構について、直接的な抗菌活性や土壌中の非生物的抗菌物質との関連性を調査する。
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Report
(1 results)
Research Products
(4 results)