Project/Area Number |
23K27048
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Project/Area Number (Other) |
23H02355 (2023)
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Multi-year Fund (2024) Single-year Grants (2023) |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 41050:Environmental agriculture-related
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
持丸 華子 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 地質調査総合センター, 主任研究員 (90462861)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大塚 祐一郎 国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所, 主任研究員 等 (80455261)
青柳 智 国立研究開発法人産業技術総合研究所, エネルギー・環境領域, 主任研究員 (10812761)
堀 知行 国立研究開発法人産業技術総合研究所, エネルギー・環境領域, 上級主任研究員 (20509533)
吉岡 秀佳 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 地質調査総合センター, 研究グループ長 (30415765)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥18,720,000 (Direct Cost: ¥14,400,000、Indirect Cost: ¥4,320,000)
Fiscal Year 2025: ¥6,110,000 (Direct Cost: ¥4,700,000、Indirect Cost: ¥1,410,000)
Fiscal Year 2024: ¥5,980,000 (Direct Cost: ¥4,600,000、Indirect Cost: ¥1,380,000)
Fiscal Year 2023: ¥6,630,000 (Direct Cost: ¥5,100,000、Indirect Cost: ¥1,530,000)
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Keywords | リグニン / メタン生成 / メタン / 嫌気培養 / ガス田 / 古細菌 / 細菌 / 嫌気分解 |
Outline of Research at the Start |
本研究では嫌気的なリグニン分解機構を明らかにすることを目的としている。実験には同時糖化湿式粉砕処理で得られる高度純化リグニンおよび微生物起源のメタンを産出するガス田試料を主に用い、その分解経路および微生物活動の評価を地球化学解析技術や遺伝子解析法を駆使することで、嫌気的リグニン分解の担い手や経路を解明する。本研究で得られる成果は、深部ガス田において現在も作られ続けているメタンガスの生成機構の解明、地球炭素循環モデルの一新、新しい木材産業利用法の開拓に資するものである。
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Outline of Annual Research Achievements |
リグニンは、メトキシ基やヒドロキシ基を持つ芳香族化合物がポリマー状に繋がった化合物である。主なリグニン分解者としては、好気性の白色不朽菌と呼ばれる真菌が知られており、リグニンは過酸化水素または酸素を使うペルオキシダーゼによって酸化される。長い地球の歴史において出現年数が比較的短い真菌で高いリグニン分解能力が確認されているが、複数の好気性細菌によるリグニン分解もこれまでに報告されている。近年、木質の主要成分および石炭等の構成成分である芳香族化合物が、地球の大部分を占める嫌気環境において生育する微生物により分解を受けることが明らかとなってきた。 本研究では、地球で最も生命の歴史が長い嫌気的な微生物により、リグニンが分解されるという新しい可能性を明らかにすることを目的としている。そのために、光合成でできた有機物が新たに届かない地下深部のガス田に生育する微生物とリグニン構成成分に類似するメトキシ基・ヒドロキシ基を持つ芳香族化合物を基質として用いて培養を行った。さらに、木材の粉砕と同時に酵素処理を行う同時糖化湿式粉砕処理で得られる、セルロース部分を分解し洗い流した高度純化リグニン(SESC-lignin)を用いて培養を行った。いずれの基質においても、メタンを生成する培養系を獲得し、その継代培養に成功した。また、SESC-ligninを用いた培養上清を、最先端の地球化学解析技術を駆使して分析したところ、培養前には検出されなかった芳香族化合物を検出した。これにより、リグニンが嫌気的に分解されていることが示唆された。今後は嫌気的リグニン分解の担い手や分解経路を解明する。 本研究で得られる成果は、深部ガス田において現在も作られ続けているメタンガスの生成機構の解明、地球炭素循環モデルの一新、木材の新しい産業利用法の開拓に資するものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
リグニン構成成分に類似するメトキシ基・ヒドロキシ基を有する芳香族化合物を基質として用いて前培養したもの、またはガス田から新たに採取した新しい試料を用い、同時糖化湿式粉砕処理した高度純化リグニン(SESC-lignin)を唯一の炭素元として培養を行った。その結果、メタンガスが生成することを確認した。このメタンが生成した培養系を数代植継ぎ、上清の有機物をHPLC、GC-MS、LC-TOF-MSで測定したところ、リグニン由来と考えられる芳香族化合物が検出された。当初の予定より早く良好な培養系を得ることができ、次の分析の検討に入ることができたため、当初の計画以上に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでは、50 mlのバイアルビンを用いた回分培養を行ってきたが、嫌気リアクター(10 L)を用いた連続培養も追加した二つの方法を用いて、効率的で安定的な集積培養系を獲得する。特に、嫌気リアクターを用いた連続培養を行うことで、系内に蓄積する不要な代謝産物を除去し、効率的かつ安定的なリグニン分解系を確立する。これにより、代謝産物を解析するために必要な大量の培養サンプルを確保する。 また、上記で得られたリグニン分解培養系にどのような系統の微生物が生育しているのかを明らかにするため、16S rRNA遺伝子塩基配列を標的とした遺伝子解析を行う。さらに、リグニン分解経路の解明のため、中間代謝産物となり得る基質を購入し、分析の標品とするとともにそれらを培養に用いて分解産物の検出および生育する微生物種を明らかにする。
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