Project/Area Number |
23K27063
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Project/Area Number (Other) |
23H02370 (2023)
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Multi-year Fund (2024) Single-year Grants (2023) |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 42020:Veterinary medical science-related
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
村田 史郎 北海道大学, 獣医学研究院, 准教授 (10579163)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
今内 覚 北海道大学, 獣医学研究院, 教授 (40396304)
大橋 和彦 北海道大学, 獣医学研究院, 特任教授 (90250498)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥18,590,000 (Direct Cost: ¥14,300,000、Indirect Cost: ¥4,290,000)
Fiscal Year 2026: ¥3,380,000 (Direct Cost: ¥2,600,000、Indirect Cost: ¥780,000)
Fiscal Year 2025: ¥4,940,000 (Direct Cost: ¥3,800,000、Indirect Cost: ¥1,140,000)
Fiscal Year 2024: ¥4,940,000 (Direct Cost: ¥3,800,000、Indirect Cost: ¥1,140,000)
Fiscal Year 2023: ¥5,330,000 (Direct Cost: ¥4,100,000、Indirect Cost: ¥1,230,000)
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Keywords | ワクモ / 外部寄生虫 / 七面鳥ヘルペスウイルス / マレック病 / 組換えワクチン / 組換えウイルス / ウイルスベクター |
Outline of Research at the Start |
本研究では2種類の抗ワクモワクチン抗原遺伝子を挿入した組換え七面鳥ヘルペスウイルス(HVT)を作製し、飼養者の負担軽減に貢献する、マ レック病予防効果と高いワクモ防除効果を持つ、ウイルスベクターを応用した抗ワクモ“カクテル”ワクチンの開発を行う。まず、2種類のワ クチン抗原遺伝子を挿入した組換えHVT の作製とその性状についてin vitroにおける解析を行う。次に鶏を用いた感染実験により、作出した組 換えHVTのマレック病予防効果について検証し、組換えHVT免疫鶏の血液を用いた人工吸血試験によりワクモ防除効果を検討することで、組換え HVTを用いた抗ワクモ"カクテル"ワクチンの有用性を評価する。
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Outline of Annual Research Achievements |
鳥類の外部寄生虫であるワクモによる吸血被害は、世界中の養鶏場で深刻な問題を引き起こしており、最近では薬剤に耐性を示すワクモの出現がその防除をさらに困難にさせている。そのため薬剤に変わる新たな防除法の開発研究が行われているが、その中でもワクチンによる防除法開発が注目されている。本ワクチンは、ワクモの生理機能に重要な分子を抗原として免疫し、血液に含まれる抗体を吸血したワクモに致死的影響を与えることを作用機序とする。しかし、単一の抗原による効果には限界があり、効果増強のためには複数抗原を用いたカクテルワクチンの開発が求められる。また実用化に際しては、従来のワクチンプログラムに抗ワクモワクチンを追加することになり、飼養者の負担が増えることになる。そこで本研究では、家禽の監視伝染病であるマレック病の予防に使用される七面鳥ヘルペスウイルス(HVT)をベクターとして用い、ウイルスゲノムに複数の抗原遺伝子を挿入することで、組換えHVT抗ワクモカクテルワクチンを開発することを目的とした。本年度は、ウイルスベクターとして用いるHVTの感染性クローンの作製に必要なベクター作製と、カクテルワクチンの作製に用いるワクチン抗原の評価を行なった。感染性クローン作製にはpBeloBac11ベクターを用い、ウイルスゲノム中のUS2遺伝子と相同組換えにより置換させることで行う。そのため、HVTのUS2遺伝子の両端の領域をpBeloBac11にクローニングした。さらに薬剤による組換えHVTの選抜のため、ecogpt遺伝子の発現カセットをクローニングした。カクテルワクチンの作製に用いるワクチン抗原として、複数の抗原候補の効果をin vitroにて評価した。その際には、ワクモと形態が類似するその他の家禽の吸血性ダニへの効果も期待される、ユニバーサルワクチンとしての応用の可能性を持つ抗原を選抜した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究はマレック病の予防に使用される七面鳥ヘルペスウイルス(HVT)をウイルスベクターとして用い、複数の抗ワクモワクチン抗原遺伝子が挿入された、組換えHVT抗ワクモカクテルワクチンの開発を行う。本年度は、HVTの感染性クローンの作製に必要なベクター作製と、カクテルワクチン作製用の抗原の評価および選抜を行なった。感染性クローン作製に用いるpBeloBac11ベクターに、ベクター配列と置換させるUS2遺伝子の上流および下流の領域をクローニングした。組換えHVTは、相同組換えによりpBeloBac11をウイルスゲノムに挿入することにより作製するが、その後に効率よく組換えHVTを増殖させるため、ミコフェノール酸による選抜を行う。そのため、ミコフェノール酸に抵抗性を示すecogpt遺伝子の発現プラスミドを作製し、その発現カセットを上記のHVT遺伝子を付加したpBeloBac11に挿入した。今後は、本プラスミドをHVTゲノムに相同組換えにより挿入し、感染性クローンの作製を行う。また、本年度はカクテルワクチン用抗原の選抜を行なった。その際に、その他の家禽の吸血性ダニ(トリサシダニなど)にも高度に保存されている抗原を選抜することで、他のダニへの効果も期待できるユニバーサルワクチンとしての付加価値が期待できる抗原を選抜した。まず、トリサシダニなどのその他の家禽の吸血性のダニから抗原遺伝子を同定し、その組換えタンパク質を作製した。作製した組換えタンパク質を鶏に免疫し、得られた免疫血漿をワクモに吸血させ、種の異なるダニへの効果を検証した。その結果、システインプロテアーゼとフェリチン2に対する免疫血漿は、種の異なるダニへの効果が示され、ユニバーサルワクチン用抗原としての応用が期待された。そのため本研究では、これら2抗原を用いたカクテルワクチンの作製を行うこととした。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は七面鳥ヘルペスウイルス(HVT)の感染性クローンの作製を行い、ウイルスゲノム中にシステインプロテアーゼおよびフェリチン2遺伝子を挿入した組換えHVT抗ワクモカクテルワクチンを試作し、その抗ワクモ効果およびマレック病予防効果を検証する。HVTの感染性クローンの作製には、本年度作製したプラスミドとHVTゲノムを鶏胎子線維芽細胞(CEF)に共導入し、薬剤選抜によって組換えが生じたHVTを効率的に増殖させ、pBeloBac11が挿入されたHVTゲノムを大腸菌に導入することでHVTの完全長ゲノムがクローニングされたプラスミドとして保持する。得られた感染性クローンプラスミドのHVTゲノムのうち、HVT005/HVT006およびUL45/UL46を標的として、2つの抗原遺伝子の発現カセットをEn Passant Mutagenesisにより挿入する。その他のワクチン抗原遺伝子の挿入箇所として、US10遺伝子との置換も検討する。得られた感染性クローンプラスミドをCEFに導入し、組換えHVTを再構成させ、ウイルス増殖能とワクチン抗原の発現をqPCRおよびウェスタンブロッティングにより確認する。試作した組換えHVT抗ワクモカクテルワクチンは、鶏を用いた感染実験により、ワクチン抗原に対する抗体産生を検証し、免疫血漿を用いたin vitro feeding assayによる抗ワクモ効果の検討を行う。また、本組換えHVTによるマレック病の予防効果を検証するために、免疫を行なった鶏にマレック病ウイルスの高病原性株を感染させ、発症予防効果を検討する。以上より、ウイルスベクターを用いた抗ワクモカクテルワクチンの作製とその効果検証を行う。
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