Project/Area Number |
23K27070
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Project/Area Number (Other) |
23H02377 (2023)
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Multi-year Fund (2024) Single-year Grants (2023) |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 42020:Veterinary medical science-related
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Research Institution | Obihiro University of Agriculture and Veterinary Medicine |
Principal Investigator |
井上 昇 帯広畜産大学, 原虫病研究センター, 教授 (10271751)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菅沼 啓輔 帯広畜産大学, 畜産学部, 准教授 (60772184)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥18,460,000 (Direct Cost: ¥14,200,000、Indirect Cost: ¥4,260,000)
Fiscal Year 2026: ¥4,940,000 (Direct Cost: ¥3,800,000、Indirect Cost: ¥1,140,000)
Fiscal Year 2025: ¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2024: ¥4,550,000 (Direct Cost: ¥3,500,000、Indirect Cost: ¥1,050,000)
Fiscal Year 2023: ¥4,810,000 (Direct Cost: ¥3,700,000、Indirect Cost: ¥1,110,000)
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Keywords | アフリカトリパノソーマ / ヘモグロビン / 媒介昆虫 / 転写翻訳 / 相互作用 / 細胞接着 |
Outline of Research at the Start |
本研究計画はベクター体内型トリパノソーマのうち下咽頭内壁または消化管内で細胞接着依存性に動物感染性原虫へと細胞分化するEMF型原虫に着目している。2種類のT. congolense EMF特異的表面蛋白質(CESP)および遊離型ヘモグロビンレセプター(TcEpHbR)とそのオルソログに焦点を絞り、こ発育時期特異的転写翻訳制御機構とTcEpHbRによるヘモグロビン取り込み・ヘム利用機構を解明する。加えて、ベクター体内での寄生部位が異なる数種のトリパノソーマから同定したTcEpHbRオルソログについて分子系統解析等を実施し、寄生体進化の過程で種間に生じた多様な寄生戦略の解明に挑む。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究計画はベクター体内型トリパノソーマのうち下咽頭内壁または消化管内で細胞接着依存性に動物感染性原虫へと細胞分化するEMF型原虫に着目している。2種類のT. congolense EMF特異的表面蛋白質(CESP)および遊離型ヘモグロビンレセプター(TcEpHbR)とそのオルソログに焦点を絞り、発育時期特異的転写翻訳制御機構とTcEpHbRによるヘモグロビン取り込み・ヘム利用機構を解明する。加えて、ベクター体内での寄生部位が異なる数種のトリパノソーマから同定したTcEpHbRオルソログについて分子系統解析等を実施し、寄生体進化の過程で種間に生じた多様な寄生戦略の解明に挑むものである。 本年度はT. congolenseの哺乳動物宿主の血液中に寄生する原虫(BSF型原虫)が本研究課題で注目するEMF型原虫とは異なるメカニズムで接着していることを明らかにした。具体的には(1)EMF型原虫の接着がタンパク質分解酵素(トリプシン)抵抗性であるのに対し、BSF型原虫の接着はトリプシン感受性であること、(2)培養フラスコ表面をアガロースで処理して培地に含まれる血清中の細胞接着分子(フィブロネクチンなど)がフラスコ表面に接着できない条件下ではBSF原虫の接着が阻害されること、(2)BSF原虫表面に抗フィブロネクチン抗体が反応する傾向にあること(現在特異的な反応か否かを精査中)である。 以上の結果はT. congolenseが動物宿主と媒介昆虫の体内で異なる接着分子(メカニズム)によって接着し、寄生していることを示唆しており、双方の接着メカニズムの詳細を明らかにすることで伝播阻止や動物用の予防ワクチンの開発につながる発見が期待できる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は本研究で注目しているT. congolense EMF型原虫に加え、同様に接着して動物宿主の血管内に寄生するBSF型原虫の接着メカニズムについて、若干視点を変えた研究を実施した結果、EMF型原虫とBSF型原虫が異なる分子メカニズムで接着していることを突き止めた。単細胞生物であるトリパノソーマが2種類の細胞接着メカニズムを寄生する宿主(媒介昆虫と動物)によって使い分けている事実は寄生虫学的に興味深い。一方で、当初計画していたTcEpHbRファミリー遺伝子の比較分子系統解析やEMF特異的cisエレメントの比較については十分に検討することができなかった。以上より、やや遅れていると自己評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は当初計画に沿って、(1)TcEpHbRファミリー遺伝子の比較分子系統解析、(2)EMF特異的cisエレメントの比較および(3)TcRBP6と相互作用するEMF由来mRNAの網羅的解析を実施する。 (1)ではT. congolense 、T. theileri 、T. brucei 、T. evansi 、T. equiperdumの5種のトリパノソーマからTcEpHbRオルソログをクローニングし、分子系統樹解析を行う。 (2)ではTcEpHbRのmRNA 3’UTR中に同様の配列や2次構造をとる配列が存在するかを明らかにする。 (3)ではTcRBP6がCESPやTcEpHbRの転写翻訳制御に関与しているかを解析するため、TcRBP6結合性mRNAおよび蛋白質の網羅的同定を以下の手順で実施する。TcRBP6と特異的に結合するEMF由来mRNAをRNA免疫沈降法によって分画し、得られたmRNAの全配列を次世代シークエンスによって網羅的に決定する。得られたTcRBP6結合性mRNA群中にCESPおよびTcEpHbR mRNAが含まれている場合、TcRBP6がこれらの遺伝子の転写翻訳制御を行っている可能性が示唆される。含まない場合は同様の手法で残り15種のEMF特異的RBPの中から転写翻訳制御性RBPを同定する。TcRBP6結合蛋白質の網羅的同定では抗TcRBP6抗体を用いた免疫沈降法とアフィニティー精製を行う。得られた結合蛋白質を常法に従って2次元電気泳動で展開し、各蛋白質スポットから精製した蛋白質を質量分析機で分析・同定する。
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