Project/Area Number |
23K27127
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Project/Area Number (Other) |
23H02434 (2023)
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Multi-year Fund (2024) Single-year Grants (2023) |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 43030:Functional biochemistry-related
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
申 惠媛 京都大学, 薬学研究科, 准教授 (10345598)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥18,720,000 (Direct Cost: ¥14,400,000、Indirect Cost: ¥4,320,000)
Fiscal Year 2025: ¥5,850,000 (Direct Cost: ¥4,500,000、Indirect Cost: ¥1,350,000)
Fiscal Year 2024: ¥5,980,000 (Direct Cost: ¥4,600,000、Indirect Cost: ¥1,380,000)
Fiscal Year 2023: ¥6,890,000 (Direct Cost: ¥5,300,000、Indirect Cost: ¥1,590,000)
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Keywords | 生体膜 / P4-ATPase / フリッパーゼ / ホスホイノシタイド / 脂質二重層 / ホスファチジルイノシトール |
Outline of Research at the Start |
ホスホイノシタイドは、前駆体のホスファチジルイノシトール(PtdIns)から生体膜のサイトゾル側で生成され、細胞内シグナル伝達、メンブレントラフィック、細胞運動、細胞増殖などの多岐にわたる細胞機能に重要な役割を果たす。しかし、前駆体のPtdInsがどのように細胞質側へflipされるかはわかっていなかったが、申請者はPtdIns-flip活性を持つP4-ATPaseを同定に成功した。この発見をきっかけにPtdInsのflip活性が、ホスホイノシタイドの生成・代謝にどのように関わっているかを包括的に理解し、ホスホイノシタイドの多岐にわたる細胞機能に具体的にどのように関与しているかを究明していく。
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Outline of Annual Research Achievements |
ホスホイノシタイドは、生体膜のサイトゾル側で、前駆体のホスファチジルイノシトール(PI)より生成され、細胞内シグナル伝達、メンブレントラフィック、細胞運動、細胞増殖などの多岐にわたる細胞機能に重要な役割を果たす。一方で、前駆体のPIがどのように細胞質側へflipされ非対称に分布しているかはわかっていなかった。申請者はPI-flip活性を持つP4-ATPaseの発見をきっかけに本研究では、PIのflip活性が、ホスホイノシタイドの多岐にわたる細胞機能にどのように関与しているかについて研究を進めている。本年度は、14種類存在するヒトP4-ATPaseのうち、PC-フリッパーゼであるATP8B1, ATP8B2, ATP10AがPIをフリップすることを見出した。P4-ATPaseとホスホイノシタイド代謝調節の関係を調べるため、アゴニスト刺激によりPI(4,5)P2を加水分解するGq共役型受容体のシグナル経路に着目した。Gq共役型受容体は、アゴニスト処理によりホスホリパーゼCを活性化し、その結果PI(4,5)P2を加水分解する。PI-flippaseが複数存在していたため、P4-ATPaseの機能に必須なCDC50Aをノックアウト(KO)したHeLa細胞を作製し、PI-flippase欠損細胞として用いた。これらのKO細胞とコントロール細胞にGq共役型受容体(5-HT2A)を安定発現させ、アゴニストであるセロトニン処理を行い、PI(4,5)P2を抗体を用いて観察した。その結果、コントロール細胞に比べCDC50A-KO細胞ではPI(4,5)P2がより速く枯渇することを見出した。したがって、P4-ATPaseのPIのフリップ活性が、PI(4,5)P2の生成に寄与していることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、14種類存在するヒトP4-ATPaseのうち、PC-フリッパーゼであるATP8B1, ATP8B2, ATP10AがPIをフリップすることを見出した。一方で、他のPS-フリッパーゼ(ATP11A, ATP11C)や糖脂質-フリッパーゼ(ATP10D)はPIをフリップしないことを明らかにした。P4-ATPaseとホスホイノシタイド代謝調節と関係を調べるため、アゴニスト刺激によりPI(4,5)P2を加水分解するGq共役型受容体のシグナル経路に着目した。PI-flippaseが複数存在していたため、P4-ATPaseの機能に必須なCDC50Aをノックアウト(KO)したHeLa細胞を作製し、Gq共役型受容体(5-HT2A)を安定発現させた。アゴニストを処理することでPI(4,5)P2の量が低下することを確認した。興味深いことに、コントロール細胞に比べ、KO細胞ではより早くPI(4,5)Pが枯渇することを見出した。本年度では、いくつかのPI-フリッパーゼの同定のみならず、PIフリップ活性がホスホイノシタイド代謝にも関与していることを見出した。
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Strategy for Future Research Activity |
PIフリッパーゼの関与をより直接的に調べるために、HeLa細胞に発現しているATP8B1/ATP8B2のダブルKO細胞株を作製した。今後、このKO細胞に5-HT2Aを安定発現させアゴニスト依存的なPI(4,5)P2の代謝を検証する。さらにKO細胞において、細胞内シグナル伝達経路を調べるためにアゴニスト処理後のカルシウム動態を検討する。また、PI(4,5)P2のみならず、PI(3,4,5)P3が関与するマクロピノサイト―シスにおけるPIフリッパーゼの機能を調べる予定である。PI-flippaseはPCもflipすることから、基質特異性の決定機構を調べるために、近年明らかになったATP8B1の立体構造を元に、点変異体を作製し基質特異性への影響を調べていく。特に、遺伝性胆汁うっ滞症の原因として同定されているいくつかのATP8B1の点変異では、PC-flip活性が阻害されることを見出しているので、これらの変異体を用いてPIに対する活性を比較検討することで、疾患の発症メカニズムを考察していく。
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