Project/Area Number |
23K27138
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Project/Area Number (Other) |
23H02445 (2023)
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Multi-year Fund (2024) Single-year Grants (2023) |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 43040:Biophysics-related
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Research Institution | Institute of Science Tokyo |
Principal Investigator |
北尾 彰朗 東京工業大学, 生命理工学院, 教授 (30252422)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
TRAN PHUOC・DUY 東京工業大学, 生命理工学院, 助教 (50848546)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥18,850,000 (Direct Cost: ¥14,500,000、Indirect Cost: ¥4,350,000)
Fiscal Year 2026: ¥3,640,000 (Direct Cost: ¥2,800,000、Indirect Cost: ¥840,000)
Fiscal Year 2025: ¥3,640,000 (Direct Cost: ¥2,800,000、Indirect Cost: ¥840,000)
Fiscal Year 2024: ¥3,640,000 (Direct Cost: ¥2,800,000、Indirect Cost: ¥840,000)
Fiscal Year 2023: ¥7,930,000 (Direct Cost: ¥6,100,000、Indirect Cost: ¥1,830,000)
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Keywords | リン酸化 / メチル化 / ユビキチン化 / ハブタンパク質 / PaCS-MD/MSM |
Outline of Research at the Start |
タンパク質p53は重要ながん抑制因子であり、両末端に天然変性領域を持っている。更に天然変性領域の翻訳後修飾を利用してDNAや様々なタンパク質との相互作用を複雑に制御している。本研究では、複合体構造形成に伴うタンパク質立体構造変化の経路や自由エネルギー地形を計算して結合親和性を予測できる先端的な分子シミュレーションPaCS-MD/MSM法を用いて、p53の天然変性領域が翻訳後修飾を経て異なる立体構造を取り、多様なタンパク質と相互作用し、複合体を形成する個別のメカニズムを明らかにする。これらの結果を統合してp53がハブタンパク質として多種類の分子と相互作用して機能する仕組みを明らかにする。
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Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、p53の天然変性領域が翻訳後修飾を経て、異なる立体構造を取りながら多様なタンパク質と相互作用し、それぞれの複合体を形成する個別のメカニズムを先端的な分子シミュレーションを用いて明らかにする。まずp53のN末端領域にある2つの転写活性化ドメイン(TAD)を対象にした研究に関しては、リン酸化の有無や変異体の解離定数が得られており、伸びた状態で結合している2番目のTAD(TAD2)と他のタンパク質との複合体構造を最初のターゲットとした。具体的には、Ser46とThr55がリン酸化され伸びたヒモ状の構造をとるp53-TAD2と転写因子p62との複合体(PDB: 2ruk)、およびリン酸化されてα構造をとるp53-TAD2とp62のホモログであるTfb1との複合体(PDB: 2gs0)の二つの複合体について、分子動力学シミュレーションを行った。p53とp62またはTfb1の結合における残基の相互作用を分析した結果、p62の方が相互作用する残基が多く、リン酸化された残基も相互作用していることが分かった。これらの結果から、p53のリン酸化はp53の結合能向上のための重要な役割を果たしていることが示唆された。 アセチル化を受けるp53のC末端ドメイン(p53-CTD)に関しては、複数のタンパク質との複合体立体構造が得られているNLS II付近に注目し、SIRT1(ヒトSir2)との相互作用を対象に研究を行った。MDシミュレーションでは、Sir2がアセチル化されたp53に結合すると、ループ領域が開いた状態になることが観察された。逆に、非アセチル化p53に結合すると、ループ領域は閉じた状態になった。この観察結果は、アセチル化がSirと結合するNAD+の結合ポケット入口の開閉状態に関与するメカニズムを示唆している。この選択メカニズムは、Sir2の効率を高めるものであると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
p53-TAD2と転写因子p62の結合に関するリン酸化の影響と、p53-CTDとSir2に関するアセチル化の影響の研究が、当初の計画通り順調に進んだから。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度以降も、前年度に開始した研究を継続する。具体的には、TAD2のリン酸化に有無に伴う転写因子p62のPHドメインとの複合体がヘリックス構造を取ったり、伸びた構造取ったりする原因をシミュレーションで確かめる研究を継続する。昨年度はMD計算による結合安定状態での研究が終了したので今年度はPaCS-MDを用いた解離シミュレーションを本格的に行い、異なる立体構造を取って安定に結合する仕組みを明らかにする。 アセチル化されたp53のCTDの研究では、ヒトSir2との結合に注目した研究を昨年度より開始しており、これを継続する。Sir2はアセチル化の有無で大きく構造が変わることが分かったので、今後はNAD+およびCTDとSir2の結合メカニズムをPaCS-MDを用いて調べる。 これらの研究により翻訳後修飾によって結合親和性や結合過程が変化する機構を明らかにする。
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