Project/Area Number |
23K27149
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Project/Area Number (Other) |
23H02456 (2023)
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Multi-year Fund (2024) Single-year Grants (2023) |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 43040:Biophysics-related
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
谷 知己 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生命工学領域, 研究グループ長 (80332378)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
寺田 純雄 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 教授 (00262022)
竹田 哲也 岡山大学, 医歯薬学域, 研究准教授 (30302368)
佐藤 啓介 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 助教 (60644044)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥18,590,000 (Direct Cost: ¥14,300,000、Indirect Cost: ¥4,290,000)
Fiscal Year 2025: ¥5,980,000 (Direct Cost: ¥4,600,000、Indirect Cost: ¥1,380,000)
Fiscal Year 2024: ¥5,980,000 (Direct Cost: ¥4,600,000、Indirect Cost: ¥1,380,000)
Fiscal Year 2023: ¥6,630,000 (Direct Cost: ¥5,100,000、Indirect Cost: ¥1,530,000)
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Keywords | 超解像イメージング / 蛍光偏光 / 蛍光1分子観察 / 細胞運動 / 超解像顕微鏡法 / アクチン / 光学顕微鏡 / 超解像 / 蛍光タンパク質 |
Outline of Research at the Start |
真核細胞の膜直下には、光学解像限界より細かいアクチンネットワークがある。これらは細胞の生命活動を支える最も基本的な細胞内構造である。この構造は構成要素の解体と構築のバランスによる動的平衡状態にあるが、このダイナミクスを観察するために必要な空間分解能と時間分解能を両立させることは、既存の超解像技術では難しい。そこで本研究では蛍光1分子偏光観察技術を用い、動的な微細構造を明らかにする新しい超解像顕微鏡法を確立する。この手法は細胞内の様々な超分子構造の解析に応用可能な新しい 超解像光学顕微鏡法としての利用が期待される。
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Outline of Annual Research Achievements |
真核細胞の膜直下には、光学解像限界より細かいアクチンネットワークがある。これらは細胞分裂、細胞移動、細胞接着、細胞質輸送や細胞極性制御など、細胞の生命活動を支える最も基本的な細胞内構造である。アクチン骨格による細胞運動機構の最も興味深い特性は、構築の解体と再構成そのものが動的平衡状態にあり、それが力発生の原動力となっていることである。この原理に基づいた収縮環やラメリポディアなどのアクチンネットワーク動態は、長年多くの生命科学研究者を魅了しつづけてきた研究テーマである。このようなアクチンネットワークのダイナミクスを観察するために必要な空間分解能と時間分解能を両立させることは、既存の超解像技術では難しい。既存の超解像技術では時間分解能が低いためにそのダイナミクスは追跡できない。また超解像像を再構成する上での合理的なアルゴリズムは確立されていない。そこで本研究では、独自に開発を進める蛍光1分子偏光観察技術を用い、動的な微細構造を明らかにする新しい超解像顕微鏡法を確立する。遺伝子にコードされた分子配向プローブを用い、構成分子の“位置”と“向き”の時間変化を1分子単位で追跡する。限られた数の輝点像からでも、その位置情報と配向パラメータから解像限界以下の分子ネットワークを再構築することが可能な、新しい画像解析アルゴリズムを開発する。この方法により、サブ秒単位で進行するラメリポディアアクチンネットワークの自己組織化メカニズムを解明する。2023年度は超解像技術に適した光学顕微鏡システムの力学的安定性の最適化と、その安定性を担保するキャリブレーションシステムの開発をすすめた。顕微鏡ステージおよびカメラの固定を最適化することにより30nmの位置決め精度を達成した。また蛍光偏光のキャリブレーション素材として、解像限界よりも細かい既知の局在表面プラズモン共鳴パターンを持つ試料を検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は一分子蛍光偏光観察に基づいた超解像観察を実現させるための光学顕微鏡基盤技術の確立をすすめた。まず、光学顕微鏡システムの安定性を向上させる取り組みである。超解像顕微鏡法では、光学顕微鏡システムそのものがナノメートルの位置決め精度に足る安定性をもつ必要がある。対物レンズで集められた蛍光は顕微鏡サイドポートから一次像面を通過し、リレー光学系で偏光分光用の光学系を通ってカメラ受光面上に結像される。この光学系の中では、像面と共役位置に近い光学素子の力学的な安定性が極めて重要であり、対物レンズと試料ステージ間のドリフトを抑え、撮像カメラを安定に保持する光学メカニクスの導入である。光学顕微鏡ステージとして透過穴をもつクロスローラーベアリング機構のXYステージを導入し、培養細胞は保温ステージ上に安定保持できるステンレス製容器の中にカバーガラスごと入れて観察する方法を確立した。カメラは透過穴つきXYステージに固定し、位置決めの後にカメラ胴体部と光学基盤を固定することで安定に保持した。このような光学安定性の改良によって、蛍光タンパク質1分子の位置決め精度を30nm程度まで向上させることに成功した。 光学顕微鏡の安定性を確保するとともに、既知の空間パターンで蛍光偏光を発生するキャリブレーション試料の開発にも着手した。局在表面プラズモン共鳴を利用することにより、既知の空間分布で蛍光偏光を放つキャリブレーション試料を作成することができる。本年度は金薄膜でコートされたナノ微細構造をもつ光学プラスチック素材、シクロオレフィンポリマー樹脂の基板をもちいて、200nmを切る微細構造の蛍光偏光超解像観察に取り組んだ。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度は、研究代表者が利用可能な技術であるシクロオレフィン樹脂のナノ微細加工と金薄膜蒸着技術を用いて、回折限界サイズ以下の空間分布で蛍光偏光を放つテスト基板をさまざまな解像能にあわせて試作し、設計された蛍光偏光の空間パターンを超解像によって再現する、画像演算アルゴリズムの開発をすすめる。アクチンネットワークを構成する分子の向きをレポートする蛍光プローブ開発については、引き続きこれらの開発を専門とする研究分担者3名と、単分子レベルでの蛍光偏光観察を専門とする研究代表者との密な研究協力をすすめる。アクチン、ミオシンと特異的かつ低いKd値で結合するバインダータンパク質と蛍光タンパク質とのリジッドなキメラタンパク質の開発を通じて蛍光プローブの開発をすすめる。また、すでに開発されたPOLArISアクチンプローブを安定発現するLLCPK1細胞ラインを用いて、アクチンネットワークの自己組織化過程を分子配向可視化から解析した実験結果を論文化する。
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