多彩な構成因子が司るPINK1複合体形成とミトコンドリア品質管理の調節機構
Project/Area Number |
23K27172
|
Project/Area Number (Other) |
23H02479 (2023)
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
|
Allocation Type | Multi-year Fund (2024) Single-year Grants (2023) |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 44010:Cell biology-related
|
Research Institution | Rikkyo University |
Principal Investigator |
岡 敏彦 立教大学, 理学部, 教授 (40263321)
|
Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
|
Budget Amount *help |
¥18,720,000 (Direct Cost: ¥14,400,000、Indirect Cost: ¥4,320,000)
Fiscal Year 2025: ¥5,850,000 (Direct Cost: ¥4,500,000、Indirect Cost: ¥1,350,000)
Fiscal Year 2024: ¥5,850,000 (Direct Cost: ¥4,500,000、Indirect Cost: ¥1,350,000)
Fiscal Year 2023: ¥7,020,000 (Direct Cost: ¥5,400,000、Indirect Cost: ¥1,620,000)
|
Keywords | ミトコンドリア / ミトコンドリア品質管理 |
Outline of Research at the Start |
ミトコンドリアはATP産生を代表とする多彩な細胞機能を担っており,細胞による様々な機能調節を受けている。近年,細胞が障害を受けたミトコンドリアを積極的に排斥することで,その機能を維持していることが明らかになった。本研究では,このミトコンドリア品質管理に働く因子の同定を通じて,他の細胞内イベントとのクロストークを介した調節機構の分子メカニズムの全体像の理解を目指している。
|
Outline of Annual Research Achievements |
ミトコンドリアはATP産生を代表とする多彩な細胞機能を担っており,細胞による様々な機能調節を受けている。近年,細胞が障害を受けたミトコンドリアを積極的に排斥することで,その機能を維持する機構(ミトコンドリア品質管理)が明らかとなった。私達は,ミトコンドリア品質管理に必須なPINK1タンパク質複合体の構成因子の同定を通じて,他の細胞内イベント(解糖系,抗ウイルス応答,ミトコンドリア内膜透過装置,ミトコンドリア輸送)で働くタンパク質のミトコンドリア品質管理への関与を見出してきた。本研究では,PINK1タンパク質複合体形成を核とするミトコンドリア品質管理の調節機構メカニズムの解明を目指している。 本年度は,PINK1タンパク質複合体のメンバーとして同定したミトコンドリア内膜のタンパク質膜透過TIM23複合体に着目し,ミトコンドリア品質管理でセンサータンパク質として働くPINK1の生合成における役割を検討した。そして,障害を受けたミトコンドリアでのPINK1蓄積の促進が,TIM23タンパク質複合体ではなく,TIM23単独の機能に由来することを明らかにした。この結果は,TIM23が内膜のタンパク質膜透過だけでなく,ミトコンドリア品質管理における固有の役割を担っていることを示している。今後は,このTIM23の2つの機能(タンパク質膜透過とミトコンドリア品質管理)に関わる機能領域の同定を進めていく。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1)TIM23機能における PINK1保護とタンパク質膜透過の仕分け: ミトコンドリア内膜でのタンパク質膜透過は,外膜の膜透過と異なり膜電位に依存する。私達は,その膜透過装置であるTIM23複合体をPINK1相互作用因子として同定した。この結果は膜電位を失ったミトコンドリアでの新たなTIM23機能を示唆していたため,TIM23発現抑制を行なったところPINK1蓄積量の減少が確認された。そこで,PINK1蓄積量の変化がTIM23サブユニット単独の機能か,またはTIM23複合体としての機能かを検証するために,他のTIM23複合体の主要サブユニット(TIM17A/B, TIM50など)を個々に発現抑制した細胞を用いて,タンパク質のミトコンドリア内膜透過とPINK1蓄積量の両方を測定した。その結果,ミトコンドリア内膜透過の減少は確認できたが,同じ条件でPINK1蓄積量の減少は見られなかったため,PINK1保護はTIM23固有の機能であることが示唆された。また,TIM23の部分欠損体を用いたPINK1保護機能に寄与する機能領域の同定も進めているが,ミトコンドリア内膜透過に関わるドメインと区分けにはまだ至っていない。 2)遺伝性パーキンソン病患者由来のPINK1変異体の探索: 私達は,遺伝性パーキンソン病患者由来のPINK1変異体を用いた免疫沈降実験により,TIM23との相互作用が弱く共免疫沈降しにくいPINK1変異体(A78V, R98V)を同定した。TIM23相互作用に必要なPINK1ドメインをさらに探索するために,他のPINK1変異体を用いた免疫沈降実験を進めいているが,まだ新たな変異の同定には繋がっていない。
|
Strategy for Future Research Activity |
TIM23-PINK1相互作用に関わる機能領域の探索は,これまでの方法を継続して進める。加えて,クロスリンカーを用いた免疫沈降とLC/MS解析を組み合わせることで,互いに近接する領域を特定し,相互作用に働く領域の同定に繋げる予定である。 また,令和6年度にはミトコンドリア外膜に唯一存在するAAA+ ATPaseであるATAD1に焦点をあて,1)PINK1を介したミトコンドリア品質管理の制御,2)ATAD1の新規基質タンパク質の探索の2項目を中心に解析を行うことで,ミトコンドリア品質管理に働く因子の新たな機能解明を進める。
|
Report
(1 results)
Research Products
(3 results)