Development of adult adipose tissue: mechanisms underlying dynamic behaviors of precursor cells
Project/Area Number |
23K27179
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Project/Area Number (Other) |
23H02486 (2023)
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Multi-year Fund (2024) Single-year Grants (2023) |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 44020:Developmental biology-related
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
上村 匡 京都大学, 生命科学研究科, 教授 (80213396)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥18,980,000 (Direct Cost: ¥14,600,000、Indirect Cost: ¥4,380,000)
Fiscal Year 2025: ¥3,640,000 (Direct Cost: ¥2,800,000、Indirect Cost: ¥840,000)
Fiscal Year 2024: ¥6,370,000 (Direct Cost: ¥4,900,000、Indirect Cost: ¥1,470,000)
Fiscal Year 2023: ¥8,970,000 (Direct Cost: ¥6,900,000、Indirect Cost: ¥2,070,000)
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Keywords | 成体型脂肪組織 / 発生 / 前駆細胞 / 生体内イメージング / ショウジョウバエ / 細胞移動 / 細胞接着 / ADAM10 |
Outline of Research at the Start |
肥満は人類共通の問題であり、成体における脂肪組織(成体型脂肪組織)の機能や病態について、中性脂肪の貯蔵や多臓器連関の観点から多数の研究が行われている。しかし、健康な個体において成体型脂肪組織の発生過程そのものを研究の出発点とするアプローチは、未だに不十分である。研究代表者は、ショウジョウバエの成虫型脂肪組織の前駆細胞の動態を可視化できるツールを開発した。本研究計画では、成体型脂肪組織の形成に至る遺伝子プログラムを解明する。その成果をもとに、前駆細胞での遺伝子型の違いが、脂肪組織の形態と機能にどれだけの多様性をもたらすかを検証する。
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Outline of Annual Research Achievements |
脂肪組織はエネルギーの余剰分を貯蔵するのみならず、多臓器連関の要として動物の一生に渡って多様な全身性シグナル分子を分泌する重要な組織でもある。肥満(脂肪組織の異常な肥大)は人類共通の問題であり、成体における脂肪組織(成体型脂肪組織)の機能や病態について、中性脂肪の貯蔵や多臓器連関の観点から多数の研究が行われている。しかし、健康な個体において成体型脂肪組織の発生の工程そのものには、多くの不明な問題が残されている。研究代表者は、ショウジョウバエの成虫型脂肪組織(adult fat body/AFB)の前駆細胞の動態を可視化できるツールを開発して、以下の問題を解明しようとしている。 (1) 個体が成長する時空間軸に沿ってどのような分化段階を経てAFBが形成されるのか。(2) 各段階でのAFB前駆細胞の振る舞いを制御する遺伝子は何か。(3) 異なる遺伝子型に加えて、様々な環境要因(栄養環境など)を背負った個体間で、脂肪組織は形態的(細胞数、組織全体のサイズ、体内の分布など)あるいは機能的(中性脂肪の貯蔵や分解など)にどれだけ差があるのか。 当該年度ではまず(1)について、変態期初期に、胸部に由来する前駆細胞が腹部に侵入し、増殖しつつ方向を変えて遠距離を移動して、表皮あるいは体壁筋の内側に広く分布した後、互いに接着して AFB を形成する工程を捉えて、論文として発表した(Tsuyama et al. Development 2023)。さらに(2)の問いにアプローチする目的で、AFB前駆細胞の分離を試みた(「現在までの進捗状況」で後述)。また、野生型系統間で、AFB欠損表現型の出現率に差があることを利用して、この表現型の原因遺伝子の候補を探索した結果、ADAM メタロプロテアーゼ遺伝子 kuzbanian (kuz) のノックダウン表現型に着目した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
成体型脂肪組織 (AFB) の前駆細胞が比較的多数存在する細胞接着開始前の段階から、GFP 標識した前駆細胞を回収して、RNA-seq を行うプロトコールを確立することを試みた。しかし、同時期の体内に多量に存在する幼虫組織由来の破片を除く方法を検討する必要に迫られた。これらの組織片は遠心分離やセルストレーナーを用いても取り除くことはできなかった。また、YAMAHA Cell Handlerを用いて AFB 前駆細胞を高純度で回収することを試みた。しかし、目的の細胞を高純度で回収するためにはピッキングを複数回繰り返す必要があることがわかり、さらなるプロトコールの改良が必要となった。 一方で、ADAM メタロプロテアーゼ遺伝子 kuzbanian (kuz) がAFB 形成に果たす役割についても、解析を進めた。kuz が AFB 形成のどの段階に寄与しているのかを解明する目的で、kuz ノックダウン個体を蛹期に経時観察して各発生段階での表現型を解析した。その結果、kuz ノックダウン個体では、AFB 前駆細胞同士が接着して AFB を形成する時期に組織の面積が減少することが示唆された。さらに複数のコントロールと、複数のノックダウン系統を用いて取得した画像データを定量的に解析して、AFBの面積の低下が有意であることを明らかにした。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題では今までの以下の問題にアプローチしている。(1) 個体が成長する時空間軸に沿ってどのような分化段階を経て成体型脂肪組織 (AFB) が形成されるのか。(2) 各段階でのAFB前駆細胞の振る舞いを制御する遺伝子は何か。 問い (1) に関しては、GFP 標識した前駆細胞が遠距離を移動しつつ増殖した後、互いに接着してAFBを形成する動態を明らかにした。しかしながら、前駆細胞の周辺に形成されつつある他の組織の時空間パターン形成や、形成されたAFBの組織構築そのものについては、ほとんど先行研究がない。そのため、前駆細胞がどのような周辺組織に接しながら移動するのか、その時、周辺組織は細胞外マトリクス (ECM) を形成しており、前駆細胞はそのECMを足場として移動しているのかなど、何も明らかにされていない。また、成体型ではなく幼虫型脂肪組織 (larval fat body/LFB)の構造ついては、AFB同様、脂肪細胞が互いに接着した単層の組織ではあるが、細胞間にはコラーゲンIVなどのECMが存在すること、そしてそのECMを介した細胞-ECM-細胞間接着がLFBの組織構築に寄与していることが報告されている。以上の観点から、固定試料を用意してパラフィン切片の作製・観察などの組織学的な解析を行う一方で、ECMマーカー系統を用いた生体イメージングを行い、AFBと周辺組織の時空間パターン形成とAFBの組織構築を明らかにする。 問い (2) に関しては、卵巣に存在する border cell の移動において、Kuz の基質として働くNotch (N) に着目して、AFB 前駆細胞においても N が Kuz の基質として働く可能性を検証する。また、上述した前駆細胞と周辺組織との相互作用やAFBの組織構築の観点から、ECMの構成成分やそのレセプターが Kuz の基質として作用する可能性も調べる。
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Report
(1 results)
Research Products
(7 results)