Project/Area Number |
23K27217
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Project/Area Number (Other) |
23H02526 (2023)
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Multi-year Fund (2024) Single-year Grants (2023) |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 45020:Evolutionary biology-related
Basic Section 45010:Genetics-related
Sections That Are Subject to Joint Review: Basic Section45010:Genetics-related ,Basic Section45020:Evolutionary biology-related
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
宮崎 雅雄 岩手大学, 農学部, 教授 (20392144)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥18,720,000 (Direct Cost: ¥14,400,000、Indirect Cost: ¥4,320,000)
Fiscal Year 2025: ¥5,980,000 (Direct Cost: ¥4,600,000、Indirect Cost: ¥1,380,000)
Fiscal Year 2024: ¥5,460,000 (Direct Cost: ¥4,200,000、Indirect Cost: ¥1,260,000)
Fiscal Year 2023: ¥7,280,000 (Direct Cost: ¥5,600,000、Indirect Cost: ¥1,680,000)
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Keywords | 嗅覚 / ネコ / 本能行動 / ゲノム解析 / マタタビ / 嗅覚受容体 / GWAS |
Outline of Research at the Start |
まずネコでイリドイド受容体を同定し、受容体遺伝子の多型や有無でマタタビ反応の個体差が説明つくか検証する。次にマタタビ反応の有無と相関する遺伝子変異を全ゲノムレベルで探索する。これらの結果を踏まえマタタビ反応に重要な遺伝子をネコで特定し反応機構の個体差を解明する。ネコで遺伝子を特定したら様々なネコ科・ネコ科以外の動物、絶滅した古生物のゲノム解析も行い、ネコ科動物だけがマタタビ反応を獲得するに至った進化の経緯を考察する。
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Outline of Annual Research Achievements |
ネコのマタタビ反応は、300年以上も前から知られている有名な生物現象です。欧米ではキャットニップに対する同様の反応も見られます。ネコのマタタビ反応は特定の植物に対する生得的な行動であり、これを誘発する活性物質は、イリドイドと呼ばれ5員環と6員環が融合した特徴的な構造を持ちます。これまでの研究で、マタタビ反応は、防虫行動として機能することが分かりました。活性物質ネペタラクトールに蚊の忌避効果があり、マタタビ反応するとこれが被毛に付着してネコが蚊に刺されにくくなることが分かりました。しかしなぜネコ科動物だけがマタタビに反応するのかは分かっていません。また、約3割のネコは、マタタビに反応しないことも分かっていますが、生存に有利なこの反応を提示しない個体が同一種に共存する理由も分かっていません。そこで本研究では、マタタビ反応の発動に重要な遺伝子を特定し、反応の種差と個体差の原因を究明することを目的としました。本研究は世界中で多くの人が興味を持っているネコ特有なマタタビ反応の全容解明を目指している点で学術的価値が高く、研究成果はネコ科動物の理解に留まるものではなく、様々な学問や新たな忌避剤開発など産業に波及する可能性を秘めており創造性も高いと考えます。 初年度は、イリドイド受容体の探索を行った。DNA解析技術の進歩により、ネコの高精度参照ゲノムAnAms1.0が公開され、嗅覚受容体遺伝子が900以上存在することが判明した。AnAms1.0にはFelicat9に無い134個の嗅覚受容体遺伝子があり、そのうち46個がネコの嗅上皮で発現していることが確認された。これらの受容体を調べた結果、5個がマタタビ活性物質に応答することがわかった。さらに、特異的に応答する嗅覚受容体が14個特定されたが、期待する遺伝的変異は見つからなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
900個以上もあるネコの嗅覚受容体からイリドイドに応答するものを十数個まで絞り込むことができた。今後は、反応の有無と相関するものを詳細に探索していくことで、マタタビ反応に重要な遺伝子を特定できると期待する。
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Strategy for Future Research Activity |
計画1.受容体候補遺伝子の個体差に関する検証 マタタビ反応が優性遺伝するなら、陽性ネコは、イリドイドに高感度の受容体をホモかヘテロで持ち、陰性ネコは、アミノ酸置換で応答性が低下した受容体をホモで持つと考える。陽性ネコはホモとヘテロ、どちらか不明なので、反応陽性ネコと陰性ネコのDNAを鋳型にPCRで受容体候補遺伝子を増幅し、発現ベクターにクローニングして大腸菌に形質転換後、各プレートから10個程度のコロニーを拾いDNA配列を解析、各ネコで父方と母方に由来する2つの受容体の対立遺伝子を単離する。複数の遺伝子型が取れたら分類し、各受容体のネペタラクトール応答性をルシフェラーゼアッセイで調べ、強く応答する配列と応答しない配列の多型を持つ受容体を探索する。これが見つかり、強く応答する受容体を陰性ネコが持たないことを確認すれば、この受容体がマタタビ反応に関与するものと考える。
計画2.ゲノム再構築による受容体探索 反応の有無が優性遺伝し且つ受容体の多型に依存するなら、反応陽性ネコと陰性ネコを両親に持つ反応陽性ネコは、一方の染色体上に陽性親から受容体の機能遺伝子を、もう一方に陰性親から機能しない受容体遺伝子を引き継ぎ、ヘテロの対立遺伝子を持つと考えられる。そこで陽性ネコと陰性ネコを交配し、ヘテロ陽性個体を産出し、その個体の全ゲノム配列をPacBio Sequel IIで解読し、二つの相同染色体のゲノム配列を再構築(フェージング)する。そして嗅覚受容体やTRPファミリーの遺伝子をターゲットにヘテロ対立遺伝子を探索し、これが見つかったら細胞でイリドイドに応答するものと応答しない遺伝子型を持つ受容体遺伝子を探索する。
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