| Project/Area Number |
23K27233
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| Project/Area Number (Other) |
23H02542 (2023)
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| Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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| Allocation Type | Multi-year Fund (2024) Single-year Grants (2023) |
| Section | 一般 |
| Review Section |
Basic Section 45030:Biodiversity and systematics-related
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| Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
村上 哲明 東京都立大学, 理学研究科, 教授 (60192770)
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| Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 薫 横須賀市自然・人文博物館, その他部局等, 学芸員 (00766016)
常木 静河 愛知教育大学, 教育学部, 准教授 (10632789)
海老原 淳 独立行政法人国立科学博物館, 植物研究部, 研究主幹 (20435738)
堀 清鷹 公益財団法人高知県牧野記念財団, その他部局等, 研究員 (20806004)
篠原 渉 香川大学, 教育学部, 教授 (30467443)
高橋 大樹 九州大学, 農学研究院, 助教 (50913216)
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| Project Period (FY) |
2024-04-01 – 2026-03-31
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| Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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| Budget Amount *help |
¥18,980,000 (Direct Cost: ¥14,600,000、Indirect Cost: ¥4,380,000)
Fiscal Year 2025: ¥2,860,000 (Direct Cost: ¥2,200,000、Indirect Cost: ¥660,000)
Fiscal Year 2024: ¥5,590,000 (Direct Cost: ¥4,300,000、Indirect Cost: ¥1,290,000)
Fiscal Year 2023: ¥10,530,000 (Direct Cost: ¥8,100,000、Indirect Cost: ¥2,430,000)
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| Keywords | 生物多様性 / シダ植物 / 配偶体 / DNAバーコーディング / クローン / 葉緑体DNA / ハプロタイプ / 独立配偶体 / DNAバーコディング / rbcL |
| Outline of Research at the Start |
シダ植物には配偶体と胞子体の2つの世代が存在する。通常シダ植物として認識されているのは胞子体であり、配偶体は1cm程度と小型で目立たない。一方で、無性芽を通じた栄養繁殖により、配偶体世代のみで生育し続ける例(「独立配偶体」と呼ばれる)も知られていた。配偶体については、形態が単純で種の同定ができなかったこともあって,植物相がよく解明されている日本でも、ほとんど調べられていない。そこで、DNA情報を用いて種の同定を行う技術(DNAバーコーディング)を活用して、日本国内にどのようなシダ植物種の独立配偶体が見られるのか探索し、発見した独立配偶体については、どのように起源したかについても研究を行う。
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| Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、日本列島の温暖な地域を中心にシダ植物の独立配偶体を探索し、見出されたものについてはDNA情報を活用してその起源を明らかにすることである。2024年度はナンゴクホウビシダの独立配偶体について大きな発見があった。これまでチャセンシダ亜目から独立配偶体を形成できるシダ植物の種は見出されていなかった。しかし、2023年度の調査でチャセンシダ科ホウビシダ属のナンゴクホウビシダの配偶体マットが日本列島の暖温帯から亜熱帯域で広く見出された。そこで、伊豆諸島の複数の島々からナンゴクホウビシダの胞子体、配偶体マットの集団サンプリングを実施し、本種が独立配偶体を形成可能なシダ植物であるか否かを検証した。 rbcL遺伝子の塩基配列決定と比較の結果、発見された配偶体マットから得られた塩基配列はナンゴクホウビシダのものと完全一致し、他のホウビシダ属の種とは明確に区別された。また、伊豆諸島全体では、胞子体集団と配偶体集団の中に3種類の葉緑体DNAハプロタイプが存在することが明らかとなった。ナンゴクホウビシダの胞子体が見られない伊豆大島南部のシカマガ滝では、八丈島のごく一部に見られる珍しい葉緑体DNAハプロタイプをもつ配偶体が幅50 mに渡って広く存在し、無性芽による栄養繁殖能により長期間に渡って集団を維持していることが分かった。すなわち、伊豆大島から230 km離れた八丈島などから飛来した稀なハプロタイプをもつ胞子に由来した配偶体が少なくとも数百年間、伊豆大島のシカマガ滝で生育し続けていることが推定された。以上の結果は、チャセンシダ亜目に属するこの種が独立配偶体を形成できることを示している。これまで独立配偶体を形成できないと考えられてきたシダ植物群からも独立配偶体が発見されたことは、幅広いシダ植物群で独立配偶体が見られる可能性を示しており、とても興味深い。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
これまで心臓型の配偶体のみをもち、無性芽で栄養繁殖能を持たないため独立配偶体を形成できないと考えられてきたチャセンシダ亜目に含まれるシダ植物から、初めて独立配偶体を見出すことができた。ナンゴクホウビシダが独立配偶体を形成できることを発見したことは大きな科学的意義があると考えられる。実際に、この研究成果を発表した英文論文は、日本植物学会のJPR論文賞を受賞した。 ナンゴクホウビシダ以外にも、イノモトソウ科シシラン類の様々な種(日本未記録種も複数含む)などの配偶体マットが琉球列島や小笠原諸島などの日本の亜熱帯域から多数得られており、本研究の最終年度の2025年度も大きな研究成果が得られることが期待できる状況である。
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| Strategy for Future Research Activity |
計画通りに研究が進んでいるので、来年度もこのまま継続する。最終年度である2025年度は、本研究で見出された日本未記録種(その種の胞子体が日本国内で発見されたことがない)の独立配偶体について、海外産の同種のDNA情報と比較することにより、それらの起源地についても明らかにしたいと考えている。 海外のどこから胞子が飛んできたかが推定できれば、胞子の風散布による日本列島と他地域のつながりを明らかにすることにもなり、本研究が生物地理学にも貢献できると考えられる。
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