Project/Area Number |
23K27317
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Project/Area Number (Other) |
23H02626 (2023)
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Multi-year Fund (2024) Single-year Grants (2023) |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 47020:Pharmaceutical analytical chemistry and physicochemistry-related
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
北原 亮 立命館大学, 薬学部, 教授 (70512284)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 稔 立命館大学, 生命科学部, 教授 (00241258)
萬年 太郎 立命館大学, 生命科学部, 助教 (50535763)
北沢 創一郎 立命館大学, 薬学部, 助教 (50779030)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥18,850,000 (Direct Cost: ¥14,500,000、Indirect Cost: ¥4,350,000)
Fiscal Year 2025: ¥6,110,000 (Direct Cost: ¥4,700,000、Indirect Cost: ¥1,410,000)
Fiscal Year 2024: ¥5,070,000 (Direct Cost: ¥3,900,000、Indirect Cost: ¥1,170,000)
Fiscal Year 2023: ¥7,670,000 (Direct Cost: ¥5,900,000、Indirect Cost: ¥1,770,000)
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Keywords | 液液相分離 / 凝集 / RNA結合タンパク質 / 顕微ラマン法 / 筋萎縮性側索硬化症 / 圧力 / FUS / 液固相転移 / 神経変性疾患 |
Outline of Research at the Start |
FUSとTDP-43の細胞内凝集はALS発症と深く関連している。FUSが可逆的に高濃度な液滴(液液相分離, LLPS)を形成し、時間と共に不可逆凝集へと液固相転移すると、細胞内凝集または機能消失により細胞毒性が惹起される。申請者は、これまでの野生型FUSの研究から、常圧で安定なLLPS (LP-LLPS)に比べ、高圧で安定なLLPS (HP-LLPS)は不可逆的な凝集形成が加速されることを見出した。本研究では、FUSとTDP-43の野生型およびALS疾患型変異体について、多様なLLPS状態の全貌と疾患型変異体の特徴を解明し、HP-LLPSを標的とした創薬の概念実証を行う。
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Outline of Annual Research Achievements |
RNA結合タンパク質fused in sarcoma (FUS)の細胞内凝集は筋萎縮性側索硬化症(ALS)の発症に関係している。FUSのALS疾患型変異体R495Xについて、液液相分離(LLPS)の圧力-温度相図を作製した。FUS-野生型(WT)と同様に、常圧で安定なLLPS (LP-LLPS)に加え、高圧力下で安定なLLPS (HP-LLPS)の存在を確認した。HP-LLPSの存在量は、R495XとWTで大差がないことがわかった。圧力ジャンプUV-Vis分光法により、LLPS形成と消失の速度論的解析を行った。R495Xでは、HP-LLPSにおいてWTのそれに比べ顕著に不可逆性が増加していることがわかった。低分子化合物(アルギニン、ドパミン、ピロカテコール)によるLLPSや凝集物の阻害効果をUV-Vis分光法と蛍光顕微鏡により調べた。圧力ジャンプUV-Vis測定から、1 mMのアルギニンでもHP-LLPSの不可逆的性質の発生を顕著に抑制できることがわかった。常圧において、時間とともにLLPSの流動性が低下することがわかった(aging)。LLPS形成時間が24時間を超えると、1-2 mMアルギニンでは不可逆凝集の発生を抑制できなかった。20 mMアルギニンでは、48時間においても不可逆凝集の発生を顕著に抑制することがわかった。顕微ラマン測定法の条件検討と試料セルの開発を行なった。FUS野生型や疾患型変異体R495Xを安定発現するU2OS細胞を作製し、細胞内でFUSを含んだストレス顆粒の形成とアルギニンやドパミン効果について調べた。これらの成果を学術論文として投稿した。また、HeLa細胞、U2OS細胞について一過的にWTまたはR495Xを過剰発現させ、上記化合物の効果を調べた。この他、浸透圧調節物質など複数の低分子化合物についてLLPSに対する効果を調べた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通り、RNA結合タンパク質FUSおよびTDP-43について疾患型変異体、リン酸化変異体などの作製を行い、圧力・温度可変UV-Vis測定、圧力ジャンプUV-Vis測定、蛍光顕微鏡観察など必要な実験を順に行っている。2023年度には、位相差/蛍光観察が可能な倒立顕微鏡を導入し解像度の高いLLPS画像が得られるようになった。特に、ALS疾患型変異体FUS-R495Xについて上記実験を全て行い、WTに比べHP-LLPS状態において凝集性が顕著に高いことを見出し学術論文の投稿を行った(2024年4月17日 Scientific Reports掲載済み)。現在、その他のALS疾患型変異体FUS-P525や、FUSリン酸化模倣変異体Lについて同様な測定を行っている。FUSについては、計画通り順調に進展している。 RNA結合タンパク質TDP-43について、大腸菌を用いた生合成とカラムを用いた精製方法を確立した。LLPSや不可逆凝集を形成する濃度や溶液条件のスクリーニングを行った。TDP-43においても、細胞内の不可逆凝集が孤発性ALSの発症と関係している。アルギニン等低分子化合物における凝集阻害効果について研究を開始した。 液滴内部でのタンパク質の立体構造情報を解析するために、FUS-LLPSについて顕微ラマン測定を行なった。液固相転移を経時的に捉えるために、密閉率の良い専用の試料セルの開発を行なった。FUS野生型や疾患型変異体R495Xを安定発現するU2OS細胞を作製し、細胞内でFUSを含んだストレス顆粒の形成とアルギニンやドパミン効果について調べた。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)圧力ジャンプUV-Vis分光法により、ALS疾患型変異体やリン酸化模倣変異体についてLLPS形成と消失の速度論的解析を行い、野生型と疾患型の違いを調べる。(2)GFP融合したFUSやTDP-43と光褪色後蛍光回復法(FRAP, fluorescence recovery after photobleaching)を用いることで液滴内の流動性を測定する。時間変化と疾患変異、リン酸化による変化、で比較する。FUSでは、疾患型変異や形成時間(aging)により流動性が低下しやすい。FRAPを用いて流動性の観点から低分子化合物の効果について調べる。(3)定量レーザー回折法を用いて粒子径分布の観点から、FUSのLLPS形成と成長、液固相転移について解析する。溶液中の粒子径解析について、ナノメーター領域(0.1 μm以下)では粒子のブラウン運動と散乱光強度の関係から動的光散乱(DLS)により粒子径解析が可能である。一方で、0.1~10 μm領域に適した回折/ミー散乱を用いた方法(定量レーザー回折, qLD)は、全粒子による散乱パターンの重ね合わせを測定し、元の粒子径分布を演算する手法である。凝集体の経時変化も定量的に解析可能である。DLSおよびqLDを用いることで、nmからμmの幅広いサイズ領域の凝集体を検出し、粒子径の点からタンパク質の多量体化、LLPS、不可逆凝集という一連のプロセスの全貌を解明する。(4)顕微ラマン分光法により、LLPS液滴内部のタンパク質の振動モード(構造)情報を得る。液固相転移に伴う構造変化を調べる。(5)低分子化合物のFUS-LLPSに対する効果をFUS安定発現細胞および一過的に発現させた細胞を用いて調べる。
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