Project/Area Number |
23K27321
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Project/Area Number (Other) |
23H02630 (2023)
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Multi-year Fund (2024) Single-year Grants (2023) |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 47030:Pharmaceutical hygiene and biochemistry-related
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
平井 敏郎 大阪大学, 微生物病研究所, 特任講師(常勤) (00895815)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥18,720,000 (Direct Cost: ¥14,400,000、Indirect Cost: ¥4,320,000)
Fiscal Year 2025: ¥5,590,000 (Direct Cost: ¥4,300,000、Indirect Cost: ¥1,290,000)
Fiscal Year 2024: ¥6,500,000 (Direct Cost: ¥5,000,000、Indirect Cost: ¥1,500,000)
Fiscal Year 2023: ¥6,630,000 (Direct Cost: ¥5,100,000、Indirect Cost: ¥1,530,000)
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Keywords | ワクチン / 抗体 |
Outline of Research at the Start |
コロナ禍で明らかとなったのは、従来知見の粋を集めた最新のワクチンでも、誘導した抗体を維持することができないという課題である。本研究では、天然痘のワクチンなどワクチン史上最高の効果を示した生ワクチンや自然感染時に観察されることのある持続する免疫の獲得を目標に、非リンパ末梢組織内における抗原の持続的存在と長期維持される抗体応答の関係を検証し、抗体価の維持されるワクチン開発のための新たな指針を示したい。
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Outline of Annual Research Achievements |
コロナ禍で明らかとなったのは、従来知見の粋を集めた最新のワクチンでも、誘導した抗体を維持することができないという課題である。本研究では特に、非リンパ末梢組織中の抗原の存在とその組織局所で生じる免疫応答が、長期維持される抗体応答につながる仮説を検証することを目指す。本年度は、抗体価が高く維持されるアデノウィルスベクター(AdV)の経肺免疫モデルと、抗体価の低い筋肉注射モデルを比較しながら、免疫部位での抗原発現、局所免疫応答の詳細を時系列を追って解析し、基礎情報を収集した。まず、すでに判明していた血液中での抗体価に加え、気道粘膜の抗体価を評価した。この結果、血液中のIgGの産生は、過去の再現通り経肺免疫群で高く、より維持されることが確認されたことに加え、肺胞洗浄液中のIgGおよびIgAの誘導は経肺免疫モデルで非常に高く観察された。また、経肺免疫モデルと筋肉注射モデルでは、一般的に免疫応答に重要と理解される2次リンパ組織(リンパ節と脾臓)における免疫誘導では大きな差が観察されなかった。一方で、経肺免疫モデルの免疫部位である肺に多くの抗体産生細胞が集積してくることが明らかとなり、筋肉注射モデルの免疫部位である筋肉とは大きく異なる挙動を示すことが明らかとなった。さらに、この結果と相関し、肺ではAdVによる抗原発現が一部の細胞で非常に長く続いていることが明らかとなった。したがって、肺における抗原の発現と、それに相まって観察される肺への抗体産生細胞の蓄積が経肺免疫モデルの高く、より長く維持される抗体価と関係している可能性が分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していた基礎情報の収集を概ね実施できたため。
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Strategy for Future Research Activity |
肺での抗原発現、およびそれに伴う抗体産生細胞の蓄積が経肺免疫における高く維持される抗体応答につながっている可能性が示された。過去の報告では、肺への免疫により、3次リンパ組織、iBALTが誘導される場合があることが知られる。iBALTの誘導と強い免疫応答の相関などは観察されているものの、その必要性や十分性に関する情報はほとんどわかっていない。また、iBALTの形成に伴い、抗体の質(中和活性など)が変化する可能性も指摘されているが、それが感染防御に意味のある違いにつながるのかなどはわかっていない。AdVの経肺免疫は、肺で非常に強い免疫応答を引き起こしているため、今後は、iBALTの形成を引き起こしている可能性を検証しつつ、またiBALTの誘導を含めた肺での免疫応答が高い抗体産生や維持、抗体の質にどの様な影響を持つのか、因果関係の解析を進めたい。肺での免疫応答を引き起こすことが、抗体価の維持されるワクチンの標的になるのか検証を進めつつ、その場合に、肺での免疫応答に必要な因子についても検討を進めたい。
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