Project/Area Number |
23K27329
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Project/Area Number (Other) |
23H02638 (2023)
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Multi-year Fund (2024) Single-year Grants (2023) |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 47040:Pharmacology-related
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
南 雅文 北海道大学, 薬学研究院, 教授 (20243040)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥18,590,000 (Direct Cost: ¥14,300,000、Indirect Cost: ¥4,290,000)
Fiscal Year 2025: ¥6,630,000 (Direct Cost: ¥5,100,000、Indirect Cost: ¥1,530,000)
Fiscal Year 2024: ¥6,630,000 (Direct Cost: ¥5,100,000、Indirect Cost: ¥1,530,000)
Fiscal Year 2023: ¥5,330,000 (Direct Cost: ¥4,100,000、Indirect Cost: ¥1,230,000)
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Keywords | 抑うつ / 不安 / 慢性痛 / ストレス / レジリエンス |
Outline of Research at the Start |
ヒトを含む哺乳類には、慢性痛・慢性ストレスによる抑うつ・不安情動を制御し、うつ病や不安障害の発症を防ぐ脳内レジリエンス機構が備わっていると考えられる。本研究では、申請者のこれまでの研究により、慢性痛・慢性ストレス時の抑うつ・不安情動生成への関与が示された分界条床核内の神経可塑的変化に焦点を当て、受容体作動薬・拮抗薬を用いた従来の薬理学的・電気生理学的解析に加え、光遺伝学・化学遺伝学を用いた神経機能解析や蛍光イメージングによるインビボ神経活動計測などの先端的解析手法を融合的に用いて、慢性痛・慢性ストレスによる抑うつ・不安情動生成を制御するレジリエンス機構とその破綻メカニズムを明らかにする。
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Outline of Annual Research Achievements |
ヒトを含む哺乳類には、慢性痛・慢性ストレスによる抑うつ・不安情動を制御し、うつ病や不安障害の発症を防ぐ脳内レジリエンス機構が備わっていると考えられる。本研究は、申請者のこれまでの研究により、慢性痛・慢性ストレス時の抑うつ・不安情動生成への関与が示された分界条床核内の神経可塑的変化に焦点を当て、この神経可塑的変化を抑制・回復させる神経機構を明らかにすることにより、脳内レジリエンス機構を解明することを目的とする。受容体作動薬・拮抗薬を用いた従来の薬理学的・電気生理学的解析に加え、光遺伝学・化学遺伝学を用いた神経機能解析や蛍光イメージングによるインビボ神経活動計測などの先端的解析手法を融合的に用いて、慢性痛・慢性ストレスによる抑うつ・不安情動生成を制御するレジリエンス機構とその破綻メカニズムを明らかにすることにより、うつ病や不安障害の神経機構の理解や治療標的の同定につながる独創的な研究成果を得ることを目指す。これまでの研究により、腹側被蓋野や視床下部外側野に出力する分界条床核神経が慢性痛時に抑制されることが抑うつ・不安情動亢進に関与することが示されている。そこで2023年度は、分界条床核出力神経に興奮性入力を送っている神経回路を同定するため、候補となる脳部位にチャネルロドプシン2を発現するウイルスを注入した後、分界条床核を含む脳スライスを作製し、脳スライスに光照射した際の分界条床核出力神経への入力をパッチクランプ法による電気生理学的手法を用いて検討し、脳内レジリエンス機構に関与する可能性のある神経路の同定を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
分界条床核出力神経に興奮性入力を送っている脳部位の候補として、内側前頭前野と扁桃体基底外側核に着目し、チャネルロドプシン2を発現するウイルスをこれら脳部位に注入した後、腹側被蓋野あるいは視床下部外側野に逆行性蛍光ビーズを注入することで分界条床核出力神経を可視化した。分界条床核を含む脳スライスを作製し、脳スライスに光照射した際の分界条床核出力神経での興奮性シナプス後電流(excitatory post-synaptic current, EPSC)と抑制性シナプス後電流(inhibitory post-synaptic current, IPSC)をパッチクランプ法による電気生理学的手法を用いて計測したところ、内側前頭前野と扁桃体基底外側核ともに分界条床核出力神経に興奮性入力を送っていることが明らかとなった。内側前頭前野に比較し、扁桃体基底外側核がより密に分界条床核に神経投射を送っていたことから、扁桃体基底外側核から分界条床核に投射する神経路に焦点を絞って研究を進めることとしたが、慢性痛時の扁桃体基底外側核から分界条床核に投射する神経路の興奮性入力変化を検討した、本研究と非常に類似した研究成果が米国のグループからプレプリントとして報告されたため、扁桃体基底外側核からの神経路に着目した研究は中止とし、分界条床核出力神経に興奮性入力を送る神経路の探索からやり直すこととした。光遺伝学を用いた電気生理学的解析の結果、分界条床核出力神経に興奮性入力を送る脳部位として海馬台を同定した。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度は、光遺伝学を用いた電気生理学的解析により、分界条床核出力神経に興奮性入力を送る脳部位として海馬台を同定した。今後は、慢性痛時に本興奮性入力がどのように変化するかを電気生理学的解析により検討するとともに、化学遺伝学を用いた海馬台-分界条床核神経路の神経活動操作が慢性痛により惹起される不安様行動に及ぼす影響を明らかにする。さらに、カルシウムイメージングによる神経活動計測法を用いて、慢性痛による分界条床核出力神経の活動変化をインビボで計測するとともに、化学遺伝学を用いた海馬台-分界条床核神経路の神経活動操作が分界条床核出力神経の活動に及ぼす影響を明らかにする。これらの検討により、脳内レジリエンス機構における海馬台-分界条床核神経路の役割を明らかにする。
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