Project/Area Number |
23K27352
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Project/Area Number (Other) |
23H02661 (2023)
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Multi-year Fund (2024) Single-year Grants (2023) |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 48010:Anatomy-related
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
久保田 義顕 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 教授 (50348687)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥18,590,000 (Direct Cost: ¥14,300,000、Indirect Cost: ¥4,290,000)
Fiscal Year 2026: ¥4,550,000 (Direct Cost: ¥3,500,000、Indirect Cost: ¥1,050,000)
Fiscal Year 2025: ¥4,550,000 (Direct Cost: ¥3,500,000、Indirect Cost: ¥1,050,000)
Fiscal Year 2024: ¥4,550,000 (Direct Cost: ¥3,500,000、Indirect Cost: ¥1,050,000)
Fiscal Year 2023: ¥4,940,000 (Direct Cost: ¥3,800,000、Indirect Cost: ¥1,140,000)
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Keywords | 血管新生 / VEGF / 血管内皮細胞 / 血管 |
Outline of Research at the Start |
本研究では、血管内皮細胞由来の組織形成・再生因子、つまりアンジオクラインシグナルの実体を突き止め、その意義を明らかにすることで、「血管は血液を流す単なる『土管』なのか?」という疑問により、教科書的パラダイムへ挑戦する。特に、これまでの申請者のチームで精力的に取り組んできた中枢・末梢神経系組織と硬組織(骨や歯)を中心に、それらの臓器におけるアンジオクラインシグナル、つまりアンジオクライン因子発現の上流、下流シグナルも含めた全容を包括的に明らかにする。
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Outline of Annual Research Achievements |
血管は生命の維持のために必須の構造物である。すなわち、肺で取り入れた酸素、腸管で吸収した栄養素を効率よく運ぶためのパイプラインとして、血管は全身の臓器の恒常性維持を支えている。ごく最近、この教科書的な血管の役割に加え、重要な生理的機能が示唆されている。それは血管内皮細胞由来のパラクライン因子(アンジオクライン因子)が、血流にのって運ばれてくる酸素と独立して、何らかの形で組織の発生・再生に貢献するというものである。 しかしながら、その実体の大部分は未解明のままである。本研究提案では、生命科学における最新の技術、つまり組織特異的遺伝子改変ツール、3次元可視化技術、単一細胞トランスクリプトーム、メタボロームなどを結集し、臓器特異的なアンジオクラインシグナルの実体を突き止め、その意義を明らかにすべく遂行された。昨年度まで得られたシングルセルRNAシーケンシングの結果、つまりマウス骨折治癒過程や末梢神経修復モデルにおける血管内皮細胞の細胞集団の変動、新生血管に発現が上昇するアンジオクライン因子として浮かび上がってきた候補分子について、定量的PCRやウエスタンブロッティングなどによってその発現が確認された。さらには、それら候補遺伝子の血管内皮特異的コンディショナルノックアウトマウスの作成が着手され、理研BRC, Jackson laboratory, Cyagenなどより入手されたものは、既に交配が進行中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、血管内皮細胞由来の組織形成・再生因子、つまりアンジオクラインシグナルの実体を突き止め、その意義を明らかにすることで、「血管は血液を流す単なる『土管』なのか?」という疑問により、教科書的パラダイムへ挑戦する。特に、これまでの申請者のチームで精力的に取り組んできた中枢・末梢神経系組織と硬組織(骨や歯)を中心に、それらの臓器におけるアンジオクラインシグナル、つまりアンジオクライン因子発現の上流、下流シグナルも含めた全容を包括的に明らかにするというものである。マウス骨折治癒過程や末梢神経修復モデルにおけるアンジオクライン因子の候補を既に複数同定し、シングルセルRNAシーケンシングや定量的PCRやウエスタンブロッティングなどによって、その発現が確認された点で、計画は順調に進行している。また、そのうちいくつかの因子のfloxマウスについては理研BRC, Jackson laboratory, Cyagenより導入が完了しており、Cdh5-BAC-CreERT2トランスジェニックマウス(Okabe et al., Cell 2014)との交配が進行中である。得られたマウスはタモキシフェンによって、任意のタイミングで血管内皮細胞におけるノックアウトが可能となっており、その生体における機能を特異的に解析することが可能である。また、発生期の骨の解析において、骨の端(骨端部)にこれまで見つかっていなかった骨髄血管のサブタイプ(Type S)が存在し、骨の発生、血液産生に重要なことを見出した。このType S血管は特有のアンジオクライン様式、特にI型コラーゲンの分泌によって、骨形成に寄与することを明らかにしている(Iga et al., Nat Cell Biol 2023)。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度までの研究に引き続き、さらに候補となったアンジオクライン因子の遺伝子のflox側のマウスの入手に努める。論文として発表されているものであれば共同研究ベースでの分与の依頼、理研BRC, Jackson laboratoryなどにデポジットされているものであれば購入、Cyagen社にESクローンが保管されているものであれば生体マウスの作出を依頼するなど、その入手において、できる限りコストとエフォートの削減に努める。既に交配が開始されているものも含め、得られたコンディショナルノックアウトマウスについては、その表現型をX線解析、歩行機能、免疫組織学的に解析するだけではなく、共同研究によるメタボローム解析、イメージングMSにより、組織構築細胞の代謝の変動を解析する。また、適宜、培養細胞を用いたin vitroの解析を併せて行う。アンジオクライン因子のリコンビナントタンパクを培養液中へ添加することの標的細胞(神経、線維芽細胞、間葉系前駆細胞など)への影響についても検討する。また、当該アンジオクラインシグナル分子のsi-RNAによるノックダウンにより、血管内皮細胞(HUVEC)への影響も検討する。具体的には転写因子であれば、その下流で動くアンジオクライン因子の発現の変動、または血管内皮細胞の増殖や遊走への影響である。これらの研究を通じて、臓器特異的なアンジオクラインシグナルの実体を解明するうえでの手がかりを得る。
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