慢性炎症におけるpaligenosis過程の可視化と分化破綻機構および腫瘍化の解明
Project/Area Number |
23K27391
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Project/Area Number (Other) |
23H02700 (2023)
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Multi-year Fund (2024) Single-year Grants (2023) |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 49030:Experimental pathology-related
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
森井 英一 大阪大学, 大学院医学系研究科, 教授 (10283772)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
奥崎 大介 大阪大学, 免疫学フロンティア研究センター, 特任准教授(常勤) (00346131)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2028-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥18,590,000 (Direct Cost: ¥14,300,000、Indirect Cost: ¥4,290,000)
Fiscal Year 2027: ¥3,640,000 (Direct Cost: ¥2,800,000、Indirect Cost: ¥840,000)
Fiscal Year 2026: ¥3,640,000 (Direct Cost: ¥2,800,000、Indirect Cost: ¥840,000)
Fiscal Year 2025: ¥3,640,000 (Direct Cost: ¥2,800,000、Indirect Cost: ¥840,000)
Fiscal Year 2024: ¥3,640,000 (Direct Cost: ¥2,800,000、Indirect Cost: ¥840,000)
Fiscal Year 2023: ¥4,030,000 (Direct Cost: ¥3,100,000、Indirect Cost: ¥930,000)
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Keywords | 慢性炎症 / 化生 / ストレス応答 / 病理検体 / 組織学的解析 / オルガノイド |
Outline of Research at the Start |
慢性炎症などの組織破壊を契機に分化細胞が未分化細胞に戻り、再度分化する現象をpaligenosisと呼ぶ。再分化時、分化プロセスの破綻で元には存在しない細胞となる「化生」と、元と同じ細胞へ分化する「再生」が起こる。化生は腫瘍の母地となる。組織の機能を維持し癌化を防ぐためには分化破綻を抑制し再生を高効率に生じることが重要である。慢性間質性肺炎では肺胞上皮が気管支上皮化生を起こし呼吸不全で死に至る。慢性炎症に伴うpaligenosisの詳細な過程について遺伝子発現調節機構を含め追及し、再生と化生の分岐点や再生へと向かう本来の分化過程を化生へと捻じ曲げる因子を解析する。
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Outline of Annual Research Achievements |
慢性炎症に伴い組織破壊が起こり、その結果、多くの場合は元の組織が再生するが、炎症の程度や頻度が高度の場合は組織改築を経て、元の組織とは異なる組織になる場合がある。この現象を化生と呼ぶ。慢性間質性肺炎では、肺の呼吸スペースである肺胞領域で慢性炎症が起こり、その結果、元の肺胞組織が再生すれば呼吸機能が保たれるが、気管支上皮への化生およびそれに伴う線維化が進行すれば呼吸機能が失われる。再生と化生の境目はどこにあるのかを検討したいと考え、そのために必要なツールである臨床検体よりオルガノイドを樹立することまず試みた。臨床検体における肺胞領域に相当する肺胞オルガノイドと気管支領域に相当する気管支オルガノイドを作成するため、肺腫瘍摘出時の残余検体である正常肺よりオルガノイド作成を試みた。気管支オルガノイドは比較的容易に得ることができたが、肺胞オルガノイドは気管支へむかう細胞を極力排除することで、その樹立に成功することができた。そこで、肺胞オルガノイドにサイトカインカクテルを添加することで炎症刺激を加えた時の遺伝子発現変化を網羅的に検討した。その結果、肺胞オルガノイドに特徴的な遺伝子は発現低下を示す一方、気管支オルガノイドに特徴的な遺伝子の発現は上昇する傾向にあった。また、近年、long non-coding RNA (lncRNA)がさまざまな生物現象の制御に関与することが明らかとなってきていることを踏まえ、ヒト病理検体における肺胞領域、気管支領域に特徴的なlncRNAの検索も行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ヒト病理検体より樹立した肺胞オルガノイド、気管支オルガノイドを用いて、まず各々のオルガノイドに特徴的な遺伝子群を検討した。近年、lncRNAが種々の生物現象の制御に関与することが明らかとなってきていることを踏まえ、通常のprotein coding geneのみならず、lncRNAについても各々のオルガノイドに特徴的な種類を検索した。Protein coding geneとしては気管支上皮に特徴的な遺伝子群は気管支オルガノイドに高発現しており、また肺胞上皮に特徴的な遺伝子群は肺胞オルガノイドに高発現を示していた。このことは各々のオルガノイドが各々の由来臓器の特徴を有していることを示唆する。LncRNAは一般的に発現量が少ないが、気管支上皮に高発現を示すlncRNAとしてMIR205HGを同定した。実際の発現をヒト病理組織検体でin situ hybridization法を用いて検討したところ、気管支上皮に特異的なシグナルとしてMIR205HGの発現が確認された。さらに慢性間質性肺炎病理組織で検討したところ、このMIR205HGは肺胞上皮細胞の一部にも発現していることが明らかとなった。このような肺胞上皮マーカーと気管支上皮マーカーの両者を発現する細胞は慢性間質性肺炎組織にしか存在せず、通常の肺組織にはみられなかった。また、肺胞オルガノイドにサイトカインカクテルを添加することで炎症刺激を加えた時の遺伝子発現変化を網羅的に検討した。その結果、肺胞オルガノイドに特徴的な遺伝子は発現低下を示す一方、気管支オルガノイドに特徴的な遺伝子の発現は上昇する傾向にあった。
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Strategy for Future Research Activity |
慢性間質性肺炎で認められた肺胞上皮マーカー、気管支上皮マーカーの両者が陽性である細胞について、その意義を検討する。MIR205HGと発現動態が類似の炎症性サイトカインに着目し、その発現にlncRNAであるMIR205HGがどのような制御機構を有しているのか検討する。また、肺胞オルガノイドにサイトカインカクテルを添加することで炎症刺激を加えた時の遺伝子発現変化が、ヒト病理組織検体でも認められるのかどうかを調べる。現在のところ、肺胞上皮マーカーの発現が低下し、気管支上皮マーカーの発現が上昇することから、炎症による化生へのプロセスの一部をみている可能性があるが、条件を検討して再生へのプロセスを再現できないかも検討する。
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Report
(1 results)
Research Products
(8 results)