Project/Area Number |
23K27417
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Project/Area Number (Other) |
23H02726 (2023)
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Multi-year Fund (2024) Single-year Grants (2023) |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 49060:Virology-related
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
白銀 勇太 九州大学, 医学研究院, 講師 (40756988)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥18,590,000 (Direct Cost: ¥14,300,000、Indirect Cost: ¥4,290,000)
Fiscal Year 2025: ¥5,980,000 (Direct Cost: ¥4,600,000、Indirect Cost: ¥1,380,000)
Fiscal Year 2024: ¥5,980,000 (Direct Cost: ¥4,600,000、Indirect Cost: ¥1,380,000)
Fiscal Year 2023: ¥6,630,000 (Direct Cost: ¥5,100,000、Indirect Cost: ¥1,530,000)
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Keywords | 麻疹ウイルス / エンベロープウイルス / 進化 / 亜急性硬化性全脳炎 / モルビリウイルス / SSPE / CADM / シス受容体模倣因子 / 膜融合タンパク質 / ウイルス進化 / ウイルス受容体 |
Outline of Research at the Start |
麻疹ウイルスはエンベロープを持つRNAウイルスで、まれに患者個体内で変異して中枢神経系での増殖能を新たに獲得し、致死性の脳炎を引き起こす。私たちはその進化適応機序としてウイルス膜融合タンパク質の機能亢進が重要な役割を果たすことを明らかにしてきた。本研究では麻疹ウイルスの進化メカニズムの解明を通してエンベロープウイルスの膜融合タンパク質がウイルスに与える高度な進化ポテンシャルについて明らかにする。また、本研究によりエンベロープウイルスに共通する進化適応能力の基盤解明を進め、新興ウイルス感染症の発生対策に資する情報の提供にもつなげたい。
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Outline of Annual Research Achievements |
SSPE患者から分離されたMeV(Patient B株およびOSA3/Bs/B株)のFタンパク質のアミノ酸アライメント解析を行い、野生型には認められない多数の変異が獲得されていることを明らかにした。このような多重変異F遺伝子では、神経シス受容体模倣因子CADM1/2が存在しなくても細胞融合が誘導された。更に、CADM以外の未知の受容体について、融合を誘導できる候補遺伝子を複数同定した。CADM1/2の発現していない培養細胞においても多重変異Fでは細胞融合を誘導できること、CADM以外の候補宿主因子遺伝子の一部を複数ノックダウンすると細胞融合が抑制されたことから、MeVがF遺伝子に変異を蓄積させることで受容体として利用できる宿主因子のレパートリーを増やし、脳内での増殖が有利になるようにSSPE患者の脳内で進化したことが示唆された。これらのデータは麻疹ウイルスが神経病原性を獲得するメカニズムの解明に寄与するとともに、エンベロープウイルスの融合遺伝子変異による種の壁の突破や免疫回避における進化ポテンシャルについて重要な示唆を与えるものである。 その他、CADM利用能に重要なMeV受容体結合タンパク質Hの領域がストーク領域の171番目から175番目のアミノ酸に存在することを確認した。また、SSPE分離株に認められるCADM利用能を高めるH遺伝子の変異の同定や、CADM分子がMeV以外の神経病原ウイルスによる膜融合を誘導することについて予備データを得た。さらに、SSPE患者血清によるMeV中和能が、F遺伝子の変異によって弱まることを融合アッセイ系を用いた実験により明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和5年度はMeV多重変異によるCADM1/2以外の受容体利用能拡大メカニズムの解明が想定を超えるペースで大きく進み、新たな宿主因子の候補遺伝子を同定することができた。また、中和抗体エスケープに関与するF変異の解析を予定通り実施することができた。一方で、協調と干渉に関するF変異の進化的意義の検証についてはあまり進んでおらず、今後の解析が待たれる。上記を総合し、おおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
令和6年度はMeV多重変異Fにおける受容体利用能拡大について、新たな受容体候補遺伝子について神経病原性への関与を解析し、論文としてまとめたい。また、中和抗体エスケープに関しては、F遺伝子変異のみではなく、H遺伝子変異の評価も実施し、MeVが脳内でどのように中和抗体から回避しているかのメカニズムの解明につなげたい。また、多重変異Fに関して、野生型Fとどのように機能的に相互作用するのか、またその相互作用が受容体利用能や免疫回避にどのような影響を与えるのか、解析を進めたい。
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