Project/Area Number |
23K27419
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Project/Area Number (Other) |
23H02728 (2023)
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Multi-year Fund (2024) Single-year Grants (2023) |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 49060:Virology-related
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Research Institution | National Institute of Infectious Diseases |
Principal Investigator |
宮川 敬 国立感染症研究所, インフルエンザ・呼吸器系ウイルス研究センター, 室長 (20580046)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥18,720,000 (Direct Cost: ¥14,400,000、Indirect Cost: ¥4,320,000)
Fiscal Year 2025: ¥6,890,000 (Direct Cost: ¥5,300,000、Indirect Cost: ¥1,590,000)
Fiscal Year 2024: ¥5,200,000 (Direct Cost: ¥4,000,000、Indirect Cost: ¥1,200,000)
Fiscal Year 2023: ¥6,630,000 (Direct Cost: ¥5,100,000、Indirect Cost: ¥1,530,000)
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Keywords | ウイルス-宿主相互作用 / 内因性免疫 / 生体防御因子 |
Outline of Research at the Start |
超高齢化社会を迎える我が国では、ウイルス感染症を含む様々な疾患が難治化・重症化することが予想される。効果的なワクチンや治療薬が存在しないウイルス感染症に対しては、ウイルスの複製機序や病原性発現機構を理解し、治療標的を特定する基礎研究が重要である。本研究では、ヒトが本来有する「内因性免疫」による宿主防御メカニズムを詳細に紐解くことで、ウイルス感染症に対する予防戦略の確立を目指す。具体的には、細胞内外の環境の変化に伴うヒトの内因性免疫を分子レベルで明らかにし、その機能や発現機構を細胞・組織レベルで検証し、ウイルスに対する未知の生体防御反応を解明することを目的とする。
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Outline of Annual Research Achievements |
効果的なワクチンや治療薬が存在しないウイルス感染症に対しては、ウイルスの複製機序や病原性発現機構を理解し、治療標的を特定する基礎研究が重要である。本研究では、ヒトが本来有する内因性免疫による宿主防御メカニズムを詳細に紐解くことで、ウイルス感染症に対する予防戦略の確立を目指す。本年度は、新型コロナウイルス感染症の原因ウイルスであるSARS-CoV-2に対する、未知の宿主防御メカニズムの解明を目指した。SARS-CoV-2は呼吸器以外の臓器にも感染し、多岐にわたる影響を及ぼすことが知られている。そこで我々は、さまざまな臓器由来の細胞・オルガノイドに、SARS-CoV-2デルタ株、オミクロン株(BA.1, BA.2, BA.2.75, BA.5, XBB.1系統)を感染させたところ、肺由来の細胞においては、デルタ株、オミクロン株ともに増殖効率が高かった。一方、ヒト腸管オルガノイドにおいては、デルタ株と一部のオミクロン株(BA.2.75系統)は高い増殖効率を示したのの、その他のオミクロン株は感染はするがほとんど増殖しないことを見出した。また、SARS-CoV-2感染腸管オルガノイドからは多様なサイトカインが分泌されており、とくにインターロイキン6の分泌量はウイルスの増殖効率と相関し、腸管への感染に伴う顕著な炎症反応が示唆された。反対に、インターフェロンラムダ2(IFN-λ2)の分泌量はウイルスの増殖効率と逆相関することが分かった。デルタ株の感染時にIFN-λ2を添加すると、ウイルス増殖が顕著に抑制された。また、IFN-λ2中和抗体をBA.2感染時に添加するとウイルス増殖が亢進した。これらの結果から、IFN-λ2は腸における内因性免疫の働きを高め、SARS-CoV-2感染抑制に重要な役割を果たすことが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでに腸管組織において内因性免疫を惹起する抗ウイルス性のサイトカインを特定し、さらにはその下流遺伝子群による詳細なメカニズム解析を進行中であることから、当初の計画通り概ね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
SARS-CoV-2感染腸管オルガノイドのシングルセル解析により、感染・非感染細胞群でそれぞれ発現レベルの異なる遺伝子群を抽出するとともに、IFN-λ2による発現変動遺伝子群を網羅的に同定することで、SARS-CoV-2の感染抑制メカニズムを詳細に検討する。抽出された候補因子をノックダウン、あるいは過剰発現した感染感受性細胞を作成し、SARS-CoV-2複製に対する影響を調べる。影響が見られた因子群の遺伝子変動に関して、公共データベース等を用いたバイオインフォマティクス解析を行い、候補因子の発現や機能を調節する細胞内シグナル経路や細胞外刺激などを特定する。特定された刺激を肺細胞や腸細胞に与えSARS-CoV-2感染に対する影響を調べる。
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