Project/Area Number |
23K27443
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Project/Area Number (Other) |
23H02752 (2023)
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Multi-year Fund (2024) Single-year Grants (2023) |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 50010:Tumor biology-related
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
林 嘉宏 立命館大学, 薬学部, 教授 (30802590)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥18,980,000 (Direct Cost: ¥14,600,000、Indirect Cost: ¥4,380,000)
Fiscal Year 2025: ¥3,640,000 (Direct Cost: ¥2,800,000、Indirect Cost: ¥840,000)
Fiscal Year 2024: ¥6,630,000 (Direct Cost: ¥5,100,000、Indirect Cost: ¥1,530,000)
Fiscal Year 2023: ¥8,710,000 (Direct Cost: ¥6,700,000、Indirect Cost: ¥2,010,000)
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Keywords | 骨髄異形成症候群 / 免疫細胞 / 腎機能障害 / マクロファージ / 好中球 / 腎障害 |
Outline of Research at the Start |
骨髄異形成症候群(MDS)は、造血幹細胞に生じた遺伝子異常が原因で発症する難治性血液がんである。MDS患者では、免疫学的機序によると考えれる様々な全身臓器障害がしばしば見られる。こうした全身合併症は、MDS患者のQOLを低下させ、生存期間にも影響を及ぼす明確な予後不良因子であるが、その病態発症機序の解明は進んでいない。本研究では、MDS全身合併症の中でも特に頻度の高い腎障害に焦点をあて、私たちが新規に樹立したMDS疾患モデルを用いた解析を通じて、MDS腫瘍クローン由来免疫細胞を介した腎障害発症機序を明らかにする。これにより、MDS全身合併症に対する新規治療戦略構築に資する成果が期待される。
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Outline of Annual Research Achievements |
骨髄異形成症候群(MDS)は、造血幹細胞に生じた遺伝子異常が原因で発症する難治性血液がんである。MDS患者では、免疫学的機序によると考えれる様々な全身臓器障害がしばしば見られる。本研究では、MDS患者でしばしばみられる腎障害に焦点をあて、新規に樹立したMDS疾患モデルを用いた解析を通じて、MDS腫瘍クローン由来免疫細胞を介した腎障害発症機序を明らかにすることを目指している。 今年度は、腎組織に浸潤するMDSクローン由来好中球およびマクロファージについて解析を進めた。腎組織障害と組織中への血球浸潤を評価するために、発症初期のMDSマウスと、病態の進行により衰弱したMDS マウスから腎臓を摘出し、病理標本を作製した。標本のHE染色およびPAS 染色を行い、コントロールマウスの腎臓と比較すると、MDSマウスでは、病態の進行に伴い尿細管間質への血球浸潤が亢進することがわかった。これはMDS 患者でみられる腎障害の報告と一致する結果であった。フローサイトメトリー解析により、衰弱前のMDSマウスの腎組織ではマクロファージおよび好中球の浸潤がみられ、衰弱したMDSマウスの萎縮した腎臓では顕著な好中球浸潤が確認された。このことから、好中球浸潤の増加が腎組織障害に直接的に関与する可能性が示唆された。腎萎縮の進行と好中球浸潤に伴って、腎組織中のマクロファージが減少しており、何らかの細胞死機序の亢進が示唆された。そこで、MDSマウスの腎臓から血球細胞を回収し、Annexin V染色後にフローサイトメトリー解析を行ったところ、コントロールマウスと比較して、MDSマウスの腎臓では、Annexin V陽性マクロファージが増加しており、細胞死機序の亢進が確認された。今後は、好中球、マクロファージのRNA-Seqを実施し、これらの細胞の制御機構の分子基盤を明らかにしていきたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画に沿って研究を進め、腎萎縮および腎組織障害の進行とそこに浸潤するMDSクローン由来免疫細胞(マクロファージと好中球)の関係性、腎萎縮進行に伴ってマクロファージの割合が減少する意義とその機序を明らかにすることができた。腎組織に浸潤した好中球の遺伝子発現解析は未実施であるが、全体的に見て、研究は順調に進行していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画にもとづき、残りの期間において、以下の研究を進める。 (1)MDSクローン由来マクロファージが産生する好中球制御因子の同定:マクロファージ細胞死に伴い好中球が誘導される機序を明らかにするため、MDSマウスの腎臓に浸潤した腫瘍クローン由来マクロファージが産生する好中球制御因子を同定する。セルソーターで腎組織中のマクロファージを回収してRNA-Seqを行い、野生型マクロファージに比べて有意に発現亢進がみられるサイトカイン・遊走因子候補を抽出する。回収したマクロファージの培養上清中における液性因子のタンパクレベルをELISA法やプロテインアレイにより定量する。 (2)シングルセル解析による腎組織障害に関連する免疫細胞の新規サブセットの検証:MDSマウスの腎組織から造血細胞を回収し、シングルセルRNA-Seq解析を行う。これにより、MDS個体の腎組織障害に関与するマクロファージおよび好中球の新規特殊サブセットが同定される可能性がある。また、これらの細胞群と密接に関与する他系統免疫細胞の存在や、細胞集団同士の相互作用ネットワークの分子基盤を網羅的に検証することができる。 (3)MDSクローン由来免疫細胞およびその制御機構を標的とした治療法の有用性検証:本研究を通じて得た知見をもとにin vivo前臨床試験を実施する。
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