環境に応じた柔軟なナビゲーションを支える脳領域間相互作用の時空間ダイナミクス
Project/Area Number |
23K27479
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Project/Area Number (Other) |
23H02788 (2023)
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Multi-year Fund (2024) Single-year Grants (2023) |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 51020:Cognitive and brain science-related
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Research Institution | Osaka Metropolitan University |
Principal Investigator |
水関 健司 大阪公立大学, 大学院医学研究科, 教授 (80344448)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥18,850,000 (Direct Cost: ¥14,500,000、Indirect Cost: ¥4,350,000)
Fiscal Year 2025: ¥5,070,000 (Direct Cost: ¥3,900,000、Indirect Cost: ¥1,170,000)
Fiscal Year 2024: ¥6,370,000 (Direct Cost: ¥4,900,000、Indirect Cost: ¥1,470,000)
Fiscal Year 2023: ¥7,410,000 (Direct Cost: ¥5,700,000、Indirect Cost: ¥1,710,000)
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Keywords | ナビゲーション / 行動変容 / セルアセンブリ / 電気生理学 / 睡眠 / 海馬 / 海馬台 / 神経多様体 / 記憶 |
Outline of Research at the Start |
環境の変化に応じたナビゲーションには複数の脳領域が関わるが、各領域がどのように協調してナビゲーションを実現しているのか不明である。本研究は、ナビゲーション課題中とその前後の睡眠時における複数の脳領域から同時に神経活動を観察する。得られたデータを数理的に解析し、環境の変化に応じて行動を変容させ、危険を回避しつつ目的地へたどり着くナビゲーションを達成する脳領域横断的な相互作用を明らかにする。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、常に変化していく環境の中で、記憶を更新して柔軟に行動を変容し、危険な場所を避けつつ報酬へたどり着く神経メカニズムを解明することが目的である。そのために、ナビゲーション中に複数の脳領域で個々の神経細胞ならびにセルアセンブリがどのようにナビゲーションに関わる情報を表現するのかを調べる。さらにそれぞれの脳領域の個々の神経細胞やセルアセンブリの活動に対して数理学的解析を行い、神経細胞やセルアセンブリが脳領域を跨いでどのように協調してナビゲーションを実現するかを明らかにする計画である。 ナビゲーションに関する複雑な情報を正確かつ確実に表現するためには、個々の細胞の活動だけでなく、細胞集団の活動も利用されている可能性がある。本年度は次元圧縮法と位相幾何学的手法を用いて、ナビゲーション中の海馬台と海馬CA1の低次元神経多様体の情報表現を比較した。その結果、海馬台の神経多様体の方が空間情報を多く保持し、課題間で共通形状を保ち、徐派睡眠中のリップル波で頻繁に報酬イベントを表していた。これらの結果は、海馬台の神経細胞集団の活動が、覚醒時と睡眠時の情報処理の基盤となる低次元神経多様体を形成していることを示唆している。さらに、数理モデルを使って、ナビゲーション中の海馬の神経細胞の発火シーケンスがCA3錐体細胞同士のシナプス可塑性によって生じうることを示した。加えて、変化していく環境の中でナビゲーション中の記憶の形成前から更新後まで連続して観察できる新規行動実験の予備実験を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
次元圧縮法と位相幾何学的手法を用いて、ナビゲーション中の海馬台と海馬CA1の低次元神経多様体の情報表現を比較した。その結果、海馬台の神経多様体の方が空間情報を多く保持し、課題間で共通形状を保ち、徐派睡眠中のリップル波で頻繁に報酬イベントを表していることを見出した。これらの結果は、海馬台の神経細胞集団の活動が、覚醒時と睡眠時の情報処理の基盤となる低次元神経多様体を形成していることを示唆している(Nakai, Kitanishi, Mizuseki, Science Advances, 2024)。さらに、数理モデルを使って、ナビゲーション中の海馬の神経細胞の発火シーケンスがCA3錐体細胞同士のシナプス可塑性によって生じうることを示した(Kuroki and Mizuseki, Neural Computation, 2024)。以上の結果を論文として発表することができたため、当初の予定以上に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
(A) 計測技術開発: 研究代表者らがこれまでに開発した多脳領域同時・大規模電気生理学記録を更に発展させる。具体的にはNeuroNexus社とDiagnostic Biochips社に委託して従来よりも記録部位が多く超小型のシリコンプローブ電極を開発する。3Dプリンタ技術を駆使して電極を動かす微小ドライブの更なる小型化を行う。以上より複数のシリコンプローブ電極を使ってラットの複数脳領域から同時に大規模な電気生理学的記録を行う技術を開発する。 (B) 行動課題開発: 忌避刺激を与える場所を毎日変化させることで、危険な場所に関する記憶を更新して安全な経路を選択し、報酬のある場所へたどり着くナビゲーション課題を開発する。 (C) 神経活動記録とデータ解析: 開発した計測技術と行動課題を用いて、ラットの複数の脳領域から電気生理学記録を行い、それぞれの脳領域から100個程度の神経細胞を同時記録する。筋電図・嗅球脳波・心電図・頭部加速度なども測定し、ラットの情動を定量する。得られた電気生理学データと行動データを数理学的に解析し、以下を明らかにする。 (1) 各脳領域の個々の細胞の情報表現:それぞれの脳領域の個々の神経細胞が、どのように場所・危険・恐怖・報酬・経路・速度・移動方向などを表現するかを解明する。 (2) 各脳領域のセルアセンブリの情報表現:主成分分析・独立成分分析の手法を用いて、各脳領域でセルアセンブリを同定し、各脳領域のセルアセンブリの情報表現の様式を明らかにする。 (3) 神経細胞とセルアセンブリの脳領域横断的な相互作用:個々の神経細胞やセルアセンブリの活動に対して相互相関関数を適用し、神経細胞やセルアセンブリが脳領域横断的に協調してナビゲーションを実現するメカニズムを解明する。
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Report
(1 results)
Research Products
(5 results)