Project/Area Number |
23K27496
|
Project/Area Number (Other) |
23H02805 (2023)
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
|
Allocation Type | Multi-year Fund (2024) Single-year Grants (2023) |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 51030:Pathophysiologic neuroscience-related
|
Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
桂林 秀太郎 福岡大学, 薬学部, 教授 (50435145)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 英明 東北大学, 電気通信研究所, 准教授 (10552036)
田中 泰圭 福岡大学, 薬学部, 助教 (50714466)
|
Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
|
Budget Amount *help |
¥18,590,000 (Direct Cost: ¥14,300,000、Indirect Cost: ¥4,290,000)
Fiscal Year 2026: ¥2,990,000 (Direct Cost: ¥2,300,000、Indirect Cost: ¥690,000)
Fiscal Year 2025: ¥2,990,000 (Direct Cost: ¥2,300,000、Indirect Cost: ¥690,000)
Fiscal Year 2024: ¥6,240,000 (Direct Cost: ¥4,800,000、Indirect Cost: ¥1,440,000)
Fiscal Year 2023: ¥6,370,000 (Direct Cost: ¥4,900,000、Indirect Cost: ¥1,470,000)
|
Keywords | てんかん / iPS細胞 / アストロサイト |
Outline of Research at the Start |
神経疾患の発症原因として、グリア細胞の一種であるアストロサイトが近年注目されている。アストロサイトはシナプス伝達を制御することから、グリア治療薬が新たな治療に繋がると期待される。本研究では、根本的治療薬がない難治性てんかんドラベ症候群について、患者のiPS細胞由来アストロサイトと健常人のiPS細胞由来単一ニューロンとを共培養した最小神経回路モデルを作製し、疾患アストロサイトに着眼した病態の解明と治療薬の探索を目的とする。本研究によって、疾患アストロサイトを標的とするてんかん治療薬の開発に貢献し、創薬基盤を構築する。
|
Outline of Annual Research Achievements |
神経疾患の発症原因として、グリア細胞の一種であるアストロサイトが近年注目されている。アストロサイトはシナプス伝達を制御することから、グリア治療薬が新たな治療に繋がると期待される。本研究では、根本的治療薬がない難治性てんかんドラベ症候群について、患者のiPS細胞由来アストロサイトと健常人のiPS細胞由来単一ニューロンとを共培養した最小神経回路モデルを作製し、疾患アストロサイトに着眼した病態の解明と治療薬の探索を目的としている。 本研究は4年計画で3つの課題を設定している。最終ゴールは、てんかんアストロサイトによって生じるシナプス伝達の病態機序を明らかにし、疾患アストロサイトに着眼したグリア治療薬の開発に向けた薬物スクリーニングを実施することである。 令和5-6年度における研究課題として、健常人ならびにてんかん患者由来iPS細胞から興奮性および抑制性ニューロンとアストロサイトを分化誘導し、完全iPS型オータプス標本を開発することを掲げている。令和5年度のに得られた特記すべき研究実績は以下の2つである。 ●てんかん患者由来iPS細胞からアストロサイトを分化誘導できた。現在はドラベ症候群モデル動物由来アストロサイトで発見したCa動態の変異(Uchino et al., 2023)と同じ挙動を示すか実験計画中である。 ●健常人iPS細胞からアストロサイトを分化誘導することに成功し、さらには分化誘導期間を短くすることにも成功した。この結果、iPS細胞からニューロンを分化誘導するタイミングと共培養するタイミングを組み合わせやすくなった。よって、令和6年度は、当初の研究計画通りに完全iPS型オータプス標本を開発することが出来る予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
通常はiPS細胞からアストロサイトを分化誘導するには6週間を要する。近年、分化誘導期間を短くする手法が報告された。令和5年度に研究を開始して直ぐに、早速その方法を試みたところ、現時点で培養期間の短縮できることが認められている。実験を計画した当初は、iPS細胞からニューロンを分化誘導するタイミングと共培養するタイミングを組み合わせることが最大の難点であったが、実験初年度でそれを克服できたと考えている。このことは、最大の研究成果である。また令和6年度には、iPS型オータプス標本の開発とシナプスの位置解析と可視化を計画しているが、それを行う原著論文も最近報告できた(Kitaoka et al., 2024)。このことから、区分で(1)当初の研究計画以上に進展していると評価したいところではあるが、(2)おおむね順調に進展していると評価した。
|
Strategy for Future Research Activity |
健常人iPS細胞由来の興奮性ニューロンあるいは抑制性ニューロンを健常人iPS細胞由来アストロサイトと共培養した“完全iPS型オータプス標本”を開発する。研究分担者の田中は、患者由来iPS細胞から興奮性ニューロンや抑制性ニューロン、アストロサイトなど様々な細胞への分化誘導法を確立しており、その技術を利用することで細胞を準備する。本標本はニューロンとアストロサイト共に完全にヒトiPS細胞由来であり、従来のようなマウス等の動物種由来の細胞は一切使用しないのが特徴である。培養ガラス基板の作製は、研究分担者の山本による培養ガラス基板プリント技術により行う。 オータプス標本の培養過程において、iPSニューロンとiPSアストロサイトの分化誘導に必要な培養日数を短縮できたことから、培地置換のタイミングを操作して培養を行う。具体的には以下の3つの実験により、神経回路の形態的な完成度を評価する。 ①ニューロンおよびアストロサイトのマーカー(MAP2, NeuN, Tau, GFAP)に対して、RT-qPCR法、ウエスタンブロット法および蛍光免疫染色法を用いてRNA発現および蛋白発現の有無で細胞属性を確認する。 ②完全iPS型オータプス標本の形態の判断は、ニューロンのマーカー(MAP2, Tau)の蛍光イメージ画像を用いて、同心円を描いたSholl解析法による位置情報で確認する。 ③完全iPS型オータプス標本が有する興奮性シナプスおよび抑制性シナプスの判断は、シナプスのマーカー(VGLUT, VGAT)の反応の有無を蛍光観察することで確認する。 得られるデータは研究分担者の田中に随時フィードバックし、iPS細胞から興奮性ニューロンおよび抑制性ニューロン、アストロサイトへの分化誘導条件の改良に努める。
|